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米軍事メディアが2016年の10大ニュースを [安全保障全般]

pentagon2.jpg年末にありがちな企画ですが、複数の米軍事メディアが様々な視点で「2016年の10大ニュース」の選定に取り組んでいるので、年末年始に2016年をゆったりと振り返るため「ちょこっと」ご紹介したいと思います

「様々な視点」とご紹介しましたが、あるメディアは「編集者達が議論して10大ニュースを決定」し、あるサイトは「最もアクセスが多かった記事10本」を紹介し、ある軍種応援団体は「●軍の10大作戦」との視点で2016年を振り返っています

「米国防省の2016年:写真とNewsで」は、カーター国防長官の力を入れた政策の羅列感がありますが、各メディアは技術や商売や話題性や窮状を訴えたい感などなど、様々な視点で選定しているので、「へぇ・・」とか「ふおぉー・・・とか」つぶやきながらご覧下さい

残念ながら全てのニュースを説明する気力がないので、2つ3つだけ各メディアから触り部分のみ取り上げますので、ご興味のある方はリンクに飛んで下さい

Miritaly.com
(編集者達が議論して10大ニュースを決定)
http://www.military.com/daily-news/2016/12/25/the-top-ten-military-stories-of-2016.html
trump5.jpg1位は、トランプが大統領選挙に勝利で米軍の最高指揮官へ。軍人への世論調査によれば、トランプ氏への支持はクリントン氏の3倍あった。黒人兵士層のみがクリントンを支持し、他は軍種や年齢層を問わずトランプ氏を支持していた

2位は、陸軍と海兵隊の両方で小銃等に関する選定の動きや話題が多かった事。陸軍のピストル選定では、なぜか最大手の一つが門前払いになり今も様々な噂が。また軍人指導者は反対したが、基地内への私物武器の持ち込みが法律で許可されることに
3位は、実際的な意味はないが、徴兵性が復活した際に女性も男性同様に徴兵すべきとの法案への支持が国防省関係者に広がっている件。女性の職種制限が全廃される等、米軍内での女性の活躍が話題になっているので。一方トランプ氏は2013年のツイートで、軍内に20万件以上の性的暴力事案があるのに、数百件しか処分等がなされていない現状から、女性を増やせば更に事件を増やすだけだと主張

Defense-Tech
(最もアクセスが多かった記事10本)
http://defensetech.org/2016/12/27/top-10-defensetech-posts-2016/
Zumwalt.jpg1位は、ステルス巡洋艦ズムウォルト級のステルス性がすごい! あるロブスター漁船船長は、海上監視レーダーで探知した際は全長15m程度の小型漁船だと思っていたが、近づいてその航跡が全長200mもある軍艦でビックリ仰天したと語っている。水上事故防止のため、最近は通常の航海の時にレーダー反射面積を増すリフレクターを使用している模様

2位は、シリア内らしい映像で、シリア政府軍が使用しているロシア製最新戦車T-90が、反政府側が発射した米国製対戦車ミサイルBGM-71 TOWで攻撃され破壊される映像がネット上に拡散。シリア政府軍がロシア製戦車を使用している点と、米国製対戦車ミサイルに破壊された点が注目された
●3位は、核戦争時に、米海軍の指揮統制用に使用されるB-707型機を改良した「E-6B Mercury」がコロラド州で目撃された。訓練のため、加州からオクラホマ州に向かう途中だった模様

DODBuzz
(最もアクセスが多かった記事10本) 
http://www.dodbuzz.com/2016/12/27/top-10-dodbuzz-posts-2016/
F-35C Landing.jpg1位は、空母艦載型F-35Cの着艦誘導装置の精度が素晴らしく、地上滑走路での試験では、あまりに正確に同じ場所に着陸するため、滑走路の特定場所のみが摩耗して対処に追われている

●2位は、アフガンでタリバンが仕掛けた簡易爆弾でアフガン軍のヘリコプターが墜落。飛行場周辺のへりの着陸ルートの地上に爆弾が仕掛けられ、ヘリが上空通過時に爆発し墜落
●3位は、垂直離着陸型F-35Bの着艦誘導装置が素晴らしく、波で大きく揺れる艦艇の甲板にスムーズに着艦する映像が話題に

米海軍協会webサイト
(米海軍2016年の10大作戦)
https://news.usni.org/2016/12/28/23030
Iran-US-Navy.jpg1位は、ホルムズ海峡周辺のイラン領海に、誤って進入した米海軍小型ボート搭乗員がイラン海軍に拘束され、イランTVが拘束された米兵の映像を放映。24時間あまりの拘束で、イラン側は装備と共に米兵を解放したが、領海侵犯した米海軍兵士への不適切な訓練や、「やれば出来る/やってみる」式の指揮官の教育方針も問題になった

●2位は、空母2隻体制での効果的な作戦遂行。中東では、空母トルーマンとアイゼンハワーが、それぞれ地中海とペルシャ湾から同時にかつ効果的に対ISIL作戦を遂行した。また7月には、空母ステニスとレーガンが同様に2隻体制でハイエンド作戦を行った
●3位は、米海軍の電波情報収集部隊の少佐が、おとり捜査によってスパイ容疑で逮捕された。同少佐の弁護士は、不適切なおとり捜査だと訴えており、来年3月に判決が予定されている
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日本では全く放送されていないニュースも含まれていますが、大統領選挙への軍人の支持具合はもっと注目すべきだったと反省しています。

桜4.jpg最後のおとり捜査は、軍人を対象にこの様な操作が行われたことが結構衝撃だったようです。

まんぐーすが取り上げたのは、F-35B型とC型の着陸誘導装置の精度や能力が素晴らしいとのニュースだけでした。まだまだピントが合っていないと言うことでしょうか・・・反省して2017年に臨みたいと思います

F-35B型とC型の着陸誘導精度が素晴らしい
「B型の素晴らしい垂直着陸」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-05
「C型の着艦精度がすごい」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-22
「ズムウォルト級ステルス駆逐艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-22

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米軍被害復旧部隊を沖縄から追い出した日本 [米空軍]

最重要部隊を排除した「日米地位協定」

Silver Flag3.jpg22日、多くの日本人がクリスマス&年末休みモードに入り、誰も航空自衛隊webサイトなど見なくなるタイミングに見計らったように、既に12月8日に終了した日米共同の滑走路等の被害復旧訓練「Silver Flag」の様子を、航空自衛隊webサイトが公表しました

グアム島アンダーセン基地で行われた同演習には、航空自衛隊から28名が参加し、滑走路や配管の緊急補修訓練、応急タンク設置訓練、CBR(化学・生物・核)兵器対処訓練などが行われた模様で、写真付きで空自webサイトが紹介しています

もちろん訓練は重要で「ご苦労様」な事ですが、恐らく訓練に参加した空自部隊の隊員は、「対処に必要な装備や資材は旧式のママで、基地施設は強靭化どころか老朽化対策さえ進まないのに、米軍の訓練に付き合わされても前進しようがない」「戦闘機関連だけに予算を付け、他分野を放置して置きながら、対外宣伝用の写真撮影用に訓練に参加させられても白ける」との声が聞かれるのでしょう

12月22日の目立たない広報記事
http://www.mod.go.jp/asdf/news/release/2016/1222/
11月25日の事前ピンナップ
http://www.mod.go.jp/asdf/news/houdou/H28/1125.pdf

Silver Flag.jpg前座が長くなって恐縮ですが、今回の空自「Silver Flag」参加には一つ疑念があります。

・・・というのは、事前ピンナップで「航空自衛隊として昨年のオブザーバー参加に引き続き、初めての参加」と今回の参加を発表しておきながら、実は今年2月に約1週間に亘り「Silver Flag」に既に参加しており、事実と食い違うのです

なお、今年2月の参加は全くピンナップも事後広報もなく、同時期にグアム島で行われていた「Cope-North Guam演習」のピンナップにも関連訓練は全く触れられていません

グアムにおける日米豪共同訓練及び日米豪人道支援・災害救援共同訓練(通称:Cope-North Guam演習)の事前ピンナップ
http://www.mod.go.jp/asdf/news/houdou/H27/0122.html

しかし米空軍webサイトはしっかり報道
http://www.af.mil/News/ArticleDisplay/tabid/223/Article/674215/first-partner-nation-silver-flag-concludes-at-andersen-afb.aspx

Silver Flag2.jpg●2月19日までの約1週間、米空軍、豪空軍、シンガポール空軍、韓国空軍、航空自衛隊が参加して「Silver Flag」を実施
●演習では、展開先の拠点整備訓練、基地機能維持訓練、敵攻撃被害の復旧訓練が計画され、専門職域毎に指揮統制、電気系統、発電機運用、滑走路被害復旧、緊急事態対処部門に分かれて訓練した

●演習後半には、CBR(化学・生物・核)兵器対処訓練、航空機降着装置、飛行場灯火装置、高圧電源発電機や供給システムの訓練も行われた
●米空軍の参加兵士は「CBR(化学・生物・核)兵器対処訓練の経験が全くない外国兵士に教育しろと言われて驚き戸惑ったが、直ぐに理解してくれ、教えたように行動してくれたことに感激した」と感想を語った

なぜ、11月から12月の「Silver Flag」参加を「初めての参加」と偽って発表したのか・・・多国籍訓練だからか、韓国が含まれていたからか、CBR(化学・生物・核)兵器対処訓練が含まれていたからか、Cope-North Guam演習に含めるはずが失敗したのか、単にピンナップ準備を怠ったのか・・・謎です。

単に航空自衛隊を牛耳る戦闘機パイロットの関心が低かったので、無視されていたのかも知れませんが・・・


本題はここからです!!!
(2012年3月1日付Stars&Stripes沖縄版より)
http://okinawa.stripes.com/base-info/kadena-silver-flag-site-officially-stands-down-moves-guam#sthash.MzDYeWur.dpbs
Silver Flag4.jpgこの航空自衛隊の動きを調べる過程で「Silver Flag演習」を勉強していて判明したのですが、なんと、この「Silver Flag演習」を担当する優秀な米空軍の被害復旧部隊が、「日米地位協定」を理由に沖縄を去ることを余儀なくされていたのです。

中国が弾道・巡航ミサイルで、第一列島線上の米軍や自衛隊の作戦基盤基地を緒戦でたたきつぶそうとしていることは繰り返しご説明してきましたが、そんな攻撃への抑止力の重要な一部を担う戦闘機部隊よりも重要そうなこの部隊が、グアムへの移動を強いられていたのです

具体的には嘉手納基地に所在していた「554th RED HORSE Squadron」「security forces squadron」「36th Contingency Response Group」が、2012年2月21日に部隊閉鎖の憂き目に遭い、関連施設の整備も含めてグアムで完全復活するまで約4年が必要となったのです

