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米空軍は弾薬調達の効率性優先を変更する [米空軍]

平時消費分を前提の効率重視調達を改め
非効率でも有事増産が効く体制構築追及へ
また高価な高性能弾薬とそれ以外のバランス重視も

JASSM7.jpg2月13日、Brown米空軍参謀総長がBrookings研究所で講演し、弾薬消耗が非常に激しい近代戦に備え、平時の所要数を基に効率的な生産体制を維持してきた従来の考え方を変更し、有事の増産対応確保も考慮した、平時には効率面で最適でない製造体制受け入れることで、態勢全体として前進することを考える必要があると述べました

同参謀総長は、ロシアのウクライナ侵略で改めて示された近代戦における弾薬消費の激しさを踏まえ、現在の弾薬備蓄量と近代戦における弾薬所要量をより詳細に調査分析(deeper dives on these issues to take a really hard look at where we are, from a munitions standpoint)した結果だと説明し、併せて(限られた予算枠を踏まえ、)高性能弾薬と安価で高性能ではない弾薬の適切な保有組み合わせバランスを検討しているとも語りました

Brown5.jpg更にBrown大将は、米空軍はWW2の教訓を思い出し、またコロナ禍で痛感したサプライチェーンの死活的重要性も肝に銘じ、同時にデジタル設計やモジュラー設計の有効性が我々の大きな助けになることを忘れずに、(弾薬ロードマップ検討で煮詰めている)「mix-and-match」方式で弾頭としーカーと推進装置を組み上げる能力確保を追求したい考えており、実際に幾つかの軍需企業を訪問し、従来より自動化され迅速に弾薬製造が可能となりつつある様子も確認している述べています。

そして最後に空軍トップらしく現状での弾薬不足を否定して、現在の米空軍の弾薬備蓄量は適切で基準に適合しているが、わずかな「十分さ」に満足することはできないし、相手に対し圧倒的な優位でありたいと付け加えています

JDAM QUICKSINK.jpgなお、この講演を紹介している2月14日付米空軍協会web記事は、中国による台湾侵攻を想定すると、米軍は5万個の目標を攻撃する必要があり、現状では2週間以内に弾薬庫が空になるとの米空軍協会ミッチェル研究所レポート(2022年3月)を紹介しています(2023年1月末発表のCSISレポートでは1週間で枯渇と分析)

このところ繰り返ししつこいほどの「弾薬問題」を取り上げ、退役軍人やシンクタンクや上院軍事委員長の弾薬問題への懸念をご紹介してきましたが、現役の軍種トップが具体的に発言する段階に入りました。

JDAM-New.jpg3月には2024年度予算案が議会に提出され、本格的な議論が開始される「前振り」でしょうが、今後どこまで具体化されるか見ていきましょう。日本の防衛省がトマホーク一括購入に踏み切ったのは、米側の動きとも関係しているのでしょう

弾薬量の圧倒的不足問題
「CSISも弾薬調達&提供問題レポート」→https://holylandtokyo.com/2023/02/16/4212/
「上院軍事委員長:弾薬が最大教訓」→https://holylandtokyo.com/2023/02/10/4288/
「米空軍の弾薬ロードマップ検討」→https://holylandtokyo.com/2023/02/09/4208/
「米軍は弾薬にもっと予算配分を」→https://holylandtokyo.com/2022/12/02/3990/
「賛否交錯:輸送機からミサイル投下」→https://holylandtokyo.com/2022/11/15/3936/
「弾薬不足:産業基盤育成から」→https://holylandtokyo.com/2022/10/19/3758/
「ウ事案に学ぶ台湾事案への教訓9つ」→https://holylandtokyo.com/2022/03/15/2806/
「Stand-inとoffのバランス不可欠」→https://holylandtokyo.com/2020/07/01/562/

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