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海軍長官候補にアジア金融業経験者か!? [米国防省高官]

Bilden.jpg13日付米海軍協会web記事が、次の米海軍長官候補として、これまで有力と言われてきたRandy Forbes元下院議員を差し置いて、ほとんど無名の元陸軍情報士官で、15年以上香港で証券業を営んだ経験を持ち、海軍大学や海軍士官学校の評議委員を務め、海軍研究所の支援者である推定53歳のPhilip Bilden氏が有力だと報じています

先日は、陸軍長官に陸軍士官学校卒業ながら証券会社で大金持ちになったアイスホッケーオーナー(Vincent Viola氏)が推薦されるとご紹介しましたが、海軍長官にも米海軍に理解があり、かつビジネス感覚がある人物の名前が挙がるようになりました

現時点では下院の軍事小委員会委員長を務めていたRandy Forbes氏も有力なようですが、米海軍OBからの支持もあり、息子2人を海軍士官学校に入れたPhilip Bilden氏が急速に注目を集めているようです

13日付米海軍協会web記事によれば
Bilden2.jpg●Philip Bilden氏は現在Rhode Islandに住み、1986年にGeorgetown大学をROTC制度で卒業し、その後陸軍情報士官として4年間勤務した経験を持つ。
●その後、ハーバードでMBAを取得し、1991年にボストンの証券金融企業HarbourVest(private equity firm)に入社。1996年に香港でアジア支店立ち上げるため赴任し、3年前に帰国するまで現地責任者として活躍する

息子の一人は海軍士官学校を卒業しており、別の息子は士官学校に在学中である。
●NATO最高司令官で退役したStavridis元海軍大将は13日、Bilden氏は海軍の専門家であるだけでなくアジア地域の有識者で、特に中国事情に詳しいと語り、また秀でた企業家で効率性追求に優れ、同時に知る限りで最も誠実で聡明な人物だとBilden氏を推薦している

●更にStavridis元海軍大将は、Bilden氏はあまり知られていないが米軍との関係が深く、「海軍士官学校の評議委員として運営に深く関与しており、海軍大学にも評議委員として関与している。海軍研究所の強力な支援者でもある」と紹介した
●同退役大将はBilden氏を、クリントン政権時に活躍した弁護士で企業家出身だったRichard Danzig海軍長官のように活躍するだろうと語り、「ワシントンDCの人間でなく、これまでの政治に関与していない点で、トランプ政権に相応しい改革精神に富んだ海軍長官になるだろう」と同士を推薦している
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Bilden3.jpg陸軍長官候補のVincent Viola氏のときと同じ感想ですが、米国にはいろんな人材がいるんだなぁ・・・米軍を支援する裾野が広いんだなぁ・・・としみじみ思います。

近日中に「Randy Forbes氏」か「Philip Bilden氏」かは明白になるでしょうが、Philip Bilden氏のような人物も有力候補者であったことをご紹介したく取り上げました

陸軍長官候補は士官学校卒のお金持ち金融企業家
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-20
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ちなみに・・・
中国海軍トップも交代へ!?
http://www.defensenews.com/articles/source-chinese-navy-has-new-commander
13日付Defense-Newsによれば、中国海軍トップが交代するとか・・・
Navy-top.jpg●香港の中国語紙「daily Ming Pao」によれば、2006年から10年以上中国海軍司令官を務めた「Wu Shengli大将(71歳)」が退役し、南海艦隊司令官の「Shen Jinlong中将」が海軍トップに就任する方向だと報じた
●Jinlong中将は2014年RIMPACで中国艦隊指揮官の経験があり西側では旧知の人物。南シナ海を担当している経験を重視か

●これまでは、中国海軍副司令官の「Wang Hai大将」が司令官に繰り上がると考えられていたので、香港紙はこのニュースをサプライズだと報じている
●ちなみに、71歳のWu Shengli大将は、秋に正式に退役するまで、中央軍事委員会のメンバーであり続ける模様

●このほかに同紙は、北方艦隊司令官の「Yuan Yubai大将」が南方軍管区司令官に就任すると報じている
●また、海軍の武装コマンド副司令官の「Wei Gang」は東方艦隊司令官へ、東方艦隊司令官の「Su Zhiqian」が海軍副司令官に就任すると報じている
●更に、南方軍管区の副参謀長である「Zhang Wendan」は、北方艦隊司令官に配置される

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イスラエル目線で2017年の中東を [安全保障全般]

Netaniaf.jpg元旦付Defense-Newsが、恐らく1日に行われたイスラエル国防省(又は国防情報部)関係者による記者団に対する「2017年予想見積もり」ブリーフィングの様子を紹介しています。

「A senior defense official」が語ったと言うことで表現が微妙ですが、全般にイスラエルが戦争に巻き込まれる可能性は低いと「cautiously optimistic」に見積もりながら、今日の中東では、双方が相互に「戦争したくない」と考えている時に地域の力学で緊張がエスカレートしがちだと警戒しています

イスラエルの脅威分析ではお馴染みの、北のレバノンのヒズボラ、ガザ地区のハマス、西岸のパレスチナ自治政府PA、そしてシリアやイランが順次分析に現れますが、ロシアにも言及しているところが興味深いです

最近中東専門家の間では、対ISILやソマリアやリビア等で中東が混乱し、イスラエルから世界の目が離れている間隙に、西岸地区での入植地拡大をイスラエルが急速に図っているとして厳しい非難の声が挙がっていますが、当然一切触れていません

馴染みのない方にはご興味のない話でしょうが、中東を無視は出来ませんので、勉強のため取り上げます

元旦付Defense-News記事によれば
Nasrallah.jpg●イスラエルの不安定を招く可能性の一番高いのは西岸地区のPAとガザ地区のハマスであり、これには引き続き警戒の手を緩めるわけには行かない
イスラエルと接する一番強力な戦力を持つのはヒズボラであるが、緊張のエスカレーションに陥らない限りは、直接対峙の可能性は低い

●戦乱で疲弊したシリアに関しては、ロシア等がそのプレゼンスを後退させた時に、イランやヒズボラがどのような動きに出るかに関し、不安は尽きない。シリアのアサド大統領に対しては有利な位置にあるが、イランとヒズボラの伸張を懸念しており、現在の混乱の着地点として恐れる方向
ヒズボラの構成員は約8000人と見積もっているが、2011年以降、既に1700名が戦死し、数千名の負傷者が出ている。それでもヒズボラはイスラエルとの戦いに備えて武装努力を継続しており、イスラエルの攻撃に備えている

Khamenei.jpgヒズボラ指導者のNasrallahは毎週のようにイスラエル征服を訴えるような人物であり、イスラエルは悠長に構えていられない
●イランに支援されたヒズボラからは目を離せない。特にヒズボラが航空機攻撃用の対空火器は、将来ロシアに対して使用される可能性もあり、機会があればプーチン大統領に助言したい。中東の安定と中東でのロシア国益を確保したいならば、ヒズボラから目を離すなと

●イランに関しては、P5と独がロシアと合意した核包括合意が、イランからの核脅威を当面の間は取り除いたが、イランのシリアやレバノンやガザや西岸のテロ組織に対する行動は、イスラエルに対する耐えることのない脅威の源泉である
●(トランプ大統領や米国の共和党政権誕生により、核包括合意が破棄されたり再交渉となる可能性に関する質問に対し、)イランがテロの源泉であり、弾道ミサイルを活発に開発しており、国際社会は「あめとむち」で対処しなければならないが、この合意は安定を改善する機会であり、この機会を逃すべきではない