理由はなぜか???それは「日米地位協定」が、在日米軍基地や演習場内で日米以外の国が訓練することを認めないからです。

Silver Flag5.jpg米軍は中国の脅威の変化を踏まえ、西太平洋の同盟国軍に対し、基地被害復旧訓練を嘉手納の施設を使用して実施したかったのですが、「日米地位協定」がそれを許さず、日本側の「脅威の変化」への理解も得られず、4年もの訓練の空白を生みつつ撤退を余儀なくされたのです

脆弱な嘉手納基地からグアムへ撤退したかったのかも知れませんが、いずれにしても、お金を払ってでも日本に残ってもらいたい部隊でした・・・。
「覆水盆に返らず」「後の祭り」状態なのですが、返す返す残念です・・・

英国空軍の戦闘機が三沢基地周辺で訓練することは認めておきながら、そんな部隊より遙かに重要な米軍部隊の活動を縛り、日本の国益を害するなんて・・・(涙)

「意味不明な日英戦闘機訓練」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-18

何のための地位協定なのか・・・軍属の範囲云々・・・だけでなく、本質的な部分も見直して欲しいですね・・・悲しい

中国の攻撃に備えて
「テニアンをグアムの代替に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-16-1
「グアム施設強化等の現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-1
「グアムの抗たん性強化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1
「グアムで大量死傷者訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-08-1
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12

「米と豪が被害想定演習を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02
「在沖縄米軍家族の避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-21
「嘉手納基地滑走路の強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-09

「Wake島へ避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-04-1
「テニアンで作戦準備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-05
「ブルネイの飛行場を確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-14

沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13

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日米首脳の真珠湾訪問:再び442連隊を学ぶ [ふと考えること]

オバマ大統領が政治家を志した背景にこの日系人部隊が
最後にハワイを訪問したオバマ氏の胸中に迫る・・・

Abe-Obama2.jpg日本時間28日朝、安倍首相とオバマ大統領がそろって真珠湾を訪れ、それぞれの所信を語って同盟関係の発展を期す契機としました。

私が約10年前に戦艦アリゾナメモリアルを訪れた際も多くの人が訪れており、船で慰霊施設に渡るのに時間によっては2~3時間待ちが普通だと伺いました
陸地側の施設には真珠湾攻撃の展示資料館が設置されていましたが、淡々と史実を伝え、攻撃した日本軍側の事も驚くほど丁寧に紹介していたことが印象に残っています

今回の安倍総理の訪問を通じ、当時のハワイ在住日系人が遭遇した運命や厳しい現実を伝える報道も行われましたが、同時に現在のハワイ州知事が日系人であることなど、日系人の活躍が紹介されたのは良い相乗効果と言えましょう

Abe-Obama.jpgただ、既に両国首脳の真珠湾訪問への思いは大きく報じられていますが、オバマ大統領が政治の道を志すに至った過程で、少なからぬ影響を与えたのが日系人であったことはほとんど知られていないと思います

本日は、真珠湾攻撃や太平洋戦争が生んだ米国内「日系人」社会の現実と日系人だけで編制された伝説の442連隊、そして同連隊に所属して片腕を失いながらも日系人の上院議員を50年以上務め、多くの米国人から尊敬を集め、オバマ大統領に多大な影響を与えた「ダニエル・イノウエ氏」を振り返りつつ、「伝説の日系人部隊」第442連隊を再び学びます
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過去記事
故イノウエ上院議員を偲び、442連隊を学ぶ
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-19

442Inoue2.jpg2012年12月17日、ハワイ選出の上院議員、ダニエル・イノウエ氏が88歳で亡くなりました
第2次世界大戦時には、日系人のみで編成された「伝説」の第442連隊員で欧州を転戦し、片腕を失った人物でもあります。

その後今日まで50年間上院議員を務め、日米関係の発展に尽力し、米国防省の退役軍人施策にも心血を注いだ、日米双方の安全保障関係者に取って忘れ難い存在でした。

訃報が伝えられて以来、各方面からその死を悼むメッセージが出されていますが本日はオバマ大統領(涙ぐみながら)、パネッタ国防長官とデンプシー参謀総長の追悼の言葉を紹介したいと思います。
そしてまた、442連隊について語らせて下さい・・

パネッタ国防長官は・・
Panettatexas.jpgアメリカンドリームと偉大なる時代のヒーローの姿を体現した人である。
伝説の第442連隊員として壮絶な打ち合いの中で彼が見せたリーダーシップと熱情は、彼の片腕を奪い、名誉勲章を与えた。しかしその後の彼のリハビリへの取り組みと彼の職歴は、現在の負傷兵をも勇気づけている

●上院議員として、彼は最も頼りになる国防省の応援者のひとりであり、いつの時代にも前線兵士を勇気づけてきた。私はクリントン及びオバマ政権下で彼と緊密に連携を取りながら仕事ができたことを誇りに感じている
●彼のお陰で成し得た米軍兵士やその家族、更にハワイの人々の生活の向上は永遠に語り継がれるだろう

デンプシー統合参謀本部議長は・・
DempseyCapstone.jpg●偉大なる世代の一員として、彼は人生で最も良い時期を欧州の専制政治に立ち向かうため捧げた名声轟く第442連隊の一員として。
●彼は戦いで片腕を失い、国家への奉仕を十分に努めたが、国家への貢献はそれだけに止まらなかった
●(上院議員として)彼が行ってきた退役軍人への絶え間ない支援、特に教育や医療分野への努力は、無数の兵士やその家族に今後も多大なる貢献をするだろう

23日、ハワイでの葬儀にオバマ大統領も F-22初の追悼飛行も
Obama Inoue2.jpgF-22 Missing Formation2.jpg








21日、ワシントンDCの教会でオバマ大統領は・・
●私が初めてイノウエ上院議員を見たのは11歳の時、ウォーターゲート事件の審議をテレビで見ていた時です。
●白人の母と黒人の父の間に生まれた私は、インドネシアとハワイで育ち、この世で生きていくことがそう単純でないことに気づき始めていました

obama-inoue.jpgそんな時です、彼を見たのは。この上院議員は力強く、業績を積んだ人物でしたが、当時一般的に考えられていた上院議員像とは異なりました
●そして彼が全米から尊敬を集める様子から、私は私の人生で何が成し得るかのヒントを与えてくれました

●この人物は10代で自ら志願して国に命を捧げる覚悟をしました。それも仲間である日系米国人が敵性外国人扱いされる中で・・・。この人物は米国を信じました。米国政府が必ずしも彼を信頼していない時にさえ・・。
●このことは私に何かを伝えてくれました。力強い何か・・当時は言葉に出来なかった・・強い希望の感覚です。イノウエ氏こそが、私に初めて政治的なインスピレーションを与えた人物と言って間違いありません。
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イノウエ議員を語るに欠くことができない史実・
「第442連隊」について語らせて下さい

442Battle.jpg第442連隊は「Nisei(二世)」と呼ばれる日系人で構成されていた部隊です。第2次対大戦中、米本土内では差別的な扱いを受け強制収容所に送られていた日系人ですが、彼らは「米国人たる日本人」の存在を示すため志願して戦時下の米軍に入隊しました。

当初は米軍幹部も扱いに迷ったようですが、その優秀さから欧州戦線で大活躍し、トルーマン大統領自らが7枚目となる「大統領感状」を授与に赴くまでに至った伝説の部隊です。
その戦いの激しさは死傷率314%、つまり定員約3千人の部隊で述べ9500人の死傷者を記録したほどで、米軍内では抜き出た部隊でした。

442連隊の奮闘が米国中に知られ、同時に米国内での日系人に対する差別的処遇が明らかになり、ルーズベルト大統領が過ちを公式スピーチで謝罪して442連隊の奮闘を讃えました。442連隊は、まさに「体を張って」日系人の名誉回復に大いに寄与しました。
しつこいですが・・・死傷率312%・・米国陸軍史上最大の勲章数を誇る部隊です。
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映画「442 日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍」紹介文より
2010年11月に日本公開の映画)
442F.jpg第2次世界大戦時に日系人で編成された部隊・アメリカ陸軍442連隊に迫るドキュメンタリー。人種差別と戦いながら、父母の祖国・日本と戦う苦悩と葛藤(かっとう)を抱えた兵士たちの揺れる心を、当事者たちの証言でつづっていく。名誉のために命を懸け、偏見と戦った兵士たちの真実に注目だ。

本作は、2010年マウイ・フィルム・フェスティバル<観客特別賞>を受賞した。7月末ロサンゼルスでの公開以来驚異的な動員数を記録し、現在も全米各地で上映が続いている。

YouTube予告編http://www.youtube.com/watch?v=tbO6K_Ig7Y4
Yahooコメント欄http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id337918/
紹介サイトhttp://navicon.jp/news/9842/
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第2次大戦後、60年以上が経過したある日・
2011年11月2日、442連隊へ米国民最高の「議会勲章」授与

442Mullen.jpg2011年11月2日、第2次大戦中の10大戦闘に数えられる「失われた大隊(Lost Battalion)救出作戦」の65周年記念行事がヒューストンで行われ、救出された141連隊の兵士と救出した「米国陸軍史上最大の勲章数」を誇る442連隊戦闘団の面々が集いました。
写真のようにマレン統合参謀本部長議長(当時)も参加し、その栄誉をたたえました。

「失われた大隊救出作戦」とは・・
1944年10月25日、ドイツ軍に包囲されて孤立した約230名の141連隊を救出せよとの命令が時のルーズベルト大統領から出され、これに応じた442連隊戦闘団がフランス東部ボージュの森で800名余りの犠牲者を出しながらも、同30日に任務を達成したとの話です。

442smile.jpg救出後の歓喜の中で、救出された側の少佐が軽い気持ちで「ジャップ部隊なのか」と言ったため、442部隊の少尉が「俺たちはアメリカ陸軍442部隊だ。言い直せ」と掴みかかり、少佐は謝罪して敬礼したという逸話が残されています。
なおこの作戦は、第2次大戦の10大戦闘として米陸軍で今も教育されています。

他にも、イタリア戦線で数カ月かかっても他部隊が攻略できなかった山岳要塞を僅か20時間余りで攻略した逸話、激闘と活躍を聞いた将軍が442連隊を訪問して激励の言葉を述べようとしたが、負傷者が多くて中隊規模の兵士しか整列できず将軍が絶句した話、60年以上が経過して今もなお、解放してもらったフランスの町が毎年兵士を読んで記念行事を行っていること等々・・・話は尽きません

