米議会が陸軍に戦闘車両の無人機対策を問いただす [Joint・統合参謀本部]
ミサイルやRPGや迫撃砲対処を優先してきた陸軍へ
アルメニア軍が大損害を受けた衝撃がここにも
世界中の地上部隊共通の課題です
7月28日公表の2022年度予算関連法で米下院が米陸軍に対し、戦闘車両に対する無人機や無人兵器の脅威見積りや対処計画について、関連技術動向も含め2022年1月28日までに報告するよう求めました。
無人機や無人兵器の脅威については、これまでいろいろな側面から米軍の対応をご紹介してきましたが、先日のNHKスペシャル「AI戦争 果てしなき脅威」も取り上げたアルメニア対アゼルバイジャンの紛争で、逃げ惑うアルメニア軍地上部隊や戦車に兵装無人機突入する様子は全世界に衝撃を与えているようで、米議会もその例外ではないようです
米陸軍が保有する主要戦闘車両はAbrams戦車、Bradley歩兵戦闘車両、Stryker戦闘車両ですが、とりあえずの対無人機対処兵器(APS:active protection systems)を搭載できているのはAbrams戦車だけで、Bradley歩兵戦闘車両への搭載は遅れ、Stryker戦闘車両には適当な装備が見当たらずに立ち往生状態にあることが米議会で問題視されているようです。
米陸軍は昨年、ロッキード社と約35億円の契約を結んで車両防御システム(VPS:vehicle protection systems)の検討を開始しており、このシステムは2023年までに上記3種類の戦闘車両全てに搭載可能な形態を、多様な技術要素を広く集めて融合する方式で実現を目指しています
一方でロッキードと契約したVPSは、戦闘車両に向かって飛来するミサイル、RPG、迫撃砲弾等の進路をそらし(deflecting attacks)て自己防御する装備を目指すもので、無人機や無人兵器に対しての能力が不明確(Army has not made it clear)な状態にあることも背景にあり、下院の戦闘車両小委員会が陸軍に見解を問いただす指示を出すことになったようです
7月28日付Defense-News記事によれば
●米議会は近年、戦闘車両への脅威の変化を感じ取り、戦闘車両搭載APS検討用の資金投入を支援してきており、例えば2021年度予算ではBradley歩兵戦闘車両用の装備試験費用18億円を急遽追加で認めたりしている
(この試験は、2021年第3四半期に開始され、2022年第4四半期に終了することとなっている)
●同小委員会は「我が委員会は継続して、戦闘車両の残存性向上と兵士防護のため、米陸軍による能動的並びに受動的なVPSに関する研究開発とシステム融合努力を支援してきた」と無人機及び無人兵器対処の重要性に理解を示しつつも、
●「米陸軍の取り組みが、想定される脅威に対して適切なものなのか確信を持てないでいる」、「本小委員会は米陸軍に対し、無人兵器関連脅威とVPS開発について来年2月22日までに報告するよう命じた」と明らかにし、現在と将来の脅威見通しと、米陸軍による対処兵器開発&導入に関する研究開発状況と技術的成熟度評価を明らかにするよう求めた
●更に同小委員会は、研究開発から実際の装備調達に要する今後5年間のコスト見積もりも提出するよう米陸軍に要求している
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NHKスペシャル「AI戦争 果てしなき脅威」自体はテーマが迷走して「?」な印象で、缶酎ハイによる睡魔との戦いにも屈して途中で一時「寝落ち」してしまったのですが、逃げ惑うアルメニア兵士や車両に無人攻撃機が突入する様子は衝撃的でした。
高価な精密誘導ミサイルよりも、安価で効果的な無人兵器は間違いなく世界に拡散するでしょうから、米陸軍だけの課題では決してありません。
島嶼作戦なんかにも有効でしょうし、攻防両方の側面で見識を深めることが求められるのでしょう
世界に衝撃を与えた2021年9月の戦い
「アゼルバイジャンの大勝利が世界に衝撃を」→https://holylandtokyo.com/2020/12/22/348/
無人機対処にレーザーや電磁波
「THOR:強力電磁波で大量の小型無人機を同時無効化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-22
「アゼルバイジャンの大勝利が世界に衝撃を」→https://holylandtokyo.com/2020/12/22/348/
「カタール配備のC-UASと陸軍のIFPC」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-20
「オプション試験中」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holylandtokyo.com/2020/10/30/445/
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14
「米軍のエネルギー兵器が続々成熟中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-30-1
「米空軍が無人機撃退用の電磁波兵器を試験投入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-27
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「米艦艇に2021年に60kwから」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24
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ブログサポーターご紹介ページ
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アルメニア軍が大損害を受けた衝撃がここにも
世界中の地上部隊共通の課題です