Rouhani.jpgイランは5月に大統領選を迎え、イランは不安定の年を迎える。ロウハニ大統領は内政問題を訴えるだろうが、ハメネイ最高指導者や革命防衛軍は「革命の輸出」を主張するだろう。
昨年6月の議会選挙では現大統領側が有利に戦ったが、依然として最高指導者側はシステム全体のコントロールを握っている。一方で最高指導者側も国民への圧力作用の限界を知っている
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イスラエルが得意の「プロパガンダ」と見るのも結構ですが、イスラエルがイランとの核合意を一定評価している点が興味深いです。あれだけ核合意に反対していたのに・・・。トランプ氏に中東をかき回されてはたまらない・・・との思いが先行しているのでしょうか・・・。

いずれにしても、相変わらず激動であろう2017年を見る視点の一つとしてご活用下さい

イスラエル関連の記事
「国際消火飛行隊を提言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-29
「イスラエル後に湾岸へ戦闘機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-17
「日本とイスラエルが覚書へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-21

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米空軍が兵士確保に「刺青」規制緩和 [米空軍]

Grosso4.jpg2月1日付で米空軍が、空軍兵士の人材確保を理由に、腕や胸などの「刺青:いれずみ」規制を緩和すると明らかにし、従来の「外部から見える部分の25%以下」制限を撤廃することになりました。

カーター長官が様々な形で取り組んだ人材確保策「Force of the Future」の、米空軍としての政策の一つとも位置づけられますが、入隊希望者の約1/5を「刺青」が理由で「門前払い」している現状に危機感を感じ、「間口を広げる」決断に至ったようです

米国特有の問題かもしれませんが、軍隊と一般市民の乖離が進み、募集が厳しくなる西側世界全体の傾向を眺める事例の一つでもあり、Mattis次期国防長官も大きな懸念事項としている「募集難」「軍隊と一般社会の分断」を見る一つの側面ですので、これを期に米空軍の「刺青規則」をご紹介します

加えて、まんぐーす「一押し」のキュート系「女性将軍」Gina Grosso人的戦力部長のご活躍ぶりもご紹介したいと思います

10日付Military.com記事によれば
Grosso.jpg●6日、米空軍の人的戦力部長Gina Grosso中将はMilitary.comの独占インタビューで、「米空軍の職務と世界中に展開する任務特性を勘案した上で、更なる人事制度変革の一環として、刺青の露出を緩和することにする」と語った
●米空軍報道官は「これまで、制服で覆われない身体の25%以上を覆う刺青を禁じていたが、その規則を撤廃する」と説明し、服装及び身だしなみ規則を変更すると語った

●Grosso中将によれば、従来どおり、刺青は胸、背中、腕、足に許されるが、その大きさに対する制約は無くなる。ただし、引き続き、頭部、顔、首、唇、舌への刺青は許されない
●またこれまで通り、人種差別、宗教差別、性的表現、暴力的表現などの不適切な刺青も許可されない。また、過激思想やギャングや排他的組織のシンボルなど、米空軍が不適切と見なす刺青も許可されず、米空軍特別捜査局(AFOSI)やFBI等が「hate groups」との関連を認めた刺青も許されない

tattoos.jpg●「腕」は手首までで、「手」に許されるのは指1本に対する結婚指輪の刺青だけで、指1本だけに許可される。
現在の規則で許される範囲の刺青は、新規則でも当人に限り引き続き許される。これには、各部隊指揮官の裁量で許可してきた「25%以上の刺青」もこれに該当する

●引き続き各部隊指揮官は、式典参加兵士全員が統一した制服を着用することが望ましい軍式典において、不適切と考える刺青を隠すように要求したり、刺青を取り除くように要求できる
●ただし指揮官は、刺青を除去することを強要はできない。Grosso中将は本規定について「状況に応じて各指揮官が適切に対応してくれるものと確信している」と述べている

刺青緩和の背景は・・・
Grosso3.jpg米空軍は4年毎に服装や身だしなみ規則の見直しを行っているが、今回はカーター長官の方針である才能ある多様な人材を確保活用できる組織をめざす「Force of the Future」政策の方針も踏まえ、才能ある若者へのアクセスを拡大することに配慮した
●同時に、他の軍種と同レベルの刺青への許容度を取り入れることにも配慮した。本分野では海兵隊が最も厳しい規則を維持している

2016年春に空軍兵士の刺青実態調査チームを立ちあげて実態把握を開始し、また8月にJames空軍長官は他軍種の規則状況にも関心を持っているとし、「刺青の実態を把握せずに、優秀な入隊希望者を失うようなことをしたくない」と語っていた
●Grosso中将は兵士募集事務を担当する職員への聞き取りを数ヶ月かけて行い、「兵士に応募又は問い合わせしてくる若者の1/4が刺青をしており、1/5が現行規定を超える刺青を持っている」実体を把握したと説明した
●そして同中将は、明確な数字を把握しているわけではないが、これまでの調査や聞き取りから、明らかに我々は有能な人材を刺青で門前払いしていると語った
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米国社会での「刺青」の一般受容度を肌感覚で承知していませんが、何となく、基準を緩めてでも頭数を揃えたい・・・との「ゴールポストずらし」に思えてなりません

mattis.jpg議会ヒアリングがドタ延期になったMattis次期国防長官ですが、今回の「規制緩和」の背景にある「軍隊と一般社会の分断」が背景にある募集難の克服は、「偉大なアメリカを取り戻す」ための重要要素の一つとも考えられます

米国は日本や欧州諸国と異なり、少子化が問題になっているわけではなく、募集難は「軍と一般社会の分断遊離」そのものを反映したものとも考えられており、特に都市部で募集が厳しくなっている現状が関係者の危機感となっています

このあたりに関するトランプ&Mattisラインの考え方も聞いてみたいものです。それにしても、服装や身だしなみに関する空軍内の規則とは言え、話題になりそうな件だけに、政権交代直前での発表が何を意味するのか気になります

Mattis氏の優先事項の一つは、市民と軍の分断を埋めること
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-02

Mattis次期国防長官の関連
「副長官はどんな人に?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-15
「トランプ氏がMattis氏と面談」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21

Force of the Future関連の過去記事
「更に追加策:昇任制度や中途採用」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-10
「追加策:体外受精支援まで」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-29
「全職種を女性に開放発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-05
「企業等との連携や魅力化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19
「施策への思いを長官が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25

ロバート・ゲーツ語録86
→徴兵制で冷戦時に米軍は世界最大規模となった。この規模拡大により、当時は多くの有望な若者が軍務の経験をした。1957年にはプリンストン大出身者が4万人軍務に付いており、ハーバード大にも700人規模のROTC制度がhttp://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10
ロバート・ゲーツ語録87 →このため、冷戦終了時で全米の学生の約4割が両親や身近な親戚に軍務経験者を有していたが、現在ではその比率は18%に低下、近い将来1割以下になるのは確実である→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10
ロバート・ゲーツ語録88
米国の北西部、西海岸や大都市近郊は志願者が減少している。これら地域で大きな基地の閉鎖再編が進んでいることも一因であるが、同時に軍務のような国家の仕事が他人事にと考えられる風潮が背景にあるhttp://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-10

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無人機103機の群れ試験に成功 [Joint・統合参謀本部]

Drone-malti.jpg9日、米国防省が昨年10月末に実施された「無人機103機の群れ試験」の成功を発表しカーター国防長官が「第3の相殺戦略」の一環であることを意識しつつ、「敵に一歩先んじる最先端の技術革新だ」と高く評価しています

