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嘉手納基地にユタ州からF-35追加ローテーション派遣 [米空軍]

【前座情報】
まんぐーすがチマチマと米軍嘉手納基地航空戦力の空白を指摘するので、米空軍が11月21日に、海空軍機33機を集めて戦力誇示Show Of Forceイベント「Elephant Walk」を実施しました

Kadena ElephantNov21.jpgKadena ElephantNov212.jpg米空軍の参加機
14 F-35s(米本土と三沢から)
10 F-15s(F-15C/DにE型含む)
Two HH-60G helicopters
One RC-135 Rivet Joint
One KC-135 tanker
One MQ-9 drone(鹿屋から)
One E-3 AWACS

米海軍の参加機
One P-8A Poseidon
Two E/A-18G Growlers
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【以下が本題のF-35ローテーション派遣機の追加】
昨年10月発表のF-15C/D段階撤退の穴埋め展開
アラスカから派遣中の別部隊のF-35に合流
展開機数は相変わらず非公表で、他の派遣機種も不明

F-35 Kadena Hill4.jpg11月20日、米空軍嘉手納基地の第18空軍が、昨年10月に段階的撤退開始を発表している48機のF-15C/D型の一時的ローテーション代替機として、ユタ州Hill空軍基地第4戦闘飛行隊所属のF-35戦闘機(機数非公開)が嘉手納基地に到着し、2023年3月から展開中のアラスカEielson空軍基地第356戦闘飛行隊F-35戦闘機(機数非公開)と合流したと発表しました

この戦闘機ローテーション派遣は、嘉手納基地に約40年間所在してきたF-15Cを「(2022年10月の空軍発表では)今後2年間で段階的に」米本土へ撤退&退役させるため、12月に第一弾として(写真から)推定8機のF-15を米本土に帰還させ、2023年10月時点報道では「少なくとも18機は嘉手納から撤退した模様」との状況を受けた対応です。

F-35 Kadena Hill3.jpgただ米空軍は、「ローテーション派遣は、米国政府がF-15Cの恒久後継機を決定し、完全運用態勢を確立するまで嘉手納基地で継続される。この派遣は、転換期にある戦略的に極めて緊要な位置にある基地で、戦闘機の空白が生じさせないためのものである」としつつも、「作戦運用と戦力配備に関わることであり、展開機数等については言及しない」との姿勢で、残置のF-15C/D機数とともに、派遣戦闘機機種や機数の全体像を秘匿しています

春には「F-22,35,16,15,15Eが勢ぞろい」と米空軍からアピールがあり、その後F-22とF-16の帰国発表があったものの、現時点で今年4月に展開してきたF-15Eや10月展開州空軍F-15Cの状況は報道ベースでも不明で、2つの米本土飛行隊からF-35が派遣されている事しかわかりません

まんぐーすの今後の予想は・・・
●(現時点で既にそうなっている可能性も高いが、)ローテーション派遣戦闘機の機種毎の派遣機数単位が、次第に最小単位の「2機」にまで縮小される
●最小単位での派遣がしばらく続いた後、忘れた頃にヒッソリと、「嘉手納F-15C/Dの後継機は配備しない。アジア太平洋地域に関わる有人無人の様々な戦力の総合力で代替する。Family of Systemでの対応だ」との説明ぶりに切り替えられる・・です

F-35 Kadena Hill2.jpgその心は、例えば2021年2月に当時の米空軍戦闘コマンド司令官(Mike Holmes大将)が米空軍主要幹部や軍需産業関係者を前に、「今の戦闘機の航続距離、搭載兵器、展開距離等は、欧州線域ではそのまま将来も通用するが、太平洋線域では距離の問題が克服できない」、「太平洋戦域では、次世代制空機(NGAD)検討において従来の戦闘機のような装備のニーズは必ずしも生まれない」と課題の本質を明確に述べたり、

関連ウォーゲームに何度も関与しているミッチェル研究所長のデプチューラ退役空軍中将が、嘉手納F-15C/D撤退開始発表時に「嘉手納は対中国有事の際、疑いなく数百の中国軍の精密誘導ミサイル攻撃を受けるので、嘉手納基地の航空機は危機が迫れば他基地に避難する可能性が高い」、「前方プレゼンス維持、同盟国への関与維持、ISR活動の必要性等から嘉手納を捨てることはないだろうが・・」と語っているように、

F-35 Kadena Hill.jpg軍事的合理性から考えて、嘉手納基地に戦闘機を配備しても「座して死を待つだけ」になるからです。

別の側面からの状況証拠として、グアム島への弾道&巡航ミサイル対処体制構築に米ミサイル防衛庁が全力対処している一方で、嘉手納基地や沖縄本島への追加防御投資がなされていない点もご紹介しておきます。

【ご参考:嘉手納F-15C/D撤退と代替機派遣の経緯
●2022年10月28日、約40年間展開してきた48機のF-15C型戦闘機を「今後2年間で」段階的に米本土へ撤退&退役させると発表

●2022年11月4-5日にかけ、アラスカ配備の8機のF-22が嘉手納に展開
●2022年12月1日、第一弾として(恐らく)8機のF-15が米本土に帰還

●2023年1月17日、ドイツの米空軍基地から16機のF-16が展開
●2023年3月28日、アラスカEielson基地第355戦闘飛行隊所属のF-35が展開
(この時点で、各機種の機数は不明ながらF-22やF-16も嘉手納に所在)

●2023年4月8日 F-22アラスカへ帰還、同10日F-16ドイツへ帰還
●2023年4月8日、米本土からF-15Eが嘉手納に展開

●2023年10月3日、加州とルイジアナ州の州空軍F-15Cが展開
●2023年11月20日、ユタ州Hill基地からF-35展開

嘉手納基地F-15撤退と代替戦力派遣
「加州とルイジアナ州空軍F-15C到着」→https://holylandtokyo.com/2023/10/10/5113/
「F-15E展開、F-22とF-16が帰還」→https://holylandtokyo.com/2023/04/12/4511/
「空軍F-35が嘉手納基地に展開」→https://holylandtokyo.com/2023/04/04/4482/
「ドイツからF-16展開」→https://holylandtokyo.com/2023/01/19/4178/
「第1陣の8機米へ帰還」→https://holylandtokyo.com/2022/12/06/4021/
「米空軍幹部発言から大きな流れを学ぶ」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/
「衝撃、11月1日から段階的撤退」→https://holylandtokyo.com/2022/10/31/3817/

米空軍幹部やOB専門家の「極東で戦闘機無力発言」
「嘉手納からの米空軍F-15撤退を軍事的合理性から考える」→https://holylandtokyo.com/2022/11/09/3904/  
「米軍F-35調達機数削減の予兆を指摘」→https://holylandtokyo.com/2023/07/18/4823/
「新空軍2トップはF-35調達数削減派」(米軍事メディア報道)→https://holylandtokyo.com/2023/05/19/4648/

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