7月28日公表の2022年度予算関連法で米下院が米陸軍に対し、戦闘車両に対する無人機や無人兵器の脅威見積りや対処計画について、関連技術動向も含め2022年1月28日までに報告するよう求めました。
無人機や無人兵器の脅威については、これまでいろいろな側面から米軍の対応をご紹介してきましたが、先日のNHKスペシャル「AI戦争 果てしなき脅威」も取り上げたアルメニア対アゼルバイジャンの紛争で、逃げ惑うアルメニア軍地上部隊や戦車に兵装無人機突入する様子は全世界に衝撃を与えているようで、米議会もその例外ではないようです
米陸軍が保有する主要戦闘車両はAbrams戦車、Bradley歩兵戦闘車両、Stryker戦闘車両ですが、とりあえずの対無人機対処兵器(APS:active protection systems)を搭載できているのはAbrams戦車だけで、Bradley歩兵戦闘車両への搭載は遅れ、Stryker戦闘車両には適当な装備が見当たらずに立ち往生状態にあることが米議会で問題視されているようです。
米陸軍は昨年、ロッキード社と約35億円の契約を結んで車両防御システム(VPS:vehicle protection systems)の検討を開始しており、このシステムは2023年までに上記3種類の戦闘車両全てに搭載可能な形態を、多様な技術要素を広く集めて融合する方式で実現を目指しています
一方でロッキードと契約したVPSは、戦闘車両に向かって飛来するミサイル、RPG、迫撃砲弾等の進路をそらし(deflecting attacks)て自己防御する装備を目指すもので、無人機や無人兵器に対しての能力が不明確(Army has not made it clear)な状態にあることも背景にあり、下院の戦闘車両小委員会が陸軍に見解を問いただす指示を出すことになったようです
7月28日付Defense-News記事によれば
●米議会は近年、戦闘車両への脅威の変化を感じ取り、戦闘車両搭載APS検討用の資金投入を支援してきており、例えば2021年度予算ではBradley歩兵戦闘車両用の装備試験費用18億円を急遽追加で認めたりしている
(この試験は、2021年第3四半期に開始され、2022年第4四半期に終了することとなっている)
●同小委員会は「我が委員会は継続して、戦闘車両の残存性向上と兵士防護のため、米陸軍による能動的並びに受動的なVPSに関する研究開発とシステム融合努力を支援してきた」と無人機及び無人兵器対処の重要性に理解を示しつつも、
●「米陸軍の取り組みが、想定される脅威に対して適切なものなのか確信を持てないでいる」、「本小委員会は米陸軍に対し、無人兵器関連脅威とVPS開発について来年2月22日までに報告するよう命じた」と明らかにし、現在と将来の脅威見通しと、米陸軍による対処兵器開発&導入に関する研究開発状況と技術的成熟度評価を明らかにするよう求めた
●更に同小委員会は、研究開発から実際の装備調達に要する今後5年間のコスト見積もりも提出するよう米陸軍に要求している
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NHKスペシャル「AI戦争 果てしなき脅威」自体はテーマが迷走して「?」な印象で、缶酎ハイによる睡魔との戦いにも屈して途中で一時「寝落ち」してしまったのですが、逃げ惑うアルメニア兵士や車両に無人攻撃機が突入する様子は衝撃的でした。
高価な精密誘導ミサイルよりも、安価で効果的な無人兵器は間違いなく世界に拡散するでしょうから、米陸軍だけの課題では決してありません。
島嶼作戦なんかにも有効でしょうし、攻防両方の側面で見識を深めることが求められるのでしょう
世界に衝撃を与えた2021年9月の戦い
「アゼルバイジャンの大勝利が世界に衝撃を」→https://holylandtokyo.com/2020/12/22/348/
無人機対処にレーザーや電磁波
「THOR:強力電磁波で大量の小型無人機を同時無効化」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-06-22
「アゼルバイジャンの大勝利が世界に衝撃を」→https://holylandtokyo.com/2020/12/22/348/
「カタール配備のC-UASと陸軍のIFPC」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-05-20
「オプション試験中」→https://holylandtokyo.com/2021/04/19/110/
「国防省が小型無人機対処戦略発表」→https://holylandtokyo.com/2021/01/12/295/
「小型ドローン対策に最新技術情報収集」→https://holylandtokyo.com/2020/10/30/445/
「米海兵隊の非公式マニュアル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-07-31
「ドローン対処を3-5種類に絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14
「米軍のエネルギー兵器が続々成熟中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-30-1
「米空軍が無人機撃退用の電磁波兵器を試験投入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-27
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「米艦艇に2021年に60kwから」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24
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→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
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