今年中に1000機を製造し、次世代機の開発にも取り組む予定だと明らかにしています。

10日付毎日新聞記事によれば
●実験は昨年10月、カリフォルニア州で実施され、3機FA-18戦闘攻撃機が103機のドローンを投下、ドローンが編隊を組み飛行することに成功した。
Drone-malti2.jpg●人工知能などを活用した新型ハイテク兵器を開発するため2012年に発足した戦略能力研究室(SCO:Strategic Capability Office)と米空軍が、マサチューセッツ工科大学が2013年に開発したドローンをもとに共同開発した。

全長約16cm、翼幅約30cm、重量は290gで、最高速度は時速111kmに達する。航空機から投下するだけではなく、海上艦船や地上からの離陸も可能という。
オペレーターが指示した目的地に向け飛行するが、経路はドローン自身が最適の解答を見つけて判断する。またドローン同士が相互に連絡を取り合う能力もあり、編隊飛行ができる

約3分半の試験映像



昨年10月28日に国防長官が同試験に言及
Drone-malti3.jpg●国防省が「第3の相殺戦略:Third Offset Strategy」の一環として追求する無人機の群れ(drone swarming)技術は、今週大きな躍進を遂げた(large step forward just this week)。
●(国防長官は細部への言及を避けつつ、)国防省の戦略能力造成室SCO(Strategic Capabilities Office)が、今後数ヶ月の内に更なる発表を行うだろう

「無人機の群れ:艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10
「海軍研究所の滑空無人機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-04

米海軍が艦艇の防御&攻撃に「群れ」研究
2012年の米海軍の研究論文は、市販の速度150km程度の小型でレーダーに映りにくい無人機10機程度が、イージス艦に全方向から侵攻する様子を700以上のパターンでシミュレーションしたもの。
●イージス艦は対空ミサイルやCIWSシステムのほか、5インチ機関砲を備えているが、研究では追加で6つの重機関銃が装備された場合も想定

Drone-malti4.jpg●発見が難しい小型無人機は、発見から艦艇到達まで約15秒間の対処時間しかなく、8機が侵攻した場合、平均2.8機が防空網を突破する。センサーや防空網を強化しても、1機には突破される結果となった
●侵攻無人機数を増やした場合、防御側が対処可能なのは最初の7機前後であることも明らかになった

●この結果を元に、米海軍は低コスト無人機群技術(LOCUST:Low-Cost UAV Swarming Technology)に取り組み、今は30機の無人機を個々に操作するのではなく、「鳥の群れ」として操ることを狙っている。
●研究責任者のLee Mastroianni博士は、1機180万円程度の無人機の群れを「LOCUST計画」で使用しており、1発1億5000万円する対艦ミサイルより安価だと考えている。同博士は30機の「無人機の群れ」で、今年(2016年)に夏試験を計画
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farewell.jpg政権交代の直前になって、カーター長官の米軍による送別式典が行われた同日に、この発表会見が行われています。
カーター長官が最後まで全力を尽くしてきた、技術革新を促進する政策の「果実」の一つです

何度かご紹介してきたように、「無人機の群れ」技術は中国やロシアに対する軍事技術優位を確保するための有力候補で、米軍全体で様々な応用研究が進められています。
先日ご紹介した「無人ボートの群れで港湾防御」もその一環です

無人機の有効活用
「無人艇の群れで港湾防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-19
「国防長官が技術飛躍有りと」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「無人機の群れ:艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10

「海軍研究所の滑空無人機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-04
「AI操作の無人機が有人戦闘機に勝利」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-19
「米空軍が小型無人機20年計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-18

「IS無人機で初の犠牲者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-15-1
「国防省戦略能力室の主要課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-10

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中国がロシアからSu-35受領開始!? [中国要人・軍事]

Su-35.jpg中国国営の英字紙が、昨年12月末に4機のSu-35をロシアから受領したと報じた模様です。具体的に中国のどの基地に到着したのか、どのように輸送されたのか、今後の予定など細部に触れていないようですが、その長い航続距離を生かし、南シナ海や日本周辺で活用されると見方が一般的なようです

ロシアは、数年前に最新型の多用途戦闘機であるSu-35を既に極東に配備しており、従来のSu-27戦闘機の約1.5倍の行動半径から日本周辺での活動に注目が集まっているところです
中国とロシアは、5年間に及ぶ紆余曲折の交渉を経て、2015年11月に24機のSu-35を約2300億円で売却する契約を結んでおり、報道が確かであれば、その最初の4機が到着したことになります

中露間ですんなり戦闘機売却交渉が進まなかったのは、極東ロシアへの中国の勢力拡大を懸念することもありますが、中国がロシアからの輸入装備を無断でコピー製造する悪質な前科者で、過去にもSu-27を無断コピーしたと言われる中国製J-11Bが問題となっているからです

9日付Defense-News記事によれば
Su-35 2.jpg●航空機の移動をライブで公開しているwebサイト「Flightradar24」によれば、ロシアのIl-76大型輸送機がチャーターされ、昨年12月25日にSu-35の工場があるコムソモリスクを離陸し、中国空軍の試験実施基地である「Cangzhou-Cangxian」を経由した後、南シナ海に最も近い空軍基地「Suixi」に到着している
●このIl-76輸送機がSu-35と関係があるかは不明確だが、Su-35を伴っていたり、関連装備や部品を輸送していた可能性がある。なお中国軍はSu-35に関し、公式発表や写真を公開していない

●専門家は中国がSu-35を購入した理由の一つを、同機に搭載されている「Saturn AL-41F1S (117S)」ターボファンエンジンを入手して確認し、また同機の高い機動性を生む「thrust-vectoring技術」を学ぶためだと見ている
中国はここ数年間、国産の戦闘機エンジン開発に取り組んできたが、技術的課題をクリアーできない状態にあり、中国製最新戦闘機のJ-20ステルス機、J-10戦闘機、J-15艦載機も、全てロシア製Saturn AL-31エンジンを搭載している

●また同専門家は、ロシア輸送機が最後に立ち寄った中国の「Suixi空軍基地」にSu-35が配備されることになれば、現在のJ-11B戦闘機よりH-6K爆撃機の護衛をより広範囲で可能となり、また南シナ海上空でのCAP時間を増やすことが出来ると分析している
●なおJ-11Bは、ロシア製Su-27をコピーして中国製エンジンやアビオや兵器を搭載している
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Su-35 3.jpg中国に簡単にコピーさせないよう、ロシアも何か考えているでしょうから、パンダと熊のだましあいに入るのでしょう・・・。
今後の中露関係を見る一つの試金石となるSu-35取引ですが、今後のロシア企業からの「アフターサービス」にも注目です

例えばインドは、国産空母用にロシア製空母艦載機Mig-29Kを45機購入しましたが、購入したエンジンの62%にあたる40台のエンジンがトラブルや設計上の不具合で使用不能の状態にあり、インド会計検査院が「過去25年間に渡り、ロシア軍需産業の劣悪な品質管理やサポート態勢が大きな問題となっている」と指摘している惨状です

東シナ海にSu-35が現れたら、日本の戦闘機命派は大騒ぎするのでしょうが、良く全体を見て能力を見極める必要がありましょう

「インドがロシア製兵器を酷評」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-11-1

中露のSu-35輸出交渉
「紆余曲折で契約成立」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-20
「Su-35輸出契約は成立するか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-20

南シナ海と中国戦闘機
「西沙諸島に中国戦闘機展開?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-02-1
「南シナ海は塩害対処が鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-10

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米空軍F-35火災の原因はエンジンではない!? [亡国のF-35]

