SSブログ

4大シンクタンクがMQ-9の継続活用要望 [米空軍]

米空軍は2035年でMQ-9を完全退役計画も
空軍最高の費用対効果アセットを広範囲で有効活用せよ!

MQ-9 4.jpg11月19日、米空軍協会ミッチェル研究所が「無人偵察攻撃機MQ-9の役割をもう一度考えよう」とのイベントを開催し、4つのシンクタンクの著名研究者が、米空軍が引退を考え始めている約290機保有のMQ-9の高い費用対効果と様々な応用可能性を訴え、更なる有効活用の必要性を主張しました

オンライン討議を行ったのはお馴染みの、CSISのTodd Harrison研究員、ハドソンのBryan Clark研究員、RANDのCaitlin Lee研究員、そして主催者であるミッチェル研究所の研究部長デプチューラ退役空軍中将と関連レポートまとめ役のLawrence A. Stutzriem退役空軍少将で、かなり強力なメンバーです

MQ-9 Agile4.jpg米空軍は対中国シフトのため、老朽装備の早期退役を促進して維持整備費を削減し、浮いた予算で将来の戦いに備えた新装備(戦闘機、爆撃機、空中給油機、ICBM、指揮統制システム等々)への投資を考えており、中東域で大活躍したものの、ステルス性が無く脆弱な無人機MQ-9を2030年から退役を開始し、2035年には完全退役の方向で考えています

しかし4名の専門家は、「北京中心部の上空」で作戦運用可能とは言わないが、平時からグレーゾーン事態で世界中から要望が高いISR任務を効率的に行うには、運用コストが最も低いMQ-9の継続活用は不可欠だと主張し、更に有事においても、有人早期警戒機AWACSやE-2では埋められない空域でのISRや早期警戒など、様々な応用が可能だと訴えています

19日付米空軍協会web記事によれば
Harrison.jpg●CSISのTodd Harrison研究員は、「コスト面で考えれば、米空軍が早期退役を考えるアセットのリストには、MQ-9が含まれてはダメだ。MQ-9はスラムダンク並みに必要不可欠なアセットである」と端的にその重要性を訴えた
●ミッチェル研究所のStutzriem退役少将は、米空軍は予算の伸びが期待できない中で装備の近代化を迫られており、その解決策としてMQ-9を含む老朽装備の早期退役を打ち出しているが、「MQ-9がずば抜けたコストパフォーマンスで実施可能な任務が多数あることを忘れてはならない」と訴えた

Stutzriem.jpg●また同退役少将は、ステルス性のないMQ-9の生存性が低いことが問題視される点について、世界中の戦闘コマンド司令官から日々求められ、今も増加の一途をたどる現場ニーズの実態を無視していると、足元を見る重要性を主張し、そのニーズは中央軍だけでなく、大平洋軍や南米軍やアフリカ軍からも寄せられ、増加していると語った
●更にMQ-9の新たな任務への応用可能性についても同退役少将は触れ、限定予算の中では老朽装備も使用中装備も、将来装備も組み合わせて活用するアイディアも革新の一つだと訴え、以下7つの分野でのMQ-9の活用可能性を示した
• Wide area surveillance in regions of strategic competition.
• Air and missile defense.
• Maritime and littoral operations.
• Communications relays.
• Arctic domain awareness.
• Cruise missile defense of the homeland.
• Defense support of civil authorities.

Clark.jpg●ハドソン研のBryan Clark研究員は新たなMQ-9の活用について、例えば中国大陸沿岸と、E-3AWACSやE-2D早期警戒機がカバーできる監視域との広大なギャップを埋める「passive surveillance platform」としての可能性を提唱し、飛来する敵ミサイルや爆撃機の早期警戒任務への応用を提案した
●RANDのCaitlin Lee研究員は、MQ-9部隊の兵士は様々な現場要求に対応し、不便な島しょ地域への展開法を検討したり、迅速に展開可能な運用支援装備を考えたり、日々のイノベーションに取り組んでおり、空軍の中で最も革新的で活性化された兵士たちであると訴え、彼らの能力を信じて支援すべきだと主張した
////////////////////////////////////////////////////

ミッチェル研究所主催のイベント映像(62分)


研究レポートや説明スライド
https://mitchellaerospacepower.org/event/reimagining-the-mq-9-reaper/

Caitlin Lee2.jpgミッチェル研究所と4名の専門家がまとめたレポートの結論を確認していませんが、約290機保有のMQ-9にどれだけ投資し、何機ぐらいを何時まで運用しようと考えているのか気になるところです。また、横ばいの予算総額を前提に、MQ-9継続保有のためにどの予算を削減せよと具体的に言及しているのであれば素晴らしいのですが・・・そこまではないでしょう

また、日本の環境を考えれば、旧式のRQ-4なんかじゃなくて、MQ-9で良かったんじゃないかとつくづく思いますが、後の祭りと言えましょう

MQ-9関連の記事
「2回目の対中国応用演習」→https://holylandtokyo.com/2021/05/01/211/
「豪州へ12機輸出承認」→https://holylandtokyo.com/2021/04/29/119/
「本格紛争用に約1/4を改修&延命へ」→https://holylandtokyo.com/2021/04/28/118/
「JDAM完成弾運搬役も」→https://holylandtokyo.com/2021/03/09/156/
「無人機MQ-9の対中国海上作戦への応用演習」→https://holylandtokyo.com/2020/10/02/424/

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。