442GoForB.jpg戦争中に442連隊は18000個もの勲章を授与されており、その数自体が他を圧倒しているのですが、戦後日本への感情を廃して見直しがなされ、多くの勲章格上げがなされたとのことです。
連隊ワッペンに記されたGo for brokeは「当たって砕けろ」の意味だそうです。まさにそのとおりの働きでした。
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マレン統参議長は授与式スピーチで・・
442MullenSp.jpg●442連隊の逸話は、聞く人全てを奮い立たせ、私に多くのことを教えてくれる。
●彼ら日系米国人兵士は、その家族を米国により収容所送りにされながら、愛国心を示し、証明しようとしたのである。
激烈な肉弾戦は塹壕一つ一つを奪いあう熾烈なもので、それが最終的な敵の混乱散乱に繋がっている。

●私は、これらを可能にした442連隊兵士の心中を察するとき、真に謙虚になって皆さんとこの教訓を学び、共にしたいと思う。
●あらゆる側面に置いて、我々は米国建国の理念である、豊かで多様性に溢れた国作りを追求していかなければならない。
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442Inoue.jpgイノウエ議員は上で紹介した映画に、主要な語り部として登場しています
淡々と当時を振り返りつつ、聞き手の質問に丁寧に答えるのですが、インタビューの最後にスタッフを見送る際、イノウエ議員をよく知らない観客は「片腕がない」ことにはじめて気づきます

劇場内に「あっ・・」と言う悲鳴にならない声が上がったことを覚えています。合掌

日系人と442連隊
「イノウエ議員と442連隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-19
「映画公開と442部隊の魂」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-03
「米軍トップが最敬礼」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-11-04
「空軍輸送機にイノウエ議員の名を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-28-2

米国防省で日系人が活躍
「女性カトウ大佐が核戦争下の通信装置を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-29
「日系女性が国防省ITを統括」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-30
「普天間担当:日系ナツハラ氏」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-13-1

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輸出用の中国製ステルス機J-31改良型初飛行 [中国要人・軍事]

「廉価版F-35」がキャッチフレーズか

J-31 2nd.jpg26日付中国英字紙China Dailyが中国国有航空機メーカー関係者の話として、中国が最新の第5世代ステルス戦闘機として位置づける「J-31:殲(せん)31」の改良型試作機が、遼寧省瀋陽で初のテスト飛行を23日実施したと報じました

J-31は、2017年にも中国空軍に配備される見通しのステルス戦闘機「J-20」とは異なり、航空機メーカー主導(Shenyang Aircraft Corp,:AVIC:Aviation Industry Corp of China傘下企業)で開発され海外輸出用だと言われる一方で、J-20よりも機体が小さいことから、将来中国空母の艦載機として採用されるとの観測もあります

J-31の旧型機は、2014年に広東省珠海市で開かれた航空ショーで、黒煙を吐きながら飛行する様子が話題を呼んだところ、今回のテスト飛行に先立ち香港メディアは、改良型はエンジンがロシア製から国産に変更されたと報じていました。

26日付China Dailyによれば
J-31 2nd2.jpg●匿名を希望したAVICの広報幹部は初飛行の事実を認めたが、細部は公表できないと語った。AVICの資料によれば、J-31は、行動半径1250kmで最大速度Mac1.8、兵器搭載量は8トン、内部兵器庫に6発と翼下に6発のミサイル搭載可能
●双発でステルス性を備えたJ-31だが、2012年に初飛行を行った旧型試作機と比べ、新型機はステルス性能や武器搭載量などが改良された。23日朝に瀋陽で行われた改良型の初飛行では、機体や翼の形状も変更され、より軽量となり操作性が増したとみられる。

●北京の航空産業専門家Wu Peixin氏は、初期型J-31と比較し、胴体、翼、垂直尾翼がより細く、軽量で機動性を高めるよう変更されていると語った。
●中国空軍の航空専門家Fu Qianshao氏は、改良型が最新の光電目標照準システムやHMDシステムを備えていると解説している

●中国空軍の航空専門家Fu Qianshao氏は、J-31の価格を7千万ドル(約82億円)前後と推測し、「F-35の半額程度で第5世代戦闘機が購入できる」と指摘。また欧州企業の第4世代機タイフーンやラファールも1機115億円以上すると語り、J-31には明るい未来が待っていると自信を見せていた
J-31 2nd4.jpg●更に製造元AVICのLi Yuhai副社長幹部はかつて、J-31により「一部の国家」による第5代戦闘機の市場独占を打破できると主張していた。

●なお、F-35は米国の同盟国以外が購入するのは困難で、パキスタンなどがJ-31購入に関心を示しているとされる
●また、2015年11月にドバイで開催された第14回ドバイ航空ショーに、AVICはJ-31の大型模型を展示してアピールしていた
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同じ中国製ステルス機J-20が初公開された際の記事「大局を見誤るな:J-20初公開に思う」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-02)より、コメント部分を再度掲載致します。
戦闘機命派の皆様は、年末年始にじっくり考えて頂きたいと思います

J-20-1.jpg米国防省が毎年発表する「中国の軍事力」レポートは、中国が高列度の短期戦で地域での紛争に勝利する事を目指しており、そのため弾道・巡航ミサイルで作戦基盤を緒戦で叩き、サイバー戦や宇宙戦や電子戦で米軍が依存するネットワークを寸断麻痺させる事を目指し、着実に力を蓄えていると毎年記述している。
●「中国の軍事力」レポートに限らず、米国の主要シンクタンクもこの様な視点で中国の軍事脅威を捉えており、最近米空軍が取り組んでいる「2030年代の制空検討」においても、速度や機動性と言った空中戦能力よりも、遠方からの活動を意識した航続距離を重視する方向性が示唆されている

●中国空軍が「J-20」に何を期待しているのか定かではないが、日本の戦闘機命派が期待しているような空中戦能力を追求しているとは考えにくく、高価値航空目標攻撃や突破型戦闘爆撃機的な役割を狙っていると考えるのが自然だろう
今後この「J-20」をどのように日本の戦闘機命派が評価するかは、彼らの脅威認識の「リトマス試験紙」となり得る。

J-31関連の記事
「ドバイ航空ショーに登場」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-09
「J-31表面に異常な凹凸」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-06-1
「F-35に対抗?J-31珠海登場」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-11-11

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ソ連崩壊25周年のロシアを考える [安全保障全般]

12月25日はソ連崩壊25周年に当たりました

Soviet.jpg26日付産経新聞朝刊は、7面に「ソ連崩壊25年 ロシアの改革難しく東欧と格差 民主化、経済成長…消えた希望」とのモスクワ特派員の執筆記事を掲載し、当時の米欧日など西側諸国が新生ロシアに抱いた民主化と市場経済化による発展という希望が消え、旧共産主義陣営の東欧諸国との国力差も鮮明な惨状と、その背景を考察しています

ロシアというと、先日の日露首脳会談に対する「空振り感」が日本に漂い、週末の世論調査の「ロシア嫌い:76%」との数字が示すように、ますます印象は悪くなるばかりですが、ここは「相手の足下」を見つめ、焦らず決して変な妥協はしないの決意を固めるべきと考えます

まぁ・・・「米国による東方拡大姿勢がロシアを変貌させた」との東京新聞社説(25日)やロシア専門家の一部の様な考え方があるとしても、稲田防衛大臣がロシアを刺激しないよう来年1月グアム島訪問時のTHAAD視察中止を検討(26日産経1面)と言われると、日本政府は大丈夫なのかしら・・と心配になることもあり、「崩壊25年」に関する産経記事を取り上げます

26日付産経新聞朝刊7面によれば

1991年から2015年の国内総生産の伸び
(一人当たり:世界銀行調べ)
ロシア  :2.6倍
チェコ  :6.1倍
ポーランド:5.6倍
ハンガリー:3.7倍

平均寿命の伸び
ロシアは68歳から70歳へ2歳伸び
他の上記3ヶ国は、7~8歳伸び

ロシア停滞の背景と今後の見通し
Soviet2.jpg東欧諸国は、WW2後に共産圏に組み込まれ、ソ連型計画経済がソ連ほど根付かず、各国民の欧州帰属意識も残っており、欧州回帰の改革がソ連崩壊後促進された
●これに対し、旧ソ連では、GDPの1/4を占めていた軍需関連を筆頭に、機械製造など多くの産業分野が国の発注や補助金で支えられていた。これらの分野は、ソ連政府崩壊で資金不足に陥ると即座に行き詰まり、業態の転換や市場への適応に向けた改革は困難かつ多大な「痛み」を伴った

●ロシアのエリツィン政権は価格自由化をはじめとする「ショック療法」で切り抜けを図ったが、多くの庶民は年間25%にも達した超インフレなどの打撃を受けた
●「欧州回帰」のような座標軸もないロシア国民の多数派は安定と秩序を求め、2000年就任のプーチン大統領が強権統治を敷くのを歓迎すらした。

●エリツィン政権が1990年代に着手した改革の成果と石油価格の高騰により、プーチン政権のロシアは2000~2008年に年平均7%経済成長を達成
Soviet4.jpg●しかしその後は、地下資源に依存する国家主導型の経済が硬直化し、頭打ちが鮮明になっている。プーチンが真剣な改革に取り組むとは考えられず、ロシア経済の長期的な停滞が予想されている。

●「1990年代のショック療法の再来」を恐れる国民多数派に、変革を求める大きな動きは出ていない。
●専門家は「今より状況の悪かった70~80年代にも、飢えるほどではないと人々は耐えた。強力な特務機関が反発の表面化を抑え、指導部内の対立もなかった。今日も、この3つの条件(国民の我慢、国家機関による監視、指導部の表面的安定)が維持される限りはプーチン体制が続くのではないか」と見ている
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稲田防衛大臣のグアム島THAAD視察断念!?
http://www.sankei.com/politics/news/161226/plt1612260010-n1.html

東京新聞社説「ロシアばかりが悪いと言えない」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016122502000120.html

産経記事の指摘以外にもロシアでは、科学者等知識人の海外脱出、若者の無気力感蔓延、人口減少、アル中患者の増加などなど、悲観的な状況が広がっており、明るい兆しなど無いと言えましょう。

Soviet3.jpgもちろん北極航路の確保、天然ガス等のエネルギー資源確保、中国の牽制など、日本の国益を考える上で無視できない観点でロシアは重要な国です

でも注意すべきは短期的な視点で成果を求められる西側指導者の、ロシアへの「すり寄り」ではないでしょうか??? あくまでもビジネスライクに、長期的な視点で国益だけを求め、相手を信じることのないように注意したいものです

ロシアを考える古い記事
「日露を直球と変化球分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-21-1
「ロシア社会の停滞と憂鬱」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-15
「INF全廃条約の破棄を願う」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-10

兵頭部長の分析
「露は日露共同演習を目指す」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-09-1
「中露関係は頭打ちで複雑化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-03

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試験や訓練優先で安全を犠牲:海兵隊F-35火災 [亡国のF-35]

F-35 Fire.jpg19日、記者会見を行った米国防省F-35計画室長のBogdan中将は、10月27日に飛行中の海兵隊F-35Bが火災を起こして緊急着陸した原因に関し説明し、機体の兵器搭載庫(weapons bay)内の電気系統ケーブルが摩耗してショートし、近くの油圧ライン等に火災を引き起こしたと語りました

そして電気系統ケーブルが摩耗して「ささくれた:chafe」原因として、ケーブルを固定するはずの留め具(bracket)が緩んでケーブルが揺れ動く状態になったためと説明しました。

ここで驚くべきは、当該「留め具」の不具合は以前に判っており、現在製造中の機体には対策済みの留め具が使用されているものの、製造済みの機体は順次留め金を交換している状態であり、未交換の機体は当該部分を点検しながら飛行を継続しているとの説明があった点です

Bogdan6.jpg更にBogdan中将は、「(この様な)承知の上のリスクは幾つかあり、その一つに過ぎない」とあっさり言い切り、「定期的に当該部位を点検し、飛行中問題ないことを期待しながら飛んでいる」とまで発言しています

F-35に関しては、空軍型のF-35Aも9月23日に機体後部から火災を起こし、その原因は未だ調査中で明らかになっていませんが、同型機は何の問題も無かったように飛行を続けています。これも「承知の上のリスク」なんでしょうか???