「エンジンの問題ではない」を強調

F-35-eglin.jpg4日、米空軍F-35導入準備室長のScott Pleus准将がMilitary.comに対し、9月23日に飛行準備中のF-35Aの尾部から発生した火災の原因について、初期調査の段階ながら、尾部のパイプに残っていた燃料に引火したもので、エンジンとは全く関係が無い火災だったと語りました

同火災は、航空自衛隊用のF-35受領式典がテキサスで開催された同日に発生した「縁起の悪い」事故で、アイダホ州のMountain Home空軍基地の格納庫前で発進準備していたF-35Aの尾部から発生したもので、事故から3ヶ月間以上、原因に関し何の発表も説明も無いまま年を越していたものです

同准将は、2014年に発生し全機を数ヶ月間飛行停止にした「エンジン火災」を「setback:大きな痛手」と表現しつつ、その事故と対比し、昨年9月の火災がエンジンとは全く関係の無いものだと強調しています。

ただ昨年9月の火災に関しては、「尾部のパイプに残っていた油」に関する疑問が未解決で、本格的な調査チームが立ち上がったばかりの段階であり、なぜ「setback」でないのか、飛行試験や訓練を継続していて良いのか等々、3ヶ月以上たっても不明なまま放置されています

6日付Defense-Tech記事によれば
F-35A NgtFt.jpg●4日Pleus准将は、「初期調査からエンジン火災ではないことが判明し、調査関係者は事案を尾部パイプ火災と呼んでいる」と語った
●更に「尾部パイプ火災は、エンジンとは関係の無い機体尾部にたまった燃料に引火したもので、エンジンの問題ではない。余分な燃料が機体後部に集まり、離陸準備中に火がついたものだ」と説明した

●そして米空軍F-35導入準備室長は、「エンジンから発生したものならエンジン火災で大きな問題だが、本件はエンジンとは全く関係ないし、冷却パイプとも関係が無い」と強調した
●また「2014年に発生したエンジン火災は、エンジン事態の設計に問題が見つかった点で、F-35開発計画上の大きな痛手だった」、「しかし事前訓練の積み重ねが操縦者の命を守り、根本原因を特定して対処策を検討し、全機に対する措置を完了した。その後は何の問題も発生していない」と付け加えた

●同准将はまた、本件とは別の昨年9月16日に判明した燃料タンク内の冷却パイプの絶縁不良問題にも言及し、全部で57機に問題が発見されたが、「基本的に製造過程における人的ミスであり、設計の問題ではなかった」と再度説明した
●そして同事案について、「想定もしなかった問題に対し、全力を挙げて対応し、短期間の間に修理を完了した点である意味成功事例ともいえる」とも語り、11月上旬に飛行を再開した対処の迅速性を強調した
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F-35-refuel.jpgエンジン火災ではないから大騒ぎしないで・・・と懸命に説明されても、発進準備中に機体火災が発生しただけで十分問題なんですけど・・・

それから、原因がいかにあろうとも、事故発生から4ヶ月近く原因について音沙汰無く、飛行を継続させていることにこそ問題があるように思うんですけど・・・

トランプ氏のF-35に対する種々の発言を気にしすぎ、議会の非難や諸外国の懸念を避けたいがため、悩みすぎて常識的な感覚を失いつつあるのではないか・・・と気になります

トランプ氏のF-35発言など
「代替にFA-18改良型を検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-23-1
「F-35予算削減ツイート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-13
「新政権の国防予算はF-35が鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08
「F-35巡り国防省で内紛」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-09

F-35事故関連の記事
「試験や訓練優先で安全を犠牲」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-22-1
「10月27日の海兵隊機火災」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-09
「9月23日の空軍機火災」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-24

2014年6月のF-35エンジン火災(当時は2ヶ月間飛行停止)
「火災メカニズム」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-04
「当面の対処と設計変更」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-29
「問題は軽易ではない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-08

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B-52が飛行中にエンジン1個落下 [米空軍]

「脱落」と言うより「内部破壊で分裂落下」か

B-52 engine4.jpg5日、James米空軍長官は記者団に、4日にノースダコタ州Minot空軍基地所属のB-52が、同基地北東30km付近を訓練飛行中に8基装備しているエンジンの1つが破損落下したと公式に明らかにし、詳細は調査中であるが、エンジン自体が取り付け部分から落下したのではなく、内部からの破壊で崩壊落下した模様だと説明したようです。

幸い、エンジン落下地点は人家の無い川沿いであり地上にけが人は無く、エンジンが落下した機体も無事母機地にたどり着いて搭乗員5名も無事な模様です。なお同機は爆弾等の兵器は搭載していなかったとの事です

1952年に初飛行した大ベテランB-52爆撃機ですが、改良や改修を重ねて現在でも78機が現役として飛行しており、2040年代までの運用が計画されています。
このためB-52保有部隊では、エンジンを6千から9千億円かけて性能や燃費の良い新型に交換したいとの要求をまとめていますが、予算厳しき折、2018年度国防省予算案には現時点でも含まれていません

関係者は口を揃え、今回の事故とエンジン換装を結び付けて語るのは時期尚早で短絡的だと「口を慎む」姿勢ですが、B-52のエンジン問題がクローズアップされたことは間違いありません

6日付Defense-News記事によれば
B-52 engine.jpg同機体は1961年に製造されたものであるが、エンジン自体は何回も定期的な分解修理や部品交換を経たものであり、製造当初のものではない。更に300飛行時間前に前回のオーバーホールを終了したばかりで以上は確認されていなかった
●B-52は8基の「Pratt & Whitney TF33-P-3/103 turbofan engine」を搭載しているが、2基づつひとまとめにして(cowling)翼下4箇所にぶら下げられている

●5日James空軍長官はDefense-Newsに対し、米空軍は原因調査を継続中だが、落下したエンジンは内部の何らかの原因で破損し、2基のエンジンを束ねている覆いに亀裂を生じて落下した模様だと明らかにした
●同日、B-52を配下に置くRobin Rand空軍大将は同様の見方を示し、「エンジンが単に落下したのではなく、エンジン内部に問題を生じ、パックリ割れたようになった可能性がある」と語り、「ただし調査が終了するまで原因等は不明だ」と述べた

B-52にはエンジン換装要望が
B-52 engine3.jpg●Rand司令官はエンジン換装推進派だが、このエンジン事故を新エンジン事業に利用すべきではないと明言し、原因が明確になるまでは予断を持ってからるべきでは無いと釘をさした
●一方で同大将は、「これまでの検討の結果、最新技術を生かしたエンジンへの換装は、作戦運用面でも効率性の面でも意味のある事業である。燃料消費や整備所要人員を削減してコストを下げる最新技術の活用だ」と語っている

●そして、エンジン換装の予算が確保できれば、その効果は極めて大きく、効果が大きいことを各種検討を経て確証確認している。
●ただし同司令官は、少なくとも6千から9千億円必要だとされる換装予算の確保が課題だとの認識を示し、エンジンをリースする方式や「public-private partnership」方式など、様々な案を検討して実現の道を探っていると語った
●しかし、各予算は互いに対立関係にあり、他を生かせば他を諦めることになると厳しい状況を説明した
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B-52Guam.jpg米国防省の2018年度予算案を決定する最終段階のタイミングで発生した事故で、色々憶測を呼びそうですが、落下したエンジンの回収が容易ではない場所らしく、真相究明に時間が掛かりそうです。
翼の「leading edge」にも被害が確認されているようで、かなり激しい「内部崩壊」だったようです。

機体以外に被害は無かったようですが、単なる爆撃だけでなく、長時間連続紹介しながらピンポイントの要請に応じて精密誘導兵器を投下や、音によってイスラム過激派威嚇や、弾薬庫航空機(arsenal plane)の役割も期待されているB-52です。

