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異なる通信システムの多国籍軍を繋ぐE-11の活躍 [米空軍]

愛称ベーコンのBACN機は現6機で9機体制へ
現在はガザ物資投下からフーチ派対処等々中東で
第18空中指揮統制飛行隊の中東派遣隊取材

E-11A BACN2.jpg6月21日付米空軍協会web記事が、ビジネスジェットに通信中継装置を搭載したBACN機(愛称ベーコン:Battlefield Airborne Communications Node)であるE-11Aの、中東派遣部隊パイロットへのインタビュー記事を掲載しました。

米国ジョージア州Robins空軍基地が母基地の第18空中指揮統制飛行隊所属機が、中東へ第430電子通信派遣飛行隊として展開している形で、その展開地や展開機数も非公開(派遣操縦者は約20名)で秘密が多い部隊や機体ですが、多国籍の部隊や装備が連携して戦うニーズが高まる中、不可欠な役割を果たしている部隊ですのでご紹介いたします

E-11A BACN.jpg通信中継機E-11は、Bombardier社製のビジネスジェットGlobal Express 6000(最新型はBD-700)にNG社製のBACN機器を搭載した機体で、2021年1月に米空軍とNG社が契約を結んで製造開始し、現時点で推定6機を米空軍が保有し、今後毎年1機を調達して2027会計年度内に9機体制確立を目指しているそうです。

(なお米空軍は、無人機RQ-4にBACN機器を搭載したEQ-4も2018年頃から運用して4機保有していましたが、米空軍RQ-4の退役開始に合わせEQ-4Bも引退させようとしています)

E-11A BACN3.jpgE-11A型機は導入当初から、直進する性質を持つ電波の覆域補完や遠方「通信中継」機として紹介され、またその役割から広く「空飛ぶwifi :wifi in the sky」として前線兵士から期待され、「近接航空支援CAS、空輸物資投下、兵士救出、人道支援時の通信中継」、「データシステムが全く異なるF-22とF-35間のデータ中継」等に、2022年3月時点で既に20万時間以上の任務実績を積み重ねており、

山岳地帯が多く電波が届きにくいアフガン作戦での活躍が断片的に報じられてきましたが、アフガンからの撤退で、地上攻撃や兵士投入&撤収作戦の空地連携支援などの任務が減少し、ガザ地区への人道物資空中投下、フーチ派対処(攻撃と防御両面)、イラクやシリア内での対IS作戦や展開米軍防御作戦へ中央軍の作戦がシフトする中で、E-11A派遣飛行隊の役割が少し異なってきているようですので、記事から概要をご紹介いたします

21日付記事によれば最近E-11は・・・
E-11A BACN4.jpg●飛行隊長の中佐は、単に通信中継で通信可能距離を延伸するだけではなく、異なる電子形態やフォーマットの電子機器間の通信を繋いで中継し、様々なプラットフォーム間の相互通信性やデータの互換性を確保することが重要な任務だと語っている
●例えば、既に30回以上の支援実績があるガザ地区への人道支援物資空中投下では、この作戦を発案し開始したヨルダン空軍とヨルダン国内に設置された多国籍計画調整指揮所を、数か国の異なる通信アセットを搭載したC-130やエアバスA400輸送機や米空軍C-17とを結ぶ「空中通信中継」の役割を果たした

E-11A BACN5.jpg●同飛行隊長は「我々はガザ物資投下に限定されず、統合航空作戦センターから出されるATO(航空任務命令)に従い、様々な通信形態を繋いで多くの作戦参加者を連携させている」とまでしか発言を許されていないが、イラクとシリアでの米軍を航空脅威から防御し、イランと同盟関係にある民兵組織を空爆したり、フーシ派の商船攻撃阻止を支援したり、対IS作戦「Operation Inherent Resolve」支援のため、24時間体制で地上待機している
●E-11Aは最新型の場合航続距離が6000マイル(1万㎞以上)あり、操縦者2名のみで1回の飛行で複数の任務を時間分割で遂行可能な特長を生かし、海上でも陸上でも、多国籍な部隊が持つ様々な通信方式のの意思疎通ツールを繋ぐ「接着剤」の役割を果たし、現代の軍事作戦だけでなく、国際社会のニーズに応えている
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E-11A BACN6.jfif単なる「通信中継」イメージを超え、現代社会が求める「多国間協力」を支えるE-11部隊をご紹介いたしました。なお米空軍は既に、次世代BACN機器開発をNG社と契約しており、地上拠点との連携強化や個人装備との連接性強化、4と 5世代機のデータ共有能力向上、高脅威下で機能するGPS、Link-16、最新の航法装置、機器の信頼性や性能向上、更に機体の残存性を高める自己防御能力強化を目指して開発が始まっているとのことです

ご紹介していて思ったのですが、なぜ有人機であるビジネスジェット改良型を使用することになったのでしょうか? 次世代BACN機器開発開始だそうですが、本格紛争への備えなら、無人機型が必要では? RQ-4の維持が困難になり、搭載量の大きな長期在空無人機の代替が無かったから? 将来は衛星にE-11の役割を引き継がせる構想だから? いろいろ考えてしまいますが、調べる気力がないので、とりあえず今日はここまでとさせていただきます

E-11A関連の記事
「Bジェット改良の通信中継機増強中」→https://holylandtokyo.com/2022/11/21/3920/

通信中継機能も期待される機体には
「MQ-25A艦載無人給油機」→https://holylandtokyo.com/2021/09/17/2250/
「KC-46A給油機」→https://holylandtokyo.com/2020/01/17/868/
「64日間飛行の太陽光無人機」→https://holylandtokyo.com/2022/08/30/3585/
「無人ウイングマン機」→https://holylandtokyo.com/2021/04/09/103/
「C-17輸送機でも」→https://holylandtokyo.com/2020/07/10/569/

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