米海軍トップ:次期艦載戦闘機FA-XX計画に変更なし [Joint・統合参謀本部]
米海軍初の女性トップLisa Franchetti大将が語る
淡々と「3社からの提案を評価中」と・・・
米議会が関連予算を削減し、専門家の目も厳しい中
10月2日、2023年夏から米海軍トップ(Chief of Naval Operations)に女性として初めて就いているLisa Franchetti大将が次期艦載戦闘機FA-XX計画について軍事記者団に、米空軍が見積価格の「バカ高さ」等から次期制空機NGAD計画ダウングレード見直しを迫られる中でも、またFA-XXに対し議会やOBから批判がある中でも、「空軍の取り組みからその必要性を学んだ」「3社の提案から調達先を選定している」と淡々と語っています
米海軍のF/A-XX は、F/A-18多用途戦闘機と E/A-18電子戦攻撃機の後継機となる予定で、米海軍が導入途中の第5世代戦闘機 F-35Cでは最新の脅威に対し能力不足と想定されている、「航続距離」「センサー能力」「電子戦機能」面等々で能力向上を狙っている機体で、3社(Boeing, Lockheed Martin, Northrop Grumman)の提案から2025年には1つに絞り込む予定とされています
会見でFranchetti大将は・・・
●第6世代の機体は、高度なセンサーと殺傷力、より優れた航続距離を持ち、有人アセットとして無人アセットを巧みに融合して戦力化できるものと期待している。米空軍の次世代制空機NGAD計画から学んだことの一つは、我々が将来必要とする能力獲得のために、計画を実行する必要があるということだ
●米海軍の航空アセットは、潜水艦戦力と並んで、我が海軍が保有する戦略的優位性の1つである。(FA-XXに関しては、)3社から提案があり、現在調達先を選定しているところだ
●(米空軍のNGAD計画一時停止&再検討は懸念材料か、との質問に対し、)各軍種の将来航空機計画を何らかの形で一致させることは理にかなっているが、空軍の決定がどうなれ、F/A-XXを妨げるほどではない。
●一般的な視点で述べると、各軍種が相互に学んで相互に補完する関係にあることが大切で、「互いに何を学べるか?」「各軍種が共通性を持つことで、どの分野で互いの能力を固めることが出来るか」を考えることは常に大切
本会見を紹介する2日付米空軍協会web記事は、2024年初め、米海軍は目の前の海軍全体の即応性維持に重点を置くため、F/A-XX への投資約1500億円延期を決定したが、米議会は F/A-XX予算の更なる削減を追求していると紹介しています。そしてその背景には、以下に紹介する専門家や海軍OBが指摘する問題があります(2020年6月30日の記事より)
専門家や海軍OBのFA-XXへの辛らつ批判
●ハドソン研究所Bryan Clark研究員(海軍OB)の米下院で証言 → 米海軍の財政上の厳しい現実からすれば、新しい機体を開発導入することは事実上難しく、現有航空機の派生形にならざるを得ない。従って、生産ラインを維持するためにも、FA-18調達をゼロにする米海軍案は不適切で、F/A-XXオプションを残す意味でもFA-18製造ラインを維持すべき
●前海軍次官Bob Work氏 → 海軍と海兵隊がF-35のB型とC型、更にFA-18の3機種運用になって維持整備面を含めて既に難しい問題となっているにもかかわらず、4機種目のFA-XXに進む判断に大きな懸念を持っている。、航続距離が必要なら無人機が必要なことは各種分析から明白であり、焦点を絞って無人機へ早く進むべきだ
●元米海軍トップGarry Roughead退役大将(無人艦載攻撃機X-47Bを開発推進していた現役時から、米海軍内の無人攻撃機に対する消極姿勢を問題視)→ 2012年に無人艦載機が初飛行や着艦試験を成功させた後の8年間、その成果は放置されたままだ。これほど重要な新技術に、これだけ怠惰な姿勢は許しがたい
/////////////////////////////////////////////
最近、Franchetti大将が乳がん闘病中であることが公表され、治療のため短期間職務を離れていたことも明らかになっています。他軍種と比較して、飛びぬけて問題が多い印象の米海軍のかじ取りは「ストレス満載」かと思いますが、頑張って頂きたいと思います
上でご紹介した専門家や海軍OBのご意見だけでなく、まんぐーすが最近見聞きする米海軍関連の艦艇維持整備や新規装備開発の問題、更には高級幹部も含む規律違反の問題等々を考え合わせると、FA-XX計画が計画通りに進むとは到底考えられませんが・・・
米海軍次期艦載戦闘機FA-XX関連の記事
「企業幹部:同計画変更の情報無し」→https://holylandtokyo.com/2024/08/19/6176/
「FA-XXの構想進まず」→https://holylandtokyo.com/2020/06/30/634/
空母艦載の無人攻撃機構想がしぼむ様子
「組織防衛VS無人機導入派」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-08-01
「哀愁漂うUCLASS議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-17
「UCLASSの要求性能復活?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-14
「夢しぼむUCLASS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-21
無人艦載攻撃機X-47Bの夢
「夏にRFP発出か:無人艦載機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-28-1
「映像:空母甲板上で試験中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-11
「映像:X-47B地上カタパルト発進」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-01
「X-47Bが空母搭載試験へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-28-1
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
淡々と「3社からの提案を評価中」と・・・