今後の「武運長久」を祈念いたします

B-52関連の記事
「弾薬庫航空機に向け改修」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-13
「同構想とB-52」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-12

「もっと能力向上を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-11-1
「海軍と会議後アジア展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-07
「まだまだ能力向上に投資」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-16-1

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負の連鎖:ビンラディンの息子がブラックリストに [安全保障全般]

2年ぶりに米海兵隊戦闘部隊がアフガンに再派遣へとの報道の中、「負の連鎖」を絵に描いたような・・・

Hamza4.jpg5日、米国務省が2011年5月に米特殊部隊によってパキスタンで殺害されたオサマビンラディンの息子で20歳代後半と推定されているHamza bin Ladenをブラックリストに載せると明らかにしました
正確に言うと「Specially Designated Global Terrorist」に指定され、米国の統治下にある地域での資産を凍結するという措置です

息子Hamzaは、まだ父Osamaが生きていた10代の時に、父親のようになりたいので訓練してほしいと手紙を書いていたことが明らかになっており、また父Osamaもその思いに答え、爆弾操作等の訓練を受けさせたり、父が潜伏していたパキスタンへの移動を計画していたようです

昨年7月には、Hamzaが米国への復習を表明するビデオ映像が公開されるなど、「負の連鎖」を絵に描いたような状態を招いているようです

5日付Military.com記事によれば
Hamza3.jpg●米財務省の史料によれば、Hamzaは1989年にサウジのジッダで生まれ、13歳の時に父Osamaとは離れ離れになっており、その後、Hamzaはイランで自宅軟禁のような状態になっていた。
父と離れて約8年が経過した、父が殺害される2年前の2009年7月に手紙で、父と同じ道を進みジハードを追求すると誓っている。これはCIAが翻訳したといわれる言われる内容で、原文は確認していない

父Osamaもこの息子をアルカイダリーダーの後継者の一人に考えていたようで、父の部下であった人物が父に、パキスタンへの移送ルートを提案していたことが手紙から明らかになっている
●また別の部下が、息子に爆弾の取り扱い訓練を準備し、小銃等の使用訓練も計画していると父に伝え、息子が良い子であると手紙で父に伝えている

Hamza2.jpg●最近では、昨年5月に息子Hamzaが、ジハード組織に対しシリア内での戦いを促し、パレスチナの開放を訴え、8月にはサウジの仲間に向け、サウジ王族支配を転覆するよう促す映像を公開している

●5日の国務省による措置「Specially Designated Global Terrorist」指定で、米国治世下にあるHamzaの資産は凍結されると共に、米国民や米企業はHamzaとのビジネスを禁じられ、世界中にある米国出先機関は目を光らせることになる
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オバマ大統領は就任直後より、アフガンからの米軍撤退を表明していましたが、現場の様子を把握するにつれ撤退を先延ばしせざるを得なくなり、現在も約1万人規模でアフガン軍の訓練支援に当っています。また、昨年初の段階では2017年に5000名規模に縮小する計画だったものの、最近になってオバマ大統領が8500名規模を維持することを決断しています

そんな中、米海兵隊は公式には「何も決定されていない」との立場ですが、米海兵隊の前線部隊指揮官(少将)が自分の部隊が春にアフガンに展開する方向だと発言し、米海兵隊戦闘部隊が2年ぶりにアフガン現場に派遣される方向に向いているようです

関連記事
http://www.military.com/daily-news/2017/01/05/marines-may-return-afghanistan-advisers-spring.html

Hamza.jpgアフガンに限らず、中東やイスラム過激派の現状は厳しさを増しており、トランプ氏の勢いのよさとは裏腹に、容易な状態ではないようです。
だからロシアとこの部分で何とか手を握って・・・とのアプローチが、手詰まり感を脱却する「起死回生の一撃」となるのか・・・ぼんやり眺めてまいりましょう。

中東関連の記事
「中東に米空母なし」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-30
「オバマが対テロ7原則確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-07
「米軍の弾薬を当てにするな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-21-1

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無人ボートの「群れ」で港湾防御試験 [Joint・統合参謀本部]

RHIB4.jpg12月14日付米海軍研究統括室(ONR)web記事が、11月に実施された複数の無人ボートを自律的に連携させて不審船等に対処する試験の様子を紹介し、2014年の基礎的試験から更に深化し、敵の画像識別、群れ内部での任務分担、無人ボート戦術の多様化などを検証したと報じています

既存の小型有人ボート(港湾内の警備や特殊部隊が敵艦艇に接近したり乗艦するための高速強化ゴムボート)を、市販部品を活用した無人化キットを搭載するだけで軽易に無人ボートとして活用できるため安価で、しかも「退屈で、汚く、危険な」任務から貴重な人的戦力を開放できるとONR幹部は語っています

また、従来は高価値艦艇の防御強化に無人艇の活用を考えていたようですが、今回は港湾防御を狙いとして取り組んだようで、ある意味、よりニーズと早期実現可能性のマッチングを見定めた応用試験と言えるかも知れません

14日付米海軍研究統括室web記事によれば
RHIB.jpg10月、米海軍研究統括室(ONR:Office of Naval Research)は、産業界や学会や関係政府機関と協力し複合材無人ボート(RHIB)の群れと他の小型舟艇を組み合わせ、人間が細部に直接関与しない監督方式での自立的パトロール任務実験を実施した
●ONRが開発している自立無人ボート技術は、CARACaS(Control Architecture for Robotic Agent Command and Sensing)と呼ばれ、どの港湾施設にも必要でアリながら「退屈で、汚く、危険な」任務を、民生部品を使用して有人ボートを使用するより経費効率的に行おうとするものである

2014年、ONRは最初のCARACaS技術デモ試験を行い、無人化キットを搭載した複数の複合材ボート(RHIB)をシンクロして行動させ、「群れ」として敵艦艇に対処したり、味方艦艇防御の行動を取らせたりした
●今年10月の試験では2014年の教訓も踏まえ、追加の付加機能として、敵艦艇の画像識別、「群れ」内部での個別任務分担を試し、更に無人ボート戦術の多様化にも取り組んだ

今年10月の試験映像(約6分半)


今回のデモ試験では、無人ボートの群れに広範なエリアのパトロール任務を付与し、エリアに進入した不審船に対し、「群れ」のどのボートが当初対処するかを判断させ、不審船が有害か否かを判別し、対処が必要な場合には支援ボートを呼び寄せつつ、エリア全般の監視を再分担で継続させる等の任務で検証した
●この一連の試験の間、細部を直接指示しない人間の監督官には、無人ボートの「群れ」から逐一状況が報告された

●米海軍の指導者達は、有人と無人システムを組み合わせることで生じるシナジー効果の重要性を近年強調しており、無人ボートが様々な危険な任務に従事し、貴重な人的戦力の安全を確保しつつ、より経費効率的に任務遂行が可能になると考えている
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RHIB2.jpg個々の戦闘力や強靱性で劣っている無人システムを、「群れ」として扱って個別&群れの両方でコントロールして相手の対処能力を「飽和」させる方式は、陸海空のドメイン全てで追求されています。

特に中国の各種誘導兵器が、精度や数量で飛躍的な進歩を続ける中、その対処の切り札の一つとして、また相手の対処を困難にして「防御コストを強要」する手段として注目を浴び、「第3の相殺戦略」の重要要素として研究が進められているようです

人工知能AIをセンサーや情報処理技術の進歩と組み合わせることで、驚くような「群れ」が登場するのも遠くないかも知れません・・・
何となく不気味で恐ろしいですね・・・無人システムの群れに襲われることを想像すると・・・

