ロッキード独自挑戦:VLSから PAC-3発射迎撃試験に成功 [Joint・統合参謀本部]
陸上の White Sands 試験場で模擬巡航ミサイル迎撃
「自腹」で約 150億円を投入
国防省と米海軍に本事業推進を催促
敵の弾道&巡航ミサイル、更に極超音速兵器の発達を受け、既存ミサイル防衛システムの改良&融合により、脅威の変化に迅速に対処し、国防省の取り組むIAMD(統合航空&ミサイル防衛)に貢献しようと、2017年からロッキード社が「自腹」で取り組む海軍艦艇のミサイル垂直発射管VLSからパトリオット PAC-3を発射する検討に関し、
5月20日ロッキード社が、ニューメキシコ州ホワイトサンズ試験場で、陸上に設置した艦艇 VLS 想定の発射機から、MK-70コンテナキャニスターに納されたパトリオットPAC-3 MSE 型を発射し、模擬巡航ミサイルの迎撃に成功したと発表しました
「白紙」からの防空ミサイル開発には長期間を要することから、同社は2024年末までに「自腹」で約150億円を本プロジェクトに投入して、既に実戦経験豊富で改良を重ねている「Battle Tested and Proven」なPAC-3最新型を利用し、現在の米海軍艦艇ミサイル防衛能力の「すき間:ギャップ」を迅速かつ効率的に補填することを狙い、国防省や米海軍の予算化を待つことなく取り組んでいると、繰り返しアピールしています
実際、今次の実射に向けては、地上配備版のイージス・アショア(ポーランドとルーマニアで近日初期運用開始)との初期的なハード連接確認を、MDA 要請を受け2022年秋に実施済で、2023年夏にはPAC-3と米海軍 SPY-1レーダー(約100隻の米海軍艦艇に搭載)との連接試験も行ってデータ融合可能を確認するなど、計画的に既存システム融合に同社は組んできています。
今年1月に「2024年春に、地上設置の垂直発射管 VLSからPAC-3MSE試射を計画」と発表した際も、「試射に成功した場合には、実際のイージス艦 VLSからの発射試験実現に向けた国防省や米海軍からの予算配分や艦艇活用協力をお願いしたい」と訴えていましたが、
5月20日の試験成功を受け、「この実射試験成功で、最新脅威へのわが社の継続的な挑戦と貢献姿勢を証明することができた」、「試験に成功したこのシステムは、機能証明済みのIAMD 能力強化策として国防に貢献できる」、「海軍艦艇での試験への協力や必要予算の確保を、米海軍や国防省が選択することを希望しているが、現時点ではその動きが確認できない」と同社担当責任者は不満をにじませています
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米軍や国防省の名誉のため補足説明しておくと、今回のホワイトサンズでの試験には、複数の米軍種が協力しているとのことで、完全に100%ロッキードだけでプロジェクトを進めているわけではありません。
ただ、日進月歩のミサイル技術や極超音速兵器技術の進歩、ウクライナでも猛威を振るう無人機の脅威など、従来の「航空優勢」概念の見直しを迫られるほどの変化の中で、限られた予算の配分の中で、事業の優先順位をつける判断が追い付かないのが現状だろうと思います。米国だけでなく、西側主要国はすべて・・・
PAC-3やミサイル防衛関連の記事
「春にPAC-3を VLSから」→https://holylandtokyo.com/2024/01/25/5487/
「米陸軍がPAC-3部隊増強へ」→https://holylandtokyo.com/2023/09/04/4932/
「THAAD に PAC-3 連接迎撃に成功」→https://holylandtokyo.com/2022/03/18/2820/
「グアム防衛を MDA 長官が語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
「THAAD が初実戦迎撃成功」→https://holylandtokyo.com/2022/01/24/2640/
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「自腹」で約 150億円を投入
国防省と米海軍に本事業推進を催促
敵の弾道&巡航ミサイル、更に極超音速兵器の発達を受け、既存ミサイル防衛システムの改良&融合により、脅威の変化に迅速に対処し、国防省の取り組むIAMD(統合航空&ミサイル防衛)に貢献しようと、2017年からロッキード社が「自腹」で取り組む海軍艦艇のミサイル垂直発射管VLSからパトリオット PAC-3を発射する検討に関し、
5月20日ロッキード社が、ニューメキシコ州ホワイトサンズ試験場で、陸上に設置した艦艇 VLS 想定の発射機から、MK-70コンテナキャニスターに納されたパトリオットPAC-3 MSE 型を発射し、模擬巡航ミサイルの迎撃に成功したと発表しました
「白紙」からの防空ミサイル開発には長期間を要することから、同社は2024年末までに「自腹」で約150億円を本プロジェクトに投入して、既に実戦経験豊富で改良を重ねている「Battle Tested and Proven」なPAC-3最新型を利用し、現在の米海軍艦艇ミサイル防衛能力の「すき間:ギャップ」を迅速かつ効率的に補填することを狙い、国防省や米海軍の予算化を待つことなく取り組んでいると、繰り返しアピールしています
実際、今次の実射に向けては、地上配備版のイージス・アショア(ポーランドとルーマニアで近日初期運用開始)との初期的なハード連接確認を、MDA 要請を受け2022年秋に実施済で、2023年夏にはPAC-3と米海軍 SPY-1レーダー(約100隻の米海軍艦艇に搭載)との連接試験も行ってデータ融合可能を確認するなど、計画的に既存システム融合に同社は組んできています。
今年1月に「2024年春に、地上設置の垂直発射管 VLSからPAC-3MSE試射を計画」と発表した際も、「試射に成功した場合には、実際のイージス艦 VLSからの発射試験実現に向けた国防省や米海軍からの予算配分や艦艇活用協力をお願いしたい」と訴えていましたが、
5月20日の試験成功を受け、「この実射試験成功で、最新脅威へのわが社の継続的な挑戦と貢献姿勢を証明することができた」、「試験に成功したこのシステムは、機能証明済みのIAMD 能力強化策として国防に貢献できる」、「海軍艦艇での試験への協力や必要予算の確保を、米海軍や国防省が選択することを希望しているが、現時点ではその動きが確認できない」と同社担当責任者は不満をにじませています
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米軍や国防省の名誉のため補足説明しておくと、今回のホワイトサンズでの試験には、複数の米軍種が協力しているとのことで、完全に100%ロッキードだけでプロジェクトを進めているわけではありません。
ただ、日進月歩のミサイル技術や極超音速兵器技術の進歩、ウクライナでも猛威を振るう無人機の脅威など、従来の「航空優勢」概念の見直しを迫られるほどの変化の中で、限られた予算の配分の中で、事業の優先順位をつける判断が追い付かないのが現状だろうと思います。米国だけでなく、西側主要国はすべて・・・
PAC-3やミサイル防衛関連の記事
「春にPAC-3を VLSから」→https://holylandtokyo.com/2024/01/25/5487/
「米陸軍がPAC-3部隊増強へ」→https://holylandtokyo.com/2023/09/04/4932/
「THAAD に PAC-3 連接迎撃に成功」→https://holylandtokyo.com/2022/03/18/2820/
「グアム防衛を MDA 長官が語る」→https://holylandtokyo.com/2022/06/07/3295/
「THAAD が初実戦迎撃成功」→https://holylandtokyo.com/2022/01/24/2640/
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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