AIがセンサー操作員を務めるU-2初飛行 [米空軍]
軍用機運用にAI本格活用は初のケースとか
空軍長官や空軍参謀総長が祝いのメッセージを寄せる
15日、加州beale空軍基地をAIセンサー操作員兼ねて戦術航法士を搭乗させたU-2高高度偵察機が離陸し、空軍少佐がAI戦術航法士の指示で機体操縦を担当する中、敵の防空網の状況などをAIが自ら判断してセンサー類を操作し、情報収集する訓練を行いました
米空軍の新技術導入を推進するWill Roper調達担当次官補は、軍用機においてでAIが任務を担当する運用は初めてだととその意義を説明し、チェスや碁の世界で人間の名人を打ち破ってきた「μZeroゲームアルゴリズム」を使用しているとも語っています
先日も「AIは孤独に情報もなく判断を迫られる指揮官を助ける」との記事でご紹介しましたが、米国防省や各軍種は、AIを前線部隊で受け入れてもらえるよう、戦闘機パイロットとAI操縦者でバーチャル空中戦をやらせてみたり、演習司令部で指揮官の判断を支援する情報整理・選択オプションを提示させたりしてAIの有効性を知らしめる試みを続けています
「AIは孤独に情報もなく判断を迫られる指揮官を助ける」
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-27
今回は、1960年代から運用している超ベテラン(空軍は退役させたいと考えている)にAIを組み合わせ、AIの能力を証明しようとの試みでしょう。具体的なAIの活躍状況は報じられていませんが、とりあえず概要をご紹介
16日付Military.com記事によれば
●15日にbeale空軍基地から発進したU-2は、名前非公開の第9偵察航空団所属のコールサイン「Vudu」少佐に操縦され、センサー操作員としてAIのコールサイン「ARTUµ」(R2と発音。映画スターウォーズのR2-D2を真似たもの)を搭乗させた
●離陸後、「ARTUµ」はセンサー類の操作を担当し、「Vudu」少佐とデータを共有しながら飛行を進めつつ、敵からのミサイル攻撃を想定した演習に臨み、「Vudu」少佐が敵機の状況を目視監視し、「ARTUµ」が敵の発射するミサイルの監視等を担った
●AI「ARTUµ」は約50万回のシミュレーション訓練で自らの任務と判断基準を学習し、15日のフライトに備えた。
●15日の飛行では、「(緊迫した場面で)U-2のレーダーを、地上の敵防空ミサイル発射機か、自身の防御用に活用するかの判断もこなしていた」とRoper次官補が明らかにしている
●今年10月には、グーグルが提供するソフト管理システム「Kubernetes」を使用し、飛行中にU-2のソフトウェアをアップデートする試験に成功していたが、今回の「ARTUµ」導入にも「Kubernetes」が活用された
●空軍幹部は、(Kubernetesのような)オープンソース・アーキテクチャーデザインを活用することで、容易に他のシステムにもAIを転用することが可能になる、と今後の可能性を説明している
●またRoper次官補は、「ARTUµ」には、チェスや碁の世界で人間の名人を打ち破ってきた「μZeroゲームアルゴリズム」を使用しているが、人間もAIも強みもあれば弱みも持っており、これらを理解したうえでAI活用に進まないと、「algorithmic warfare」とも言われる新時代の戦いで後れを取ってしまうと述べている
●15日のU-2飛行に関しBarbara Barrett空軍長官は、「人間操縦者の専門能力と、AI機械学習の融合により可能となった今回の飛行は、国家防衛戦略が求める自立システムへの投資に合致したものであり、AIイノベーションの導入は航空宇宙ドメインを変革するだろう」とコメントしている
●Brown空軍参謀総長は、「大国との将来戦に勝利するために、デジタル世界で相手を圧倒していることが不可欠である。このためにAIは重要な役割を果たすことを期待されており、今回のU-2飛行に関わったチームを心から誇りに思う。変化を加速せねばならず、米空軍兵士一人一人が限界に挑戦することが求められている」とメッセージを寄せている
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中国にAI開発拠点を持つグーグルの製品を活用していて大丈夫かよ! ダンフォード前統合参謀本部議長が退任直前に、「本件でグーグル幹部に直談判する」と記者会見で宣言したのに大丈夫かよ!・・・との声も聞こえてきそうですが、辣腕で名をはせるWill Roper調達担当次官補にお任せしておきましょう
AI関連の開発資金力や人材確保面で、他を圧倒していると言われる中国がどの程度のレベルにあるのか把握していませんが、だれも反対しそうもないU-2偵察機へのAI導入を契機として、米軍関係者のAIへのアレルギー感が少しでも払しょくされれば・・・と思います
まんぐーす自身は、Yahoo検索やYouTubeで、一度検索したテーマ関連の記事や広告ばかりが表示され、人間を偏らせるようなAI活用としか接していないので、なんとなくAI嫌いですが・・・
「Dunford統参議長がグーグルに怒り」
→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-23
AI関連の記事
「AIは孤独な指揮官を助ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-27
「AIと人間操縦者の実機対決を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-10
「無人ウイングマンのデモ機選定開始」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-21
「米空軍の無人ウイングマン構想」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-05-27