無人機の有効活用
「国防長官が技術飛躍有りと」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1
「無人機の群れ:艦艇の攻撃や防御」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-10
「海軍研究所の滑空無人機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-04

「AI操作の無人機が有人戦闘機に勝利」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-19
「米空軍が小型無人機20年計画」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-18
「Penetrating Counter Air検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-30
「航続距離や搭載量が重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08

「IS無人機で初の犠牲者」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-15-1
「国防省戦略能力室の主要課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-10

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映像:中国軍H-6K最新爆撃機の演習風景 [中国要人・軍事]

H-6K.jpg正月2日、Military.comに「H-6Kの実弾投下訓練」と題する動画が投稿され、戦闘機に援護されながら低空で目標に接近し、海上の目標に爆弾を投下する様子を約3分の動画で紹介しています。

過去の様々の映像を組み合わせた感も漂っていますが、画面上のクレジットからすると、中国のテレビ局か映像制作会社が製作した映像のようです。なぜこのタイミングでこの映像が出たのかは、想像をたくましくする必要がありそうです

映像の中でH-6Kが投下するのは、防空ミサイルから自己防御するチャフと海上目標に対する自由落下爆弾のようで興味津々のグアム島などの攻撃用射程2500kmの巡航ミサイルCJ-10A(長剣-10)や、射程1500kmのDH-10の発射風景は納められていません

まぁ・・古式騒然とした感じの操縦席の風景や、戦闘機と海上を低空を侵攻する模様が沢山含まれていますので、詳しい方はじっくり吟味して下さい

映像:H-6Kの実弾投下訓練



なお、H-6K(戦神)はH-6爆撃機シリーズの最新型で、2007年に初飛行し、現在も生産が継続している型です。主な特徴は・・・

H-6K-3.jpg長剣-10(CJ-10A)巡航ミサイル(射程2,500km)搭載型翼下に6発のDH-10 巡航ミサイルの搭載が可能
●エンジンを中国ライセンス生産版 (WP-8)ターボジェットエンジンから、ロシア製のソロヴィヨーフ D-30KP2ターボファンエンジンに換装し、航続距離が延伸

●更に、ペイロードが約9トンから12トンに増え、主翼下のミサイル用パイロンが4カ所から6カ所へ増加
●操縦装置の近代化で、乗員が5名から4名に減らされた。衛星通信も可能に

最近の中国軍機開発
「改良版J-31初飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-27
「改良版J-20エアショーで飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02
「中国軍が次世代の爆撃機計画?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-07

米国防省の年次レポートに学ぶ
「2016中国の軍事力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-15
「2015年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-17
「2014年版」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06

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米国防省が超長波通信に新手法で挑戦へ [米国防省高官]

DARPA4.jpg12月29日付Defense-Newsは、国防省の国防高等研究計画庁(DARPA)が12月に構想を公表し、今年1月6日に企業関係者への説明会開催を明らかにした、新たな手法での「超長波」及び「超超長波」通信装置への取り組みを紹介しています

物理学の原理からすれば、超長波(VLF:very low frequency)及び超超長波(ULF:ultra low frequency)は低周波数を利用することから、水や土や岩や金属や建物を突き抜けて進む事が可能で、潜水艦と水上艦艇や無人水中艇間の通信が可能になり、また地下施設や洞窟との通信や地雷の操作や生き埋め者の捜索にも活用できるはずです

しかしVLFやULFを発信には、例えば10ヘルツの送信の場合、波長の半分の約1500kmのアンテナが必要になり、またアンテナが巨大なため、電力にもメガワット単位のエネルギーが必要なため、戦場での兵士の使用や潜水艦や艦艇への搭載は実用的でないと言われてきました

この課題に対処するため、DARPAのTroy Olsson担当責任者が取り組もうとしているのが新しいアンテナAMEBA(Mechanically Based Antenna)です。
細部については現時点で不明な部分が多く、1月6日の企業説明会以降の話でしょうが、夢のありそうな話ですのでご紹介しておきます

12月29日付Defense-News記事によれば
VLF.jpg●AMEBAは、VLFやULFの特性を生かした上で、手持ち可能か人が運べる通信機を目指すものである
●Olsson担当責任者は、「アンテナから電波信号を発射するため、アンプや電子回路で電流を周期変化される代わりに、AMEBA計画では強力な電力や磁界を帯びた物質を機械的に動かす事を考えている」と説明したが、細部には言及していない

VLFやULF通信は大きな潜在能力を持っており、水中で活動する潜水艦や無人水中艇間の直接通信を可能にし、潜水艦などが浮上するリスクを避けることが出来る
●また、GPS信号は水中では活用できないが、ULF通信により三角測量方式で他の潜水艦の位置特定を可能にし、2020年運用開始を見込む無人潜水艦の運用に朗報である

陸軍や海兵隊などの地上部隊にとって、VLFやULF通信は見通し線外の長距離通信を可能にする技術となろう
AMEBA.jpg●現在地上部隊が使用する高周波無線機(PRC 117 SATCOMやPRC-150)は、送信者が受信者の位置を精密に把握して置く必要があり、またアンテナは電波伝搬状況に応じて昼夜で変更する必要がある
●またGPSと同様に衛星を使用するSATCOMは、有事に通信衛星が中国やロシアの前に脆弱であることを考慮すれば脆弱でアリ、VLFやULF通信実用化への期待は大きい

12月に公になったばかりのAMEBA計画は、まだ研究開発の初期段階でアリ、企業との開発協力契約もまだであるが、1月6日にバージニア州で開催される企業等関係者に対する「Proposers Day」をDARPAは計画している
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AMEBA2.jpgどの程度、「handheld or man-packable」な機材が実現可能なのか不明ですが、夢のある技術ですし、日本企業も絡めそうな気がします。

初夢で終わらないよう期待しつつ、続報を待つことと致しましょう

DARPA関連の記事
「相殺戦略は万能にあらず」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-11-1
「自身が創造したサイバー空間に苦しむ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-20
「超超音速兵器に進化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-11
「新型の宇宙監視望遠鏡」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-19

「科学技術革新会議の中間報告」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-11
「電子戦への人工知能応用」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-31
「対潜水艦の無人艦艇」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-11

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米空軍がT-X提案要求書を発出 [米空軍]

米空軍が(当面)最後の大物機種選定開始!

T-X compe.jpg年の瀬も押し迫った12月30日、米空軍が現在予定される中で最後で最大の機種選定案件である次期練習機T-Xの提案要求書(RFP:request for proposals)を企業に発出し、総額1兆8千億円以上とも言われる機種選定が本格始動しました

次期練習機T-Xは、50年以上使用している420機のT-38後継として350機の調達を予定し、20年間に亘って毎年1000億円以上の調達運用経費が絡む大型契約で、米国外の企業も交えた4チームが参戦すると言われています。

同機は米空軍が取り組む調達改革の試金石とも言える調達事業で、空軍長官が掲げる「早い段階からの企業との情報共有」、「コストと性能のトレードオフを精査」等々の指針に沿い、通常より1年近く早い2015年3月に要求性能案が公開されました。

その後、企業とじっくりやりとりして検討した後に今時の提案要求書が決定・発出され、2017年秋に企業と機首を決定し、2022年から納入を開始、2024年度中には運用体制が確立可能であることが条件となっています