これ以上試験期間を延長して経費増を招くと議会等からの非難に耐えられないと判断した国防省が、安全上のリスク許容範囲を恣意的に拡大し、無理矢理試験を強行継続しているように私には思えてなりません
2014年6月のエンジン火災の時には、2ヶ月間飛行停止の措置が執られていたことを思えば特に・・・

F-35計画室長Bogdan中将の発言
Bogdan3.jpg我々はこの問題を火災事故以前に承知しており、全ての機体を新しい留め具に適応するよう改修した(being retrofitted with a new bracket
●しかし、火災を起こした機体は、まだ新しい留め具に交換していなかった。そこで定期的に当該留め具がきちんと機能しているか点検し、飛行を継続していた
●当該機体の当該留め具は、最近の点検で問題なかったが、緩んで機能しなくなったようだ。本件に関しては、査察チームを部隊に送り込んで調査を行っている

●(留め具を交換せず、リスクを背負って飛行していたのかとの質問に対し、)そうである。(この様な)承知の上のリスク(acknowledged risks)は幾つかあり、その一つに過ぎない。留め具の交換が完了するまでは、未交換の機体の当該部位を定期的に点検し、飛行中問題ないことを期待しながら飛んでいる

“Yes, there are acknowledged risks, and that would be one of them,” he said. “And until you fix that bracket, every airplane in the B-model that doesn’t have that bracket is going to have to be inspected, and hopefully that bracket remains in place when it’s flying.”

Defense-Tech記事はBogdan中将発言を
●我々は(飛行前に)点検し、問題ないように見えた。しかし飛行したら良くなかったのだ。全ての軍用機はリスクを抱えている
当該留め具の交換が完全に終了するのが何時になるのか、未交換の機体が何機あるのかには言及しなかった


空軍型F-35の火災原因は未だ不明
(20日付Defense-News記事より)
F-35 Sun-Set.jpg●海兵隊F-35Bの飛行中火災事故の約1ヶ月前の9月23日、アイダホ州Mountain Home空軍基地で発進準備中だったF-35の尾部から火災が発生したが、この火災の原因は未だに公表されていない
またこの火災関連で、飛行停止になった機体は全くない

●この火災の原因については数ヶ月後に明らかになると思われる。20日にDefense Newsが米空軍報道官に確認したところ、米空軍教育訓練コマンド司令官Roberson中将が、事故調査委員会AIBの設置を決断した模様
●通常AIBは、初期の事故調査が終了してから立ち上げられ、事故原因に関するレポートをまとめることになる
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osprey-marine.jpg辺野古沖に着水したオスプレイの事故は、空中給油パイプの切断が原因でアリ、空中給油を除く飛行の再開に何の問題も無いと思いますが、相次ぐ火災を起こしているF-35の飛行継続強行は、試験を急ぐあまり安全を犠牲にしていると言われても仕方の無い状態です

折しも、2017年末には終了すると言われていた開発試験(SDD)を少なくとも数ヶ月延長せざるを得ない事が確実で、議会から猛烈な非難を浴びている最中でもアリ、安全軽視で試験を進める動機は十分にあります
ちなみに、10月27日に発生した飛行中の火災は、11月7日にメディアが報じるまで、事実上隠されていたことも付言しておきます。

海兵隊F-35は来年1月に岩国に展開しますし、航空自衛隊のF-35操縦者訓練もルーク空軍基地で間もなく開始されるはずです。
「承知の上のリスク」と言われても、誰が承知しているの?・・・と声を荒げて確認したくなる「亡国のF-35」です

最近連続するF-35の火災
「10月27日の海兵隊機火災」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-09
「9月23日の空軍機火災」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-24

2014年6月のF-35エンジン火災(当時は2ヶ月間飛行停止)
「火災メカニズム」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-04
「当面の対処と設計変更」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-29
「問題は軽易ではない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-08

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米海軍潜水艦を5つの視点で学ぶ [ちょっとお得な話]

SSBN.jpgクリスマスのお休みでネタ枯れなので、米軍事情報サイト「Military.com」が提供しているシリーズ「5 Things You Don't Know About」を久々にご紹介します

このシリーズは軍事装備品を映像と共に、5つの豆知識から学ぼうとするもので、これまで5つほどご紹介してきました。過去の記事は末尾をご覧下さい。

今日のテーマは「米海軍潜水艦」で、全く相互に関連性のない5つの話題でアプローチします。聞き取りの間違いにはご容赦を・・・

5つの視点は、戦略原潜搭載の核兵器の威力、潜水艦手当は誰が考案、米潜水艦での最長連続任務期間、最も高価な金銀運搬記録、米海軍の原子力潜水艦喪失事故です。

映像は約6分半です


話題1
Virginia-class submarine2.jpg●米海軍が現在使用する戦略核兵器搭載オハイオ級原潜1隻で、広島型原爆の約3000倍の破壊力の核兵器を搭載している
●オハイオ級原潜は24発のトライデント2型SLBMを搭載しており、各ミサイルが4個の小弾頭を持っており、計96個の小弾頭がオハイオ級に積み込まれている
●小弾頭には複数の種類があるが、1個で広島型原爆の約30倍の威力があり、96X30=2880倍の破壊力となる

話題2
潜水艦搭乗員への特別手当を最初に要求したのはセオドア・ルーズベルト大統領である。1905年のことだった
潜水艦の可能性に興味を持った同大統領は、約2時間の搭乗視察を行い、その操作の難しさと精神的な負担の大きさを痛感し、視察後直ちに特別手当を予算化すると発表した
資格を取得した乗員は月10ドル、加えて潜水業務1日につき1ドル。資格取得訓練中の兵士も月5ドルの特別手当を予算化し、人材の確保に勤めた

話題3
Virginia-class submarine3.jpg戦略ミサイル原潜は連続航行勤務の期間が長いが、同潜水艦には通常2クルーがアサインされ、一方が任務で、他方が地上で休養や訓練や任務準備を行う
●通常のミサイル原潜の1回の平均任務期間は70日間だが、2014年に行われた連続140日間任務が最長記録となっている

話題4
●太平洋戦争時、真珠湾奇襲攻撃後の日本軍の電撃南方侵攻により、フィリピン駐留米軍は補給物資を入手することが困難になった
●そこで米軍は潜水艦で弾薬等の輸送を行ったが、フィリピンからの帰路には、積み荷を降ろした後のスペースに砂袋等を詰めて潜水が出来るように重量を増やしていた
●いよいよフィリピンでの地位が危うくなってきた米国は、フィリピンから金銀約10億円分を潜水艦に搭載し、ハワイまで避難させた

話題5
米海軍の原子力潜水艦が失われた事故は、過去に2件ある
1963年に129名が死亡した事故があり、これが潜水艦事故史上で最悪の人的犠牲事故である。もう1件は1968年で99名の乗員が犠牲となった
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Virginia-class.jpg戦略原潜の1回の平均任務期間が70日間だとは知りませんでした・・・・。戦略原潜には、女性の配置を始まっているらしいですが

この他にも「5つの視点で学ぶ」シリーズには、以下で紹介した以外にも、「空母」「米海軍」「地雷」などが公開されています。ご興味のある方はどうぞ

映像で5つの視点から学ぶ
「火炎放射器」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-11-2
「負傷者救出ヘリ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-07
「B-2爆撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-01

「AK-47ライフル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-28
「原子力潜水艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-07-1

映像で見るシリーズ
「わずか12㎏の兵器搭載地上ロボット」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-09
「防空&ミサイル防衛の融合IAMD」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-27-2
「威力強烈:AC-130」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-06
「CASの歴史を学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-19

「イメージ中国軍の島嶼侵攻」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-06
「泣ける:帰還兵士と犬との再会」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-05
「レーザー兵器試験@ペルシャ湾」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-13

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トランプ「F-35の代替にF-18改良型を」 [亡国のF-35]

23日朝、F-35計画に衝撃のトランプツイート

trump7.jpg米国東部時間22日午後5時26分、日本時間の23日朝午前7時26分、トランプ氏がツイッターで「ボーイング社に対し、F-35と同程度のF-18製造価格を問い合わせた」と発信し、F-35製造のロッキード社とF-18製造のボーイング社の株価を乱高下させる反響を呼んでいます

トランプ氏は12日にも、「F-35開発計画とそのコストは制御不能」「来年1月20日以降、多くの予算が他の国防分野や他分野に活用されることになろう」とツイートし、米国防省やロッキード社関係者を大慌てさせ、21日には国防省F-35計画室長がトランプ氏と面会し、ロッキードCEOも直談判説明を行ったようです

もちろん、F-35と同程度(comparable)のF-18が簡単にできるわけではなく、発言の真意は不明でアリ、コストが膨らむF-35計画への警告発言とも考えられますが、これだけ明確にターゲットを絞った発言が続くと、海外の購入国関係者の心中も穏やかではないでしょう

22日付Defense-Newsは本件に関し
F-35 3-type.jpg●トランプ氏はツイートで、「ロッキードマーチン社F-35の恐ろしく莫大な費用とコスト超過を考え、私はボーイング社に同等のF-18製造価格を問い合わせたところだ」と発信した
Based on the tremendous cost and cost overruns of the Lockheed Martin F-35, I have asked Boeing to price-out a comparable F-18 Super Hornet!