「突然前倒し?第3回目は太平洋で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-29
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-05
「人工知能シミュレータ提案を募集」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-26
「AI技術を昆虫に学べ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-12-1
「DARPAが新AIプロジェクトを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-11-1
「中露がAI覇権を狙っている」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
「2025年にAIで中国に負ける」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-04
「DARPA:4つの重視事項」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08
応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
空軍長官や空軍参謀総長が祝いのメッセージを寄せる
15日、加州beale空軍基地をAIセンサー操作員兼ねて戦術航法士を搭乗させたU-2高高度偵察機が離陸し、空軍少佐がAI戦術航法士の指示で機体操縦を担当する中、敵の防空網の状況などをAIが自ら判断してセンサー類を操作し、情報収集する訓練を行いました
米空軍の新技術導入を推進するWill Roper調達担当次官補は、軍用機においてでAIが任務を担当する運用は初めてだととその意義を説明し、チェスや碁の世界で人間の名人を打ち破ってきた「μZeroゲームアルゴリズム」を使用しているとも語っています
先日も「AIは孤独に情報もなく判断を迫られる指揮官を助ける」との記事でご紹介しましたが、米国防省や各軍種は、AIを前線部隊で受け入れてもらえるよう、戦闘機パイロットとAI操縦者でバーチャル空中戦をやらせてみたり、演習司令部で指揮官の判断を支援する情報整理・選択オプションを提示させたりしてAIの有効性を知らしめる試みを続けています
「AIは孤独に情報もなく判断を迫られる指揮官を助ける」
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-27
今回は、1960年代から運用している超ベテラン(空軍は退役させたいと考えている)にAIを組み合わせ、AIの能力を証明しようとの試みでしょう。具体的なAIの活躍状況は報じられていませんが、とりあえず概要をご紹介
16日付Military.com記事によれば
●15日にbeale空軍基地から発進したU-2は、名前非公開の第9偵察航空団所属のコールサイン「Vudu」少佐に操縦され、センサー操作員としてAIのコールサイン「ARTUµ」(R2と発音。映画スターウォーズのR2-D2を真似たもの)を搭乗させた
●離陸後、「ARTUµ」はセンサー類の操作を担当し、「Vudu」少佐とデータを共有しながら飛行を進めつつ、敵からのミサイル攻撃を想定した演習に臨み、「Vudu」少佐が敵機の状況を目視監視し、「ARTUµ」が敵の発射するミサイルの監視等を担った
●AI「ARTUµ」は約50万回のシミュレーション訓練で自らの任務と判断基準を学習し、15日のフライトに備えた。
●15日の飛行では、「(緊迫した場面で)U-2のレーダーを、地上の敵防空ミサイル発射機か、自身の防御用に活用するかの判断もこなしていた」とRoper次官補が明らかにしている
●今年10月には、グーグルが提供するソフト管理システム「Kubernetes」を使用し、飛行中にU-2のソフトウェアをアップデートする試験に成功していたが、今回の「ARTUµ」導入にも「Kubernetes」が活用された
●空軍幹部は、(Kubernetesのような)オープンソース・アーキテクチャーデザインを活用することで、容易に他のシステムにもAIを転用することが可能になる、と今後の可能性を説明している
●またRoper次官補は、「ARTUµ」には、チェスや碁の世界で人間の名人を打ち破ってきた「μZeroゲームアルゴリズム」を使用しているが、人間もAIも強みもあれば弱みも持っており、これらを理解したうえでAI活用に進まないと、「algorithmic warfare」とも言われる新時代の戦いで後れを取ってしまうと述べている
●15日のU-2飛行に関しBarbara Barrett空軍長官は、「人間操縦者の専門能力と、AI機械学習の融合により可能となった今回の飛行は、国家防衛戦略が求める自立システムへの投資に合致したものであり、AIイノベーションの導入は航空宇宙ドメインを変革するだろう」とコメントしている
●Brown空軍参謀総長は、「大国との将来戦に勝利するために、デジタル世界で相手を圧倒していることが不可欠である。このためにAIは重要な役割を果たすことを期待されており、今回のU-2飛行に関わったチームを心から誇りに思う。変化を加速せねばならず、米空軍兵士一人一人が限界に挑戦することが求められている」とメッセージを寄せている
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中国にAI開発拠点を持つグーグルの製品を活用していて大丈夫かよ! ダンフォード前統合参謀本部議長が退任直前に、「本件でグーグル幹部に直談判する」と記者会見で宣言したのに大丈夫かよ!・・・との声も聞こえてきそうですが、