12月31日付DODBuzz記事によれば
米空軍参謀総長Goldfein大将は、「より実戦的で素晴らしい訓練を提供し、第5世代機への操縦者の意向を円滑にして訓練時間を削減するため、我々はこのT-X選定を厳正に正しく行わなければならない」と声明を発表した
●更に、「導入が進む5世代機の能力を最大限活用する出来るかは、T-X導入による高等操縦者訓練計画の成否にかかっている」と表現した

T-X  Boeing3.jpg●また米空軍教育訓練コマンド司令官Roberson中将は、「第5世代機の導入が進めば進むほど、(現有の練習機で訓練したパイロットの技量と必要な技量との)訓練ギャップが拡大し続けている」と危機感を訴え、T-X導入の重要性を主張した
●提案要求書には、最初の5機導入から始まる製造計画や維持整備体制の立ち上げ支援計画、地上訓練システム、訓練計画処理システム、維持整備のための装備や部品への要求が含まれている

9月13日に「ボーイングとSaabチーム」が、候補となる新設計の機体を公開し、なかなかかっこ良い機体が軍事メディアの話題を集めている
他にも「T-X」へは3チームの参戦が予期されており、「Northrop Grumman/ BAE」は新デザイン機を提案予定である。「Lockheed Martin」は韓国空軍が使用している韓国製T-50の改良型T-50Aで参入する方向で、「Raytheon, Leonardo and CAE」もM-346を改良した機体T-100で競争に参入する見込み


今後様々な関係者の思惑を含み、4チームに絡む米国、韓国、スウェーデン、イタリア等の各国や企業が動くと思われますので2015年3月公表の要求性能やその背景をご紹介した当時の記事から振り返ります

米空軍次期練習機T-Xの要求性能と選定の流れ
(2015年3月18日公表)
●このT-X調達は、James米空軍長官が掲げた調達改革の最初のケースとなるもので、「早い段階からの企業との情報共有」、「コストと性能のトレードオフを精査」等々の狙いがどのように実現されるのかに注目が集まっている
T-X trainer.jpg●公開された100項目以上の要求性能に基づき、同年5月10日までに希望企業が参加を申し出る。その後、申し出た企業と細部のやりとりを経て、最終的には2017年秋に企業と機首を決定し、2022年からの納入開始

●米空軍教育訓練コマンドは「従来の装備調達に比し、10ヶ月も早く要求性能を公開した。これは企業とのより深くオープンな意見交換を行うためである」と述べ、2026年~45年の間の運用を想定し、その間年間360時間の飛行を前提として稼働率80%を求めている
米空軍は「off the shelf」航空機に拘らないことから、「Boeing/Saab」や「Northrop Grumman/ BAE」は新デザイン機を提案予定である

具体的な特徴的要求項目
100項目以上の要求性能の中で、特に強調されているのは「sustained G」と「simulatorの信頼性・有効性」と「sustainment」の項目である
●また、老朽化したT-38練習機では出来ない戦闘機及び爆撃機操縦者に必要な訓練が出来ることが求められている

●エンジンの燃費はT-38より1割以上の改善が要求され、空中給油装置も要求。外装PODは「weapon systems support pod」と「travel pod」のみ
●米空軍はまた、多様な空対空・空対地の兵器発射・投下を模擬出来る「switchology:スイッチアクション?模擬」が可能なことも求めている

その他の関連事項
T-X trainer2.jpg●米空軍作戦部長は議会で、「T-Xは将来Aggressor任務を果たすに十分なスペース、パワー、冷却機能等を有しているが、要求性能ではAggressor任務を求めてはいない」、「F-16が同任務を最も効率的に実施している中、T-Xの使用を考えるのは時期尚早だ」と説明した
●米空軍省の調達担当次官も、将来のある時点でAggressor任務をT-Xに期待する事はありあるだろうが、要求性能値はそのオプションを妨げないものとなっていると語った

●米空軍からの企業への質問には、「将来の能力拡張や変更に関し、どの程度オープンで柔軟か」や「レーダーやリンクや防御システム等の将来改修の阻害要因」が含まれている
●一方で米空軍教育訓練コマンドは「拡張性」要求には懸念も示し、「要員養成訓練が可能なことが重要であり、拡張性は必要だが、適切な費用対効果の範囲内でだ」と語った
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4チームの提案機種については、DODBuzzの他、Defense-News記事も紹介していますので、細部にご興味のある方は基記事を原文をご覧下さい
Defense-News記事http://www.defensenews.com/articles/new-t-x-request-for-proposals-tees-up-major-fight-among-defense-primes

T-X  Boeing2.jpg米空軍は、コストと性能のトレードオフを見極めるため、時間を掛け慎重に企業群と意見交換を行ってきました。
そしてこの手順を踏むことで、結果発表後に敗者による「不服申し立て」や「訴訟」が起こらないよう最善を尽くしています。しかし練習機は世界中に候補機が存在し、参加者全員が納得する選定は至難の業です

既に現時点でも、米軍事メディアは選定の「ドロ沼」化を予想しており、新政権、特に国防副長官や調達担当次官や空軍長官の舵取りに注目しています

T-X関連の記事
「ボーイングがT-X候補発表」→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-16
「T-X要求性能の概要発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-23-1
「シミュレーターが重要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-21

「次期練習機は2年凍結?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-19
「米空軍T-38練習機の後継争い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-30
「ボーイングがT-38後継を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-10-18
「T-38に亀裂やトラブル多発」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-20-1

悪夢のKC-46A選定どろ沼
「KC-X最終決定 泥沼終結か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-25

次期練習機や長距離スタンドオフ兵器等が対象
「米空軍の調達コスト削減戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-19

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米海軍を5つの小ネタで学ぶ [ちょっとお得な話]

LCSIndep2.JPG今度は年末年始休暇のネタ切れで、米軍事情報サイト「Military.com」が提供しているシリーズ「5 Things You Don't Know About」をご紹介します

このシリーズは軍事装備品を映像と共に、5つの豆知識から学ぼうとするもので、過去に6本ご紹介してきました。過去の記事は末尾をご覧下さい

今日のテーマは「米海軍」で、この大きなテーマにどうアプローチするのかと思いましたが、いつものように全く相互に関連性のない5つの話題でアプローチしています。いつものように、英語解説の聞き取りの間違いにはご容赦を・・・

5つの視点は、月面着地第一号は元海軍人、WW2で潜水艦乗りの死傷率が全軍で最高、21発の礼砲は無脅威を、複数の町が米海軍発祥を主張、米海軍規模が最大時は・・・です。

映像は約6分半です。


話題1:月面着地第一号
Aegis3.jpg月面に人類初の1歩を記録したアームストロング氏は、米海軍の武装偵察機パイロットとして朝鮮戦争で78回の作戦飛行を行っていた海軍OBである
●1947年に予備役、49年には正規兵となり朝鮮戦争に従軍した。1952年には地対空砲の攻撃で機体が被弾し、何とか友軍領域まで戻ったが基地到着前に緊急脱出し助かった

話題2:WW2で潜水艦乗りの死傷率
WW2時の米海軍潜水艦部隊は、全兵士の2%を占める程度の規模であったが、WW2期間に52隻が乗員3500名と共に失われ、この死傷率は全軍の中で最高だった

話題3:21発の礼砲
●米海軍では、現役大統領、元大統領、大統領選挙勝者に21発の礼砲で敬意を表するのが儀礼であるが、これは昔、軍艦が相手国に入港する際、大砲を全て空砲で発射して脅威でないことを証明する習慣から生まれたもの
外国国旗や外国元首や外国海軍トップにも同様の儀礼で応接する

話題4:米海軍発祥町を複数が主張
Donald Cook1.jpg米海軍は1775年に初めて編制されたことになっているが、その発祥地には複数の町が名乗りを上げ、結論は出ていない
●発祥地として主張する各町等は、最初の軍艦を建造したとか、最初の艦隊が配備され乗員が住んでいたとか、海軍編制決定の議論を議員が行った町とか

話題5:米海軍規模が最大時は・
WW2の間、米海軍は史上最大の海軍規模を誇り、6700隻以上の艦艇を保有していた。
空母27隻、支援空母77隻、戦闘艦艇360隻以上であった
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月面に立った最初の人類が米海軍OBとは、陸軍や空軍は悔しい思いをしてるんでしょうねぇ・・・
でも、国家を挙げた大プロジェクトの最後の詰めの最前線指揮官を、軍人OBが勤める辺りが軍人の面目躍如ですね!