●このツイートを受け、ロッキード株は2%値下がりし、ボーイング株は1.5%上昇した
●この発言が両社にどのような意味を持つのかは不明確である。F-35は数々の問題を抱え、経費超過が続いているが、ステルス性やセンサ情報融合能力を持っており、第4世代機のF-18をそのレベルの能力を持たせるには多くの時間と費用が必要だと考えられるからだ

ボーイング社は最近クウェートからのF-18受注が決定し、生産ラインの稼働を延長させることが確定したことから現在の状況に満足しており、トランプ政権にも出来る限りの能力を提供したいとの姿勢である
●本件に関し、ロッキード社とエンジン製造のPratt & Whitneyはコメントを避けている

●航空業界コンサルタントのRichard Aboulafia氏は、「当面FA-18とEA-18Gへの投資を継続し、F-35空母艦載型への投資を抑えている米海軍にとっては悪い話ではないが、何れ海軍もF-35にシフトする計画だ」と語り、
●また、「FA-18は優れた攻撃機だが、空母での運用を想定した機体であり、5世代機のようにステルス性を追求するのは困難だ」と見ている

marilly-LM.jpg●(12日のF-35予算削減ツイートの後、)21日には国防省F-35計画室長Bogdan中将がトランプ氏と面会し、ロッキードCEOも直談判説明を行い、ボーイング社長もトランプ氏と議論している
ボーイング社長は「トランプ氏らは極めて建設的で、良い雰囲気の会談だった。オープンで良い議論ができ大いに力づけられた」と語ったが、Bogdan中将とロッキードCEOはコメントを控えている

●一方トランプ氏は(一連の会談に関し)、「始まったばかりだ。これはダンスだ。ダンスのようなものだが、コストを下げ、この事業を美しく仕上げている」と語っている
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Bogdan6.jpgF-35関係者のクリスマスムードを吹っ飛ばしたトランプツイートですが、日本の関係者にも「米国側から何も連絡が無い」以上の積極的な情報収集をお願いしたいものです

なお、最近の厳しいF-35計画への風当たりを受け、安全リスクを犯して試験を強行する様子が感じられる事象が発生していますので、後日ご紹介します

トランプ氏とF-35
「F-35予算削減ツイート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-13
「新政権の国防予算はF-35が鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08
「F-35巡り国防省で内紛」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-09

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米空軍が2016年もやりますサンタ大追跡! [ちょっとお得な話]

今年のサンタのお仕事は25日午後8時に終了!
全世界に「7,281,439,471個」のプレゼントを配達終了です!
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米空軍とボランティアと企業群が今年もサンタを大追跡!
http://www.noradsanta.org/

日本時間の24日午後4時頃からサンタが北極で活動開始!




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SantaVillage.jpg既に50年以上の歴史を持つ行事ですが、ユーモアを解する世界の人々に8カ国語(日本、中国、オランダ、スペイン、伊、英米、仏、ポルトガル)で提供されており、厳しい予算の中でも頑張ってくれています。

皆さん!お子さんのいらっしゃる方はもちろん、意中の方とご一緒の方も、はたまた西洋のしきたりを無視する方も、遊び心で一度サイト(記事の冒頭にアドレス記載)を覗いてみては如何ですか。

昨年2015年のハイライトをご紹介
まず、サンタ村を出発した際の映像です!


ロンドンの時計台と大観覧車上空も通過!


エジプトのピラミッド上空も!



サンタ追跡の歴史と最新技術(?)映像で!

サンタ大追跡の歴史と最新技術?・・


なぜ米空軍NORADがサンタを追跡するのか?
NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)とその前身である CONAD(中央防衛航空軍基地)は、50 年以上にわたりサンタの飛行を追跡してきました。

NORADsanta.jpgNORADshaup.jpgこの恒例行事は、1955 年にコロラド州に拠点を置くシアーズ ローバック社が、子供向けに「サンタへの直通電話」を開設した際に、なんと誤って CONAD司令長官への直通電話番号を掲載したポスターを全国に掲示した事に始まりました。

子供たちからの間違い電話を受けた当時の司令官シャウプ大佐(写真)が、ユーモアでサンタの行動を部下に米空軍のレーダーで確認させる振りをして、電話を掛けてきた子供たちにサンタの現在地の最新情報を随時伝えたことに始まりました。

1958 年、カナダと米国の両政府は「NORAD」として知られる両国が共同運営する北米防空組織を創設しましたが、NORADもサンタの追跡という伝統も引き継いだというわけです。

それ以来、NORAD の職員とその家族や友人の献身的なボランティアによって、世界中の子供たちからの電話やメールへの対応が続けられています。また、現在ではサンタの追跡にインターネットも利用しています。サンタの現在地を調べようと「NORAD Tracks Santa」ウェブサイトアクセスする人の数は、何百万人にものぼります。

そして今では、世界中のメディアもサンタの飛行経路に関する信頼できる情報源として、NORAD の情報を採用しているそうです。
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どのようにサンタを追跡?
NORAD・Santaサイト情報。ジョークにご注意を。)

●NORAD は、レーダー、人工衛星、サンタ カメラ、ジェット戦闘機の 4 つの最新鋭システムでサンタを追跡します。

santa.jpgまず使用するのは、「北米警戒システム」と呼ばれる NORAD のレーダー システムです。この強力なレーダー システムは、北米の北部国境に張り巡らされた 47 の施設で構成されています。NORAD はクリスマス イブにこのレーダーを絶えず監視して、サンタクロースが北極を出発する瞬間をキャッチします。

●サンタが飛び立ったのをレーダーで確認したら、次の検知システムの出番です。地球の上空約 36,000 km の静止軌道上には、赤外線センサーが搭載され熱を感知することのできる人工衛星が複数配置されています。なんと、赤鼻のトナカイ「ルドルフ」の鼻からは赤外線信号が放出されているため、NORAD の人工衛星はルドルフとサンタの位置を検知できるのです。

3 番目の追跡システムは「サンタ カメラ」ネットワークです。「サンタ追跡プログラム」をインターネット上で展開し始めた 1998 年から使用しています。サンタ カメラは超クールなハイテクの高速デジタル カメラで、世界中にあらかじめ設置されています。NORAD では、これらのカメラをクリスマス イブの 1 日だけ使用します。これで世界中を飛び回るサンタとトナカイの画像と動画を捉えます。

santa-coat.jpg●追跡システムの 4 番手はジェット戦闘機です。CF-18 戦闘機を操縦するカナダ NORAD のパイロットがサンタに接近し、北米へと迎え入れます。米国内では、F-15 や F-16 戦闘機を操縦する米国 NORAD のパイロットが、サンタとその有名なトナカイたち(ダッシャー、ダンサー、プランサー、ヴィクゼン、コメット、キューピッド、ドナー、ブリッチェン、そしてもちろん、ルドルフ)とのスリル満点の共同飛行を実現します。
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サンタに関する米空軍の公式解説

サンタ行動の科学的分析
●サンタは良い子にしていた子供達の長いリストを持っています。毎年子供たちのリストは増え続けています。結果としてサンタは、1 軒あたり 0.0002~0.0003 秒の速さで各家庭を回らなければいけないということになります!
サンタクロースが1600 歳以上だという事実を考えても、また、サンタは子供たちにプレゼントを届ける大切な仕事を慌ててしようとは思わない点からしても、彼が私達の知る「時空間」で作業しているわけではないことが想像できます。
●そう考えると、私達とは異なる時空間で活動しているらしいと考えるのが唯一合理的な結論となります。

サンタの存在と移動手段について
santa-book.jpg多くの歴史的データと 50 年以上に渡る NORAD の追跡資料から導き出される結論は、サンタクロースが世界中の子供達に心の中に実在し心から愛されているということです
●ライト兄弟による最初の飛行機より以前から、サンタは猛スピードで家から家へと飛び回る方法を見つけなければなりませんでした。サンタ・カメラの画像からサンタは素早く移動するために空飛ぶトナカイの群れを選択したことが分かっています。

●このトナカイたちの詳細はまだまだ不明ですが、分かっていることは、サンタが世界中にプレゼントを届けるという任務の手伝いをトナカイ達に要請したということです。その他の詳細は、素敵な謎のベールに包まれています。

イブの24日午後4時頃からサンタが北極で活動開始!
本年も気楽に楽しみましょう!

NORADのサンタ大追跡webサイト
http://www.noradsanta.org/

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トランプ氏の国防優先事項に対露なし!? [米国防省高官]

今後の激震を予期させるスクープ報道です・・・

Trump memo2.jpg20日付「Foreign Policy」電子版が、米国防省の政策担当次官代理が作成した部下に対するMemo文書を入手しトランプ氏の国防省政権移行チーム長から聞き取った、「トランプ氏の国防優先事項」が含まれていると紹介しています

そしてその「トランプ氏の国防優先事項:president-elect’s defense priorities」の中に、これまで国防省関係者が米国に対する一番の脅威だと言い続けていた「ロシア」が含まれていないと指摘しています。

これに対して政権移行チーム側は、「メディアがこのリストを取り上げ、トランプ政権の優先事項の全てを表現していると見なすのは誤解を招く誤りだ」と反論していますが、国防省側は「政権移行チーム側に聞いてくれ」との姿勢で、疑問を打ち消すには至っていません

なにせトランプ氏は、ロシアと親密な関係にあると言われているエクソンモービル社のTillerson社長を国務長官に付けようとしており、対ロシア外交の大転換が噂されている中での話でアリ、皆が疑心暗鬼になっている状況です

もちろんMattis次期国防長官が完全にロシアを無視できるはずもなく、中国や北朝鮮やイランとの言葉も4つの「国防優先事項」リストには含まれていないのですが、話題になりそうな話ですのでご紹介しておきます

Memoの現物拡大写真
https://foreignpolicymag.files.wordpress.com/2016/12/screen-shot-2016-12-19-at-1-44-09-pm.png

20日付「Foreign Policy」電子版によれば
(同Memo文書の中身の概要)
McKeon DOD.jpg●同Memo文書は12月1日の日付で、Brian McKeon政策担当次官代理が部下との情報共有のために作成した文書であり、トランプ側政権移行チーム長であるMira Ricardel女史が11月28日の国防省側との申し送り会議の中で示した、「トランプ氏の国防優先事項4つ」を周知するためのもの
●トランプ側チームは当時は16人で、今後約20名となり、概要ブリーフィングを受けつつ担当分野を細分化して20名で分担する方向で進める

既に数回のブリーフィングを終了しており、国防省の組織や政策、対ISILや北朝鮮や中国についても一応の説明は行ったが、追加の説明も準備中である
●Ricardel女史は、国防省の各組織や機関の主要課題や関連予算状況の説明を希望しており、更に予算等が許せば取り組みたいと考えている希望事項も聞かせて欲しいと要望している
●また引き継ぎ会議を小規模で行う事をトランプ側は希望しており、参加者については規模を限定して対応する

4つの「トランプ氏の国防優先事項」
●Developing a strategy to defeat/destroy ISIS
Build a strong defense(予算管理法の縛り除去、戦力の規模・即応性・威力の改善)