米議会が関連予算を削減し、専門家の目も厳しい中
10月2日、2023年夏から米海軍トップ(Chief of Naval Operations)に女性として初めて就いているLisa Franchetti大将が次期艦載戦闘機FA-XX計画について軍事記者団に、米空軍が見積価格の「バカ高さ」等から次期制空機NGAD計画ダウングレード見直しを迫られる中でも、またFA-XXに対し議会やOBから批判がある中でも、「空軍の取り組みからその必要性を学んだ」「3社の提案から調達先を選定している」と淡々と語っています
米海軍のF/A-XX は、F/A-18多用途戦闘機と E/A-18電子戦攻撃機の後継機となる予定で、米海軍が導入途中の第5世代戦闘機 F-35Cでは最新の脅威に対し能力不足と想定されている、「航続距離」「センサー能力」「電子戦機能」面等々で能力向上を狙っている機体で、3社(Boeing, Lockheed Martin, Northrop Grumman)の提案から2025年には1つに絞り込む予定とされています
会見でFranchetti大将は・・・
●第6世代の機体は、高度なセンサーと殺傷力、より優れた航続距離を持ち、有人アセットとして無人アセットを巧みに融合して戦力化できるものと期待している。米空軍の次世代制空機NGAD計画から学んだことの一つは、我々が将来必要とする能力獲得のために、計画を実行する必要があるということだ
●米海軍の航空アセットは、潜水艦戦力と並んで、我が海軍が保有する戦略的優位性の1つである。(FA-XXに関しては、)3社から提案があり、現在調達先を選定しているところだ
●(米空軍のNGAD計画一時停止&再検討は懸念材料か、との質問に対し、)各軍種の将来航空機計画を何らかの形で一致させることは理にかなっているが、空軍の決定がどうなれ、F/A-XXを妨げるほどではない。
●一般的な視点で述べると、各軍種が相互に学んで相互に補完する関係にあることが大切で、「互いに何を学べるか?」「各軍種が共通性を持つことで、どの分野で互いの能力を固めることが出来るか」を考えることは常に大切
本会見を紹介する2日付米空軍協会web記事は、2024年初め、米海軍は目の前の海軍全体の即応性維持に重点を置くため、F/A-XX への投資約1500億円延期を決定したが、米議会は F/A-XX予算の更なる削減を追求していると紹介しています。そしてその背景には、以下に紹介する専門家や海軍OBが指摘する問題があります(2020年6月30日の記事より)
専門家や海軍OBのFA-XXへの辛らつ批判
●ハドソン研究所Bryan Clark研究員(海軍OB)の米下院で証言 → 米海軍の財政上の厳しい現実からすれば、新しい機体を開発導入することは事実上難しく、現有航空機の派生形にならざるを得ない。従って、生産ラインを維持するためにも、FA-18調達をゼロにする米海軍案は不適切で、F/A-XXオプションを残す意味でもFA-18製造ラインを維持すべき
●前海軍次官Bob Work氏 → 海軍と海兵隊がF-35のB型とC型、更にFA-18の3機種運用になって維持整備面を含めて既に難しい問題となっているにもかかわらず、4機種目のFA-XXに進む判断に大きな懸念を持っている。、航続距離が必要なら無人機が必要なことは各種分析から明白であり、焦点を絞って無人機へ早く進むべきだ
●元米海軍トップGarry Roughead退役大将(無人艦載攻撃機X-47Bを開発推進していた現役時から、米海軍内の無人攻撃機に対する消極姿勢を問題視)→ 2012年に無人艦載機が初飛行や着艦試験を成功させた後の8年間、その成果は放置されたままだ。これほど重要な新技術に、これだけ怠惰な姿勢は許しがたい
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最近、Franchetti大将が乳がん闘病中であることが公表され、治療のため短期間職務を離れていたことも明らかになっています。他軍種と比較して、飛びぬけて問題が多い印象の米海軍のかじ取りは「ストレス満載」かと思いますが、頑張って頂きたいと思います
上でご紹介した専門家や海軍OBのご意見だけでなく、まんぐーすが最近見聞きする米海軍関連の艦艇維持整備や新規装備開発の問題、更には高級幹部も含む規律違反の問題等々を考え合わせると、FA-XX計画が計画通りに進むとは到底考えられませんが・・・
米海軍次期艦載戦闘機FA-XX関連の記事
「企業幹部:同計画変更の情報無し」→https://holylandtokyo.com/2024/08/19/6176/
「FA-XXの構想進まず」→https://holylandtokyo.com/2020/06/30/634/
空母艦載の無人攻撃機構想がしぼむ様子
「組織防衛VS無人機導入派」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2014-08-01
「哀愁漂うUCLASS議論」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-17
「UCLASSの要求性能復活?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-11-14
「夢しぼむUCLASS」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-21
無人艦載攻撃機X-47Bの夢
「夏にRFP発出か:無人艦載機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-28-1
「映像:空母甲板上で試験中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-11
「映像:X-47B地上カタパルト発進」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-12-01
「X-47Bが空母搭載試験へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-11-28-1
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holylandtokyo.com/2020/04/15/727/
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