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空軍長官:次期制空機NGADは1機が数百億円 [米空軍]

「multiple hundreds of millions of dollars」と表現
ちなみに米国価格でF-35は約98億円
次期制空関連システム全体で無人機も維持可能なコストに収めると

Kendall SASC.jpg4月27日、Kendall空軍長官が下院軍事委員会で証言し、極秘裏に開発中でデモ機が2020年夏には初飛行を行っている次世代制空機NGADについて、価格は数百億円(multiple hundreds of millions of dollars)になると数字に初めて言及しました

F-22が退役開始する2030年頃を目途に導入されるイメージの次期制空機NGADですが、「(対中国を意識して)航続距離や搭載量確保が重要」「高価格になるが必要」とのボンヤリ発言が米空軍幹部から最近聞かれるようになった一方で、具体的な性能や機数等については具体的な話は出ていません

Brown3.jpg2021年初からBrown参謀総長の指示で始まった「TacAir Study:戦闘機構成の検討」も「8年ぐらい時間をかけて」かつ結果は非公表予定で、Kendall長官も27日には「Brown参謀総長の「4+1構想」に引き続きコミットしている。F-35, F-15EX, F-16, F-22 (NGAD導入まで)。+1はA-10だ」と述べるのみで情報管理が引き続き厳格ですが、価格への米議会や世論の驚きや反発を予期して段階的な「ガス抜き」が始まったと理解してよいでしょう

また同日には、今後5年間の米空軍の航空機数削減計画を含む予算案補足説明文書「J-Books」が米議員に提供された様で、4月7日に共和党Fischer上院議員が軍事委員会で言及した「1468機退役、467機新規導入で、差し引き1001機の機数削減」ではなく、「646機退役、246機新規導入で、差し引き400機の機数削減」が計画であることが判明しています

F-15EX 4.jpg今後5年間で「差し引き1001機削減」だと暴露された時も、最終的に「差し引き400機削減」が明らかになった当日も、議会で米空軍幹部は「J-Booksに示される(示された)通り。将来のために必要な資源配分を検討した結果」と述べるだけで、この数字の変化については何も説明していません。

ただ「J-Books」にはF-15EXの総調達機数削減計画が記載されているようで、従来144機調達予定だったものを計80機にまで削減するようです。

F-15EX Eglin2.JPG一方で、2023年予算案では22年の2倍の24機同機を調達する計画になっており、米空軍幹部は「核抑止力近代化等への資源配分もあり、予算制限から総調達機数を削減せざるを得ないが、搭載可能兵器量も多く5世代機レベル装備も多数搭載した優秀な機体なので、可能な範囲で早期導入する」と説明しています

以下では、Kendall長官の27日の下院軍事委員会におけるNGAD価格発言関連部分をご紹介します

27日付米空軍協会web記事によれば
NGAD6.jpg●この数字は米議会の皆さんや世間の関心を集めると思うが、次世代制空システムを構成する次世代制空機NGAD(Next Generation Air Dominance)は、1機あたり数百億円(multiple hundreds of millions of dollars)になる見通しだ
●調達中のF-35や戦闘機クラスで最も高価だったF-22を超える価格になるが、NGADは将来制空の鍵となるアセットである。私が以前かかわったF-22も高価で話題となったが、その後数十年空の支配に大きく貢献した。NGADも同じである

●NGADは高価な機体となる見込みだが、F-35の教訓を生かし、NGADを効率的な能力向上が可能で、維持費を抑える仕組みを組み込んだものとすることに私は楽観的である。

NGAD8.jpg●次期制空システム全体を構成するアセット群には、高価でない無人システムも組み込んでセンサーや兵器等として活用する方向であり、リスクの高い任務に空軍兵士の命を懸けるリスクを減らすことができ、損耗が打撃とならない安価な手法で任務達成を目指すことができる
●NGADのような高価なアセットに並行して、損耗が受け入れ可能な安価なアセットをシステム群に組み込むことで、「よりaffordableな」空軍戦力構成を目指す必要があると認識している
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NGAD7.jpg1機数百億円するNGADは、「秘密の塊」なのでF-22のように海外には売り出さないのか、同盟国にごり押し売り込みをするのか不明ですが、F-35の調達予定機数(1763機)をどこまで削減するのかと合わせ、注目していきたいと思います

それにしても、2020年9月以前に初飛行をデモ機で行っていると米空軍が公表しているNGADに関し、写真1枚出回らないのは立派です。・・・というか、この時代に不思議です。

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「NGADの無人随伴機開発は」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-03-20
「NGADに発言相次ぐ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-10-27
「戦闘機族ボスが少し語る」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-09-07
「戦闘機族ボスがNGADへの危機感」→https://holylandtokyo.com/2021/03/05/154/
「SCIF使用困難で戦闘機開発危機」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-12-12
「次期制空機のデモ機を既に初飛行済」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-16

戦闘機構成検討TacAir study関連
「近未来の戦闘機構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-16
「戦闘機は7機種から4機種へ」→https://holylandtokyo.com/2021/05/18/1496/
「戦闘機混合比や5世代マイナス機検討」→https://holylandtokyo.com/2021/02/22/266/

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