●Developing a comprehensive cyber strategy
●Find greater efficiencies(Work副長官による偉大な仕事を更に追求して積み上げる。国防省内から新しいアイディアを募る)

「Foreign Policy」電子版の指摘
Dunford1.jpg●例えばダンフォード統合参謀本部議長は、昨年7月の上院軍事委員会でロシアを上回る脅威はないとの認識を示し、「米国の生存に関わる脅威を呈している一番の国はロシアで、彼らの行動を見れば明らかである」と明言し、それに続く脅威として、脅威度の高い順番に中国、北朝鮮、ISISを上げて証言している
●またJames Clapper国家情報長官(DNI)も昨年2月、ISISはロシアほど米国の国益を脅かす存在ではないとの認識を示し、「ISISは米国に決定的なダメージを与えることは出来ないが、ロシアは可能だ」と語っている

●また国防省の調達担当高官は、米国防予算の重点は対ロシアにあると発言しているし、米軍と欧州NATO諸国との演習は増加し、欧州とロシアとの国境沿いにはNATO諸国の軍が増強配備されている
●更に有事に備え、戦車等の重装備の欧州ロシア正面への事前集積を開始してる

●この様な状況の中で、4つの優先事項にロシアは現れないし、国防省側が既に行ったとMemoが表現しているブルーフィン対象国に、ISISと北朝鮮と中国は含まれているが、ロシアが含まれていない
Clapper2.jpg●また、引き継ぎ会議関係者によれば、トランプ側は国防省の対ロシア政策担当者等とも会議を行っているが、あまり突っ込んだやりとりはなく、ほとんど場合「どんな状況ですか?」確認する程度である

●もちろん専門家でも「Mattis次期国防長官から直接話を聞かないとよく分からないし、優先事項を絞るにはもう少し時間が必要だろう」と考える者が多いだろうし、国防省内部からロシアの脅威軽視は大きな反発を受けるだろう
●しかしTillerson国務長官が誕生すれば、これまでの対ロシア姿勢がトーンダウンする可能性はある
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Foreign PolicyはMEMOの中身をあまり紹介せず、多少誇張して報じているような気がしますし、MEMOの中身も明らかに物事の一面しか表現していないと思いますが、気にはなります。

時間がたてば明らかになる事でしょうが、写真で見る折り目の付いた生々しいMemoには、確かにISISや北朝鮮や中国との言葉はあっても「ロシア」との言葉が全くなく、「?感」ありありです

Work-Reagan.jpgだいたい、この様なMemoをリークするのは、トランプ側を牽制し、「ロシア脅威」を訴え、「Tillerson国務長官の誕生を阻止したい」からでしょうから、今後も一波乱も二波乱もありそうな予感です

ただ「Work副長官による偉大な仕事を更に追求して積み上げる」とのMEMOの言葉には期待が持てそうです。なかなか目の付け所が良いじゃないですか・・・

ロシアがNo1脅威との指摘
「ダンフォード議長が上院で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-10
「ロビンソン女性大将も」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-23-1

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次の陸軍長官に士官学校卒のお金持ち金融企業家 [米国防省高官]

Vincent Viola氏は候補を辞退した模様

2月3日付のブルームバーグ等によれば、関係者の話として陸軍長官職とビジネスを完全に切り離すのは困難と判断し、推薦を辞退した模様
同日、トランプ大統領に伝えたという。トランプ氏が政権高官に指名した候補で辞退者は初めて
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米国には色んな人材がいますねぇ・・・

Viola3.jpg19日、トランプ氏は次の陸軍長官を、陸軍士官学校卒業の元陸軍少佐でデジタル証券会社創設者の億万長者で、プロアイスホッケーチームのオーナーで、陸軍士官学校への寄付で対テロやサイバー戦などの近代戦研究を支援している慈善実業家Vincent Viola氏にお願いすると発表しました

陸軍長官は最近2年間で4名が入れ替わり務めており、現在のEric Fanning長官(同性愛者を公言)は半年以上議会承認が得られず、今年5月に就任したばかりです

この発表を伝えるDefense-News記事は、トランプ氏の公約である無駄を廃して米軍を再建することを、ビジネス界での経験を生かして支援する事になろうと報じています。
本日は断片的ながら、Viola氏についてご紹介します

19日付 Defense-News記事によれば
現在60歳のVincent Viola氏は、イタリア移民の子供でアリ、父親はWW2に米軍兵として参戦している。同氏も1977年に陸軍士官学校を卒業し、軍人として最後は、米陸軍予備役の少佐まで務めた
軍退役後はビジネスの世界に進み、現在はデジタル証券会社Virtu Financialの創設者として経営に関与し、またNHL所属のプロアイスホッケーチーム「Florida Panthers」のオーナーでもある

Viola.jpg●911同時多発テロの際に、ニューヨーク商品取引所の所長だったこともアリ、その後私財を陸軍士官学校に寄付して「Combating Terrorism Center」「Army Cyber Institute」「Modern War Institute」等の研究機関を創設し、また運動選手を支援する「Army athletic programs」も支えている
●陸軍長官就任が議会に認められれば、Viola氏は現在関与している事業から離れることが必要だが、NHLチームの発表によれば、同チームの所有権はViola家に残るが、運営は副社長が引き継ぐことになる模様

●トランプ氏は同氏の指名に際し、「優れた米陸軍での功績とビジネス界での極めて印象深い活躍の何れもが、如何なる困難に直面しても、素晴らしいリーダーシップを発揮し、大きな結果を残す人物である事を証明している」との声明を発表している
●Viola氏自身も「議会で承認して頂ければ、疲れも忘れるくらいに働き、トランプ氏の国家安全保障戦略を支え、如何なる任務も遂行する地上戦力を提供するよう取り組む」、「私の仕事の焦点は、全てのタイプの紛争に於いて、米軍兵士達が戦って勝利を収めうる手法と手段を確実に手にできるようする事である」と声明を発表している
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Viola2.jpg米国にはいろんな人材がいるんだなぁ・・・と感心する次第です。

トランプ氏がMattis次期国防長官を支える布陣に、どのような人材を配置するのか今後も気になるところですが、士官学校卒業で10年以上の現場軍人経験を持ち、生き馬の目を抜く証券金融業界を渡ってきた人材を、60歳の働き盛りで呼び寄せる腕力で、「無駄を廃して米軍を再建」して頂きたいものです。

トランプ氏関連の記事
「副長官の適任タイプを考える」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-15
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10
「現在の対テロ7原則を確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-07

「国防省改革はどうなる?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-01
「中露を抑止するには」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-05
「Mattis氏が国防長官へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-02

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次の国防副長官の選定:Mattis氏への助言 [マティス長官]

Mattis11.jpg14日付Defense-Newsが、Mattis次期国防長官を支える副長官にどのような人物を据えるべきかに関する論点を取り上げ、Work副長官や国防問題研究者の考え方を紹介しています。

決して具体的な名前を挙げての議論ではなく、Work副長官が過去の国防長官との関係を軸に分類した「副長官の4タイプ」を紹介しつつ、この4タイプへの国防問題研究者のコメントから次の副長官像を想像する構成です

当たり外れの視点ではなく、国防副長官という仕事から国防省リーダー達の仕事や次期政権に求められることを探っていこうとの試みが興味深いので、ご参考まで概要を紹介します

4日にWork副長官が語った「副長官の4タイプ」
work AFA.jpg●Chief management officerタイプ
ビジネス界から、組織の効率性向上や削減を期待されて引き抜かれて来るタイプで、1969-1971年のDavid Packard副長官のような人物
●政策専門家タイプ
ラムズフェルド国防長官の副長官を務めたPaul Wolfowitz副長官のようなタイプで、紛糾して困難な政策課題について長官を補佐する人物

●無二の親友(alter-ego)タイプ
パネッタ長官とカーター副長官(現在の長官)のような関係のタイプで、必要に応じてどんなことでも長官の手足のように延長線上で行動する人物
●CEO/COO modelタイプ
現在のカーター長官とWork副長官のような関係のタイプで、Exective機能とOperation機能を分担するスタイル

Work副長官は次期副長官の選定に関して質問する記者に対し、上記4つのタイプを踏まえつつ、トランプ氏とMattis氏に助言するなら「副長官に何を求めるのかを明確にして人選すべきだ。例えば、政策が得意なWolfowitzのような人物を選ぶなら、組織の効率化推進に期待するなと言うことだ」と語った

70年ぶり退役軍人長官で専門家意見は様々
●AEIのMackenzie Eaglen女史は
Eaglen AEI3.jpgMattis長官には、COOとベテラン国防省経験者を組み合わせたようなタイプが会うのではないか。トランプ氏は早期に結果を求めそうなので、直ぐ仕事に取りかかり推進力となる人材が適当だろう

政策専門家は単純に必要ない。長官は政策に関わらざるを得ず、政策担当次官も存在するので副長官には別の仕事を期待すべき。無二の親友も良いが、必要不可欠ではない

●CNASのLoren Schulman女史は
Schulman.jpgMattis氏にとって、副長官の選択は、統合参謀本部議長と大統領安全保障補佐官とトランプ氏との関係並みに重要となる
明確で透明性のある業務の長官との切り分けが必要で、スタッフにもこれは該当する

いすれにしても副長官は、長官だけでなく、国防省内や議会での「信頼」が欠かせない。次の副長官は、予算増や国防省の組織構造を扱うことになり、大胆な行動やリスクを許容する機会があるだろうが、公正さや訴えル力がないと成功しない

各軍種は、予算が増えれば厳しい決断を先延ばしに、長期的に維持不可能な装備規模を求める傾向がある。また議会は、予算の用途に厳しい目を光らせているので、次の副長官はこれらに対処しながら前進する必要がある
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Work副長官の指摘した「4タイプ」を違いを理解出来ているわけではなく、現在を「CEO/COO modelタイプ」と表現されると「そうなんだ!」と理解するほか無いのですが、「修道士のような兵士」タイプのMattis氏と馬が合う人物とはどんな人なんでしょうか?