そう言えば、F-15のテストパイロット上がりの操縦者が、公募宇宙飛行士の第1号に選出され、宇宙ステーションで活躍したのは記憶に新しいところです
この他にも「5つの視点で学ぶ」シリーズには、以下で紹介した以外にも、「空母」「地雷」などが公開されています。ご興味のある方はどうぞ

映像で5つの視点から学ぶ
「米海軍潜水艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-26
「火炎放射器」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-11-2
「負傷者救出ヘリ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-07

「B-2爆撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-01
「AK-47ライフル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-28
「原子力潜水艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-07-1

映像で見るシリーズ
「わずか12㎏の兵器搭載地上ロボット」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-09
「防空&ミサイル防衛の融合IAMD」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-27-2
「威力強烈:AC-130」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-06
「CASの歴史を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-19

「イメージ中国軍の島嶼侵攻」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06
「泣ける:帰還兵士と犬との再会」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-05
「レーザー兵器試験@ペルシャ湾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-13

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中東に米空母なし:トランプ就任時もなし [Joint・統合参謀本部]

トランプ就任時、中東に空母なし・・・

Bush-CV.jpg12月28日付defense-Newsが、26日に空母アイゼンハワーが中東戦域での任務を終え母港Norfolkに向かったが、交代予定の空母ブッシュは米本土の母港を訓練不足で出発できない状態にあり、少なくとも2ヶ月間の「空母の空白」期間が生じるだろうと報じています

従って、来年1月20日のトランプ新大統領就任式当日には、トランプ政権が当面の国防省の最重要任務と位置付け、米国防省も最も精力を傾けている対ISILを初めとする中東作戦に、大きな役割を担う空母が存在しない状態になります

米国防省的には、代替手段として米空軍戦力を「ちょい足し」して対応するとの公式見解らしいですが、交代空母ブッシュの定期修理期間が2倍以上の13ヶ月もかかって終了した今年夏から、米海軍は遅れへの対処や今後の見通しについて何も語らず、漏れ聞こえてくる話から海軍内部が大混乱状態にあるような印象さえ与えている状態です

本件については、10月12日の記事で「定期修理が間に合わない」とご紹介しましたが、空母アイゼンハワーの任務期間延長もされず、空母ブッシュの派遣時期も不明確なまま、「空母の空白」が現実のものとなってしまいました

28日付defense-News記事によれば
Bush-CV2.jpg●通常空母の交代は、ペルシャ湾かアラビア海の現場で、双方の空母が見えるような位置になってから実施されてきたが、空母ブッシュは母港Norfolkをまだ出港しておらず、1月20日にはとても間に合いそうもない
●海軍関係者は、空母ブッシュ戦闘群は12月21日に最後の大規模な派遣事前演習を終了したが、少なくともあと1ヶ月は出発までには必要だろうと語った

●空母ブッシュは昨年5月に6ヶ月間の定期修理のためドック入りしたが、間もなく修理期間が8ヶ月必要だと発表があった。この時点では通常必要な準備訓練10ヶ月間を9ヶ月に短縮して対応可能だろうと考えられていた
しかし同空母は今年7月13日までなんと13ヶ月間も定期修理に要し、12月の交代に間に合わすには、4ヶ月間の訓練期間しか確保できないこととなった

●定期修理遅延の理由については、米海軍内の関係する複数のコマンドが様々な説明を行っているが、原子炉、搭載システム、搭載兵器等々の各関連部署の説明は複雑に絡み合っており、海軍内の連携の混乱を伺わせている
背景には、修理期間に見つかった要措置箇所への対応計画のまずさ、熟練技術者の不足等々が言われているが、背景には予算削減による人員削減や経費削減があると言われている

Bush-CV4.jpg修理完成後の訓練期間短縮についても、「Fleet Forces Command」の準備の遅れが指摘されており、修理の遅れが明白なのに、訓練計画修正のための関係者会議が8月半ばまで開催もされなかったと複数の関係者が証言している状態である
修理の遅れは空母ブッシュに限った話ではなく、担当の「Naval Sea Systems Command」は問題を認識して対策に取り組んでのに、修理が終了した7月中旬時点で、今後の訓練予定が明確になっていなかったことに疑問の声が上がっている

●これまでもそうだが、本記事掲載の向けて米海軍に今後の予定等についてコメントを求めたが、一切回答はない
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10月12日の記事や原典の米軍事メディア記事は、少し詳しく定期修理ドックの苦しい運営状態を説明し、計約3.5万人の人員で運営され、2013年以降に新規に1.3万人を雇用したが任務増加で追いつかず、また熟練工は急には育たない等の問題を抱えています

また、複雑な修理工程を計画し、突発事態に対応して計画を修正する人材の不足も深刻な模様です。

trump5.jpgなお、なぜ空母アイゼンハワーの派遣期間が延長されなかったのか記事は触れていませんが機材の傷みやクリスマスを遠征先で過ごすことの士気への影響など、なかなか外部からは見えない事情もあるのでしょう。

いずれにしても、「強いアメリカを取り戻す」とは言ってみても、この米海軍空母の状態だけを見ても、その道のりが決して容易ではない事は明白です

米空母の定期修理が間に合わない
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-09

現在規模の維持だけでも年10兆円予算増
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10

空母関連の記事
「F-35Cの着艦装置が凄い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-22
「露空母が26年目で初任務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-23
「イラン無人機が米空母撮影」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-01

「新空母フォード級を学ぶ」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
「映像:革新的新カタパルト」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-10

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2016年の米軍を写真8枚で [ふと考えること]

明けましておめでとうございます!
あと200日、3000記事までは頑張ります・・・

米国防省webサイトが、「2016 years in Photo」とのwebページを開設し約250枚の写真で1年間の活動を振り返っています。

2016Pho2.jpg写真は6つのカテゴリー(作戦活動、人道支援、訓練、リーダー達、軍人アスリート(傷痍軍人の活動)、軍隊生活)に分類されており、各カテゴリーで約40枚の写真が紹介されています。

「百聞は一見に如かず」ですので、一度のぞいてみてはいかがでしょうか・・・。

に「軍人アスリート(傷痍軍人の活動)」や「軍隊生活」カテゴリーは、普段日本では目にしない写真にあふれており、いろいろと考えさせられます

以下の写真8枚は、まんぐーすのチョイスです。特にコメントはありません

上段:オバマ政権のNSCと海軍兵士が国旗と降下
中上:CH-47ハワイでお尻だけ着陸手足を縛って特殊部隊水泳訓練
中下負傷軍人アスリートの活動
下段日本の風景:東京上空で夜間飛行訓練と沖縄兵士の家族

2016Photo4.jpg2016Photo8.jpg








2016Photo2.jpg2016Photo3.jpg








2016Photo5.jpg2016Photo9.jpg








2016Photo.jpg2016Photo7.jpg








「2015 years in Photo」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-24  

「2014 years in Photo」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-26

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