Mattis14.jpgEaglen女史がご推薦の「COOとベテラン国防省経験者を組み合わせたようなタイプ」で、この時代にトランプ政権下で副長官を引き受けてくれる人がいるのか・・・気になります。
まぁ・・大統領安全保障補佐官も、国土安全保障省長官も退役軍人のようですから、あっさり元戦友の名が上がるのかも知れませんし・・・

Schulman女史の軍に対する「長期的に維持不可能な装備規模を求める傾向」とのコメントは、日本にも当てはまるでしょう。

トランプ政権が立ち向かう国防省の課題
「新政権の国防予算はF-35が鍵」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-08
「F-35巡り国防省で内紛」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-09
「規模の増強は極めて困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10

「トランプがF-35批判」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-13
「現在の対テロ7原則を確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-07
「国防省改革はどうなる?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-01

「中露を抑止するには」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-05
「Mattis氏が国防長官へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-02
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国防長官を無視:米海軍が艦艇増強プラン発表 [Joint・統合参謀本部]

予算確保に、4軍の仁義なき戦いが始まるのか・・・

Mabus.jpg14日、米海軍が「FSA:Force Structure Assessment」との形で必要艦艇数の見積もりを発表し、2014年に発表のFSAで示した308隻を47隻上回る、355隻が必要だとの主張を展開しました。
このFSAは、通常2月の予算案議会提出後に、予算案の背景説明資料の位置づけで公表されるもので、数年ごとに出されており、前回は2014年でした。

今回は12月に前倒して「増強案」を打ち出したのですが、これは明確にトランプ氏の選挙中の主張「350隻に増強する」に便乗したものであり、同時に艦艇増強案を厳しく非難して抑制姿勢を明確にしているカーター国防長官への宣戦布告(又は無視宣言)です

カーター長官とメイバス海軍長官の対立はトランプ当選後表面化しており、現在国防省内で取りまとめ中の2018年度予算案議論に置いても、カーター長官が艦艇予算を抑えるよう事前指示を出していたのに堂々と2兆円増の挑戦的案を出し、メディアが「激突」の見出しで報じたところです

予算の現状については、先日Work副長官の解説を取り上げ、「現状規模維持だけで年10兆円の予算増が必要」「規模拡大に前にやるべき事が山積」との現状をご紹介したところですが、米海軍は次期政権を見据え、なりふり構わぬ予算獲得に出始めました

2014年FSAからの47隻増強内訳は、大型戦闘艦艇16隻、攻撃型原潜18隻、空母1隻、強襲揚陸艦4隻、補給艦等8隻です。
なお、この355隻体制はあくまで「必要最低限レベル」であって「希望の理想レベル」ではなく、世界に展開する部隊指揮官の要求に応える理想レベルは「653隻体制」だそうです

米海軍の現状について不案内なまんぐーすですので、現状の勉強も兼ね、47隻増強案を16日付米海軍協会web記事でご紹介します。

大型戦闘艦艇を16隻増強
Aegis3.jpg●中国の対艦ミサイルの高度化&高速化を受け、防空&ミサイル防衛を担う大型ミサイル巡洋艦(イージス艦)の増強が、ミサイル防衛と空母戦闘群の防衛のために不可欠で、現状88隻から16隻増強を要望
現状の見積もりは、1個空母戦闘群に5隻の大型戦闘艦を配備し、対潜水艦戦闘、艦艇防御、弾道ミサイル防衛に従事させる計画だが、中国軍の脅威を想定した最新の戦闘シュミレーションでは、1個空母群の防御に7~8隻が必要との見積もりが出ている

●一方で今回の見積もりでは、大型戦闘艦をどのように組み合わせて運用するのか不明確で、Aegis Combat Systemsを「baseline-9」に近代化改修する計画との関係も不明確である
●また、巡洋艦を近代化するのか、新規巡洋艦を導入するのか、2年に1隻ペースの2つの工廠の造船能力で、現在のアーレイバーク級イージス艦の建造ペースを上げるのか等々の具体的計画も不明である

攻撃型原潜を18隻増強
Virginia-class submarine2.jpg現在48隻体制の攻撃型潜水艦だが、中国やロシアの潜水艦活動の活発化と性能向上を受け、太平洋軍や欧州軍からの派遣要求の60%程度にしか答えられていない現状であり、事態改善のため3割強の増強を目指す18隻増強案となっている
攻撃原潜は、想定される紛争の初期段階で最も重要な海軍アセットと考えられ、製造を開始しているバージニア級の能力向上計画も練られている

理想的には80隻以上の攻撃原潜が必要との見積もりもあるが、2カ所のみの潜水艦造船所の状況や、新型戦略原潜コロンブス級の生産開始もあり、実現可能性がない。
●それでも18隻増強により、空母戦闘群の実戦的訓練支援や、中国やロシアのプレゼンスに対抗するため大きく貢献するだろう

なお戦略原潜は、現在のオハイオ級14隻体制を、今後新型のコロンブス級で12隻体制する方針に変化はない

空母は1隻増強
Ford-Class-Carrier.jpg現在米海軍の空母は一時的に10隻体制に落ちており、数年後に試験を終える新型フォード級空母の1番艦が投入されて11隻体制に復帰する。今回のFSAでは、更に1隻増強して12隻体制を目指している
現在の10隻体制では、空母の定期修理と前線派遣ニーズのバランスを取ることが難しく、派遣期間の延長や不十分な派遣準備訓練の負担とリスクを負う形に陥っている

●しかし完全にはニーズに応えられず、空母プレゼンスの「まだら状態」を招いている。例えば、この夏には地中海とフィリピン近郊に各2隻の空母を派遣できたが、現在は地中海に1隻だけで、太平洋地域は空白となっている
部隊への負担とリスクを取り除き、計画的で安定した空母派遣を実現するため、12隻体制が必要である。ただしこのためには、1カ所しかない空母建造造船所が、現在の5年で1隻建造体制から、4年に1隻建造体制に変化対応する必要がある

強襲揚陸艦等を4隻増強
USS-Makin-Island.jpg現在34隻体制を目標としている強襲揚陸艦(実際は31隻のみ保有)は、4隻増強して38隻体制を追求すると今回のFSAは要望
●現在海兵隊の特別編成空地タスクフォースは、アフリカと中東と南米に展開しており、揚陸艦がないとこれら部隊はオスプレイとKC-130に輸送を頼るしかない。また、展開先の国に部隊展開基地の新設や諸支援を要請する必要があり、各種の負担が増す

●また現状では、日本を拠点とする第3海兵師団は全く揚陸艦を保有しておらず、所要の訓練や同盟国への緊急事態支援の支障となっている
●このような現状を改善するため、航空機搭載艦と輸送艦と装備修理機能艦をうまく組み合わせて増強する必要がある

沿岸戦闘艦LCSは元計画の52隻を目指す
LCSIndep2.JPG●沿岸戦闘艦LCS(Littoral Combat Ship)は、元々52隻体制を目指していたが、2015年12月にカーター国防長官が40隻に削減して他の兵器に予算を回すよう指示している
●しかし今回のFSAは、カーター長官指示を無視し、元々の52隻体制を目指す必要があると主張している

●カーター長官の40隻指示以降、海軍は国防省や議会と隻数挽回を狙って対立しているが、その間にもLCSに大きなエンジントラブルが発生するなど、今後も様々に議論を呼ぶ艦首である
●また、LCSはドロドロの機種選定の結果、2艦首が同時採用される異例の建造が続いており、ロッキードの「Freedom級」とAustal USの「Independence級」の一方を建造中断する議論も沈静化していない
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No-Zingi.jpgその他、各種艦艇を47隻増加させる計画であることから、これらを支援する各種補給艦6隻と指揮統制艦2隻の追加を要求しています。

長々とご紹介しましたが、トランプ氏の当選を受け、現在の国防長官の指示を完全に無視した艦艇増強計画を打ち出した、米海軍の姿勢が注目ポイントです

まぁ・・・各軍種の予算獲得を巡る「仁義無き戦い」が始まったと言うことでしょう。政権交代とはこういう事なんでしょうか・・・。いつものように、なま暖かく見守るだけですが・・

「規模の維持だけで年10兆円増加必要」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-10

米海軍の装備もグダグダですが・・・
「ズムウォルト級ミサイル駆逐艦」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-22
「沿岸戦闘艦LCSがF-35化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-09
「空母建造費の削減検討に30億円」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-07

「次期SSBN基礎技術要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-27
「攻撃潜水艦SSNの将来」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-28
「あと25年SLBMを延命!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

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テニアンをグアム基地の代替地に公式指定 [Joint・統合参謀本部]

中国によるグアム攻撃に備えた第1歩

Guam AF.jpg7日、米空軍がグアム島アンダーセン基地の代替地として、テニアン国際空港を正式に指定すると発表しました。今後、様々な米軍機の受け入れが可能なように関連施設や兵士用の施設整備を公式に開始する模様です。

公式には、米太平洋空軍機等の「目的地変更に備えた取り組み:Divert Activities, Exercise Initiative」と呼ばれ、「Record of Decision」との文書に米空軍が7日署名したそうです

何度もご紹介してきたように、中国は米軍による西太平洋地域への戦力投射を阻止するA2AD能力を強化しており、米側の数少ない当地域での拠点であるグアム島を無力化するための装備開発や訓練に注力しています

oki-miya.jpg中距離弾道ミサイルDF-26や最新型H-6爆撃機に搭載した長距離巡航ミサイルCJ-10等がこれに該当し、沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋に進出する中国爆撃機の訓練は、グアム攻撃を模擬したモノだとも考えられています

そんな中、グアム島周辺の北マリアナ連邦に属するテニアン、ロタ、サイパン等の飛行場は、グアム島アンダーセン基地の代替候補として今年2月に選定されていましたが、環境影響調査等のプロセスを経て、テニアン国際空港の「North Option」が公式に認定されたモノです

今後、サイパン等やロタ島やグアム島の国際空港が後に続くのか不明ですが、住民への説明等、種々の手続きが行われているのかも知れません

8日付米空軍web記事によれば
Guam AF2.jpg●この取り組みの目的は、当地域での訓練活動や人道支援/災害対処における、代替拠点基地を設置する事であるが、同時にグアムのアンダーセン基地や西太平洋地域の拠点がアクセス不能や制約を受けた場合に備えて、任務遂行のためのニーズに応えるためでもある
●7日の決定により、今後テニアン国際空港には、輸送機、空中給油機等のアセットや関連要員の活動を支えるインフラや施設が整備されることになり、西太平洋地域における代替拠点や演習拠点として利用可能になる

●太平洋空軍司令部の作戦計画部長Craig Wills准将は、「テニアンの代替基地としての役割は、アンダーセン基地へのアクセスが緊急事態や災害で限定又は不能になった場合を考えれば、極めて重要だと証明されるだろう」、「この決定は太平洋軍の統合作戦能力強化に重要なステップである」と同決定を語った
●北マリアナ連邦との交渉を担当した米空軍省の施設環境担当次官補代理Richard K.Hartley氏は、「米空軍は北マリアナ社会の皆さんと緊密に協議し、この選定プロセスを慎重に進めてきた。地元の方々の支援と協力に感謝したい」と述べている
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cope-north.jpg航空自衛隊C-130輸送機などは、米空軍や豪空軍との共同訓練「Cope-North Guam」の一環として、既にテニアンで人道支援/災害対処訓練を行っていますし、陸上自衛隊も着上陸訓練で北マリアナ連邦の島で日米共同訓練を行っており、「訓練場整備」の名目で日本の予算も計上されていたように記憶しています

グアム基地の代替施設建設は、もっと進んでいるのかと思っていましたが、地元との関係もあり時間がかかっているようです。でも喜ばしくあるべき姿への進展をお喜び申し上げます
また米軍は、沖縄等に所在する航空戦力の有事避難訓練も粛々と行っています。これまた極めて軍事的合理性に沿ったモノで当然と言えましょう

一方で、グアム島より遙かに中国大陸に近い日本は、中国のA2AD対処に何を行っているでしょうか?
有事における有効性が低く、しかも極めて高価な戦闘機だけに優先投資し、その根拠基盤基地の強化や代替地確保に何も手を付けていません

Scramble3.jpg制服組の中には、それは政治や文民の仕事で我々は手を出せないと言う航空自衛官(パイロット)が居ますが、心の底では、「基盤基地の脆弱性を主張して代替基地の要望をすると、有事における戦闘機の有用性問題に波及し、戦闘機への投資を削減される恐れがあり、機数やパイロット数を削減されかねないので、隠して黙って定年を迎えたい」と願っているのです。

そんな操縦者が牛耳る組織だから、サイバーや宇宙や電子戦、弾薬や維持整備予算のことは口先だけでしか語らず、スクランブル回数が増えて大変だとしか語れず、脅威の変化を浅薄にしか知らず、同盟国米国内の安全保障議論にも興味を示さず、落日の英国軍戦闘機に乗って喜んでいるような人間を育ててトップに据える組織になってしまうのです

「対中国に5世代機を活用する前提条件」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-04

Resiliency強化の関連記事
「グアム施設強化等の現状」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-30-1
「グアムの抗たん性強化策」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-30-1
「グアムで大量死傷者訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-08-1
「グアム基地を強固に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-04-12

「米と豪が被害想定演習を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02
「在沖縄米軍家族の避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-21
「嘉手納基地滑走路の強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-09

「Wake島へ避難訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-04-1
「テニアンで作戦準備」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-05
「ブルネイの飛行場を確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-14

沖縄戦闘機部隊の避難訓練
「再度:嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25
「嘉手納米空軍が撤退訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-23-1
「中国脅威:有事は嘉手納から撤退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-13

極東米軍の被害復旧訓練
「米韓軍共同で訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-04
「嘉手納で米軍統合訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-29

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「第3の相殺戦略」は万能薬ではなく思考の枠組み [米国防省高官]

Prabhakar3.jpg8日、米国防省の技術開発をリードするDARPA(国防高等研究計画庁)のArati Prabhakar長官がCSISで講演し、「第3の相殺戦略」を万能薬のように考えるのは誤りであり、またそれ以前の相殺戦略のように長期に渡る技術優位を確保できると考えるのも間違いだと語りました

更にDARPA自身も、GPSやインターネットを開発した当時のような研究所でなく、ベンチャー企業の技術を育てるようなインキュベーターの様に、新たな技術を見いだして進化させるような複合システム組織に変革し、国防省を支援するようになるべきと語りました

以前よりも情報の拡散が急速で、軍事が先端技術を独占した時代ではもはやなく、世界中の民間企業や研究機関やベンチャー起業家が技術革新を担うように時代が変化してきたことが背景にありますが、最先端の軍事技術研究を行う機関トップの発言だけに重みが違います

百戦錬磨のPrabhakar長官がCSIS講演で
Prabhakar4.jpg米国防省は「第3の相殺戦略」を万能薬や決定打(silver bullet)の様に考えるべきではなく、深い思考の枠組みを表現する言葉と理解すべきである
技術発展の世界で起こっている大きな変化は、特定の一つの技術で起こっているのではなく、我々が研究開発活動を行っている「技術エコシステム」の変革という形で起こっているのだ

●現在の国防省は未だに、数十年も全ての先端技術を独占できた時代へのノスタルジアに取り付かれている。そんな昔のことは忘れなければならない。今は時代が違うのだ
●今では、技術開発は世界中の産業界が推進しており、それは米国だけで行われているのではない。そして開発の速度は加速しており、国防省が設立された時代とは異なるペースで進んでいるのだ

●精密誘導兵器やステルス機に代表される「第2の相殺戦略」時代には、我々は相当な期間で軍事技術の独占支配が可能だった。
Prabhakar5.jpgしかし「第3の相殺戦略」では、技術は急速に進化発展して拡散するので、かつてのように20~40年間も技術優位を確保は出来ない。この厳然たる情勢認識を持ちつつ、第3の相殺戦略に取り組むべきだ

急速な全ての技術進歩は、米軍の最新装備に敵対的な意味を持つことさえある。例えば、まだ完全な運用態勢を確立していないF-35だが、急速な技術進歩で時代遅れになった電子部品を交換する必要に迫られ、500億円もの投資を迫られる事態が発生している

●このような時代には、DARPA自身も変化を迫られており、GPSやインターネットを開発した当時のような研究所でなく、ベンチャー企業の技術を育てるインキュベーターの様に、新たな技術を見いだして進化させるような複合システム組織に変革し、国防省を支援するようになるべきだ
●我々の生きる時代では、このようにして時代に先んじることが唯一の生き残る道だ
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Arati Prabhakar長官(57才)は、2012年からDARPA長官を務めているベテランで、まだ30才台だった1993年に当時のクリントン大統領から約3000名で構成された「National Institute of Standards and Technology」所長に任命され、企業等を束ねて技術開発に取り組んだ実績もある有能な人材です

Prabhakar6.jpg最初にDARPAに所属した1986年には、半導体技術関連の研究ーリーダーとなり、「Microelectronics室」に発展させた実績を挙げています。
DARPA長官になる以前は、ベンチャー企業の幹部やベンチャーキャピタル幹部も歴任しており、官民両サイドから技術開発の現場を見てきた人材で、その言葉には重さがあります

下記のCSISイベントでも、統合参謀副議長が相殺戦略に関する過剰期待を戒める発言をしていましたが、そこに活路を求めたい人が多いことの裏返しでしょう

先日、関西大学が古式騒然とした「軍事研究には関わらない宣言」を行い、防衛省が募集した官学共同研究資金への応募を禁じる事を決定しましたが、なんか情勢認識が半世紀ずれているような気がしてなりません。

CSISが相殺戦略特集イベント
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-29-1

DARPA関連の記事
「自身が創造したサイバー空間に苦しむ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-20
「超超音速兵器に進化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-11
「新型の宇宙監視望遠鏡」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-19

「科学技術革新会議の中間報告」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-11
「電子戦への人工知能応用」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-31
「対潜水艦の無人艦艇」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-11

Prabhakar長官関連
「対中国に対艦ミサイル重視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-18
「2014年度の研究開発重点は」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-18

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英国防相:米軍F-35の新型英空母への展開を発表 [亡国のF-35]

同盟の証と言うより、英軍困窮の証と見るべき

Fallon Carter.jpg15日、Michael Fallon英国防相はカーター国防長官とロンドンで会談後にそろって記者会見し、今後運用開始予定の英海軍の新空母「Queen Elizabeth」で、2021年から米海兵隊のF-35Bが飛行を開始すると発表しました。

先ほど日本も訪問したカーター国防長官は、最後の挨拶回りで世界各国を訪問していますが、英国防相が「返礼:return the favor」と呼ぶ最後の英軍へのお土産が、英空母への米軍F-35の展開となったようです

英国はF-35の共同開発国ですが、米国を除く8ヶ国のうちで唯一の「レベル1共同開発国」で、唯一システム設計や実証段階に人を関与させることが出来る共同開発国です。
そんな深い関係から、英海空軍のF-35部隊建設要員が、米空母で実施されたF-35Bの最終確認試験にも参加して、その能力確認を自ら行うほどの関与をしています

F-35B関連の米英の緊密な連携(豪を含む)は以下に
http://www.navy.mil/submit/display.asp?story_id=97775

なぜ米軍F-35が英軍空母に展開するか?
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03
Queen Elizabeth.jpg●今日の本題は、なぜ英国防相が「返礼」と表現して感謝しているか、カーター長官がなぜ最後のお土産にF-35展開訓練を持ち出したかです。
それはなぜなら、英軍のF-35購入予算が不透明で、来年には航行&運用試験が始まる英海軍新空母に搭載するF-35Bが何機購入できるか「予断を許さない」状況にあるからです

●つまり英軍は、女王陛下の名を冠した新空母の艦載機を十分調達できない可能性が高いので、空母の訓練のため米軍F-35に展開して訓練して欲しいと平身低頭「お願い」していたのです。本件は9月の米英国防相会談でも取り上げられ、具体的な事は今後検討するようです。
●その根本には、英軍が購入すると当初明らかにした138機(F-35全タイプ合計で)のF-35調達機数を、多くの英軍関係者が実現不能だと考えており、艦載機が不足する悲しい新型空母になるような予感が漂う厳しい財政状況があります

F-35B.jpg●話題の空母「Queen Elizabeth」は2017年春に進水し、2018年夏から秋にF-35B搭載試験を米東海岸沖で3機の英軍F-35Bで開始し、2020年12月には初期運用態勢を宣言予定で、その後2021年には初の作戦展開を予期しているようです。
●新空母艦長が9月末に語った希望ベースでは、2019年から8ヶ月間を1展開単位として、米海兵隊F-35Bに来てもらいたいようです。

●新空母艦長は更に、米海兵隊のF-35Bを派遣してもらう事は、相互運用性の観点からも有意義であると言い訳がましく語り、ついでにV-22オスプレイにも大いに興味を持っており、英海軍空母での運用可能性を確認する意味でもお願いしたいと語っていたところです
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英国軍は先代のハリアー戦闘機を海軍と空軍の両方で運用し、維持整備や部品調達で効率性を高めていましたが、今回のF-35Bでもハリアー方式を採用して海空軍共用で運用準備を進めています。
この試みは大いに興味深く、「Crossドメイン思考」にも通ずる点で応援したくなりますが、「お先真っ暗感」は否めません

Fallon Carter2.jpgついでにそう言えば、1日に駐米英国大使が、2020年運用開始予定の新空母「クイーンエリザベス」が南シナ海に展開するだろうと発言していました。
もしかして、米海兵隊のF-35に展開をお願いした「お返し」として、南シナ海航行を米国から強要されたのでしょうか???

だとしたら、流石に「血の同盟」です。とってもまねしたくない同盟の深さですが・・・
もうひとつ、先日のトランプ氏のF-35予算削減ツイートを引用するまでもなく、世界中でF-35導入機数削減の兆候があり、その代表例が「誰も計画機数の購入が可能と考えていない」英国です

英国軍を考える記事
「英軍新空母を南シナ海に!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-06
「新空母の艦載機が不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-03
「なぜ今、日英戦闘機訓練なの?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-18

「予算減で英軍の士気崩壊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-18
「英軍が戦闘機半減へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-13-2
「大なた:英軍の大軍縮」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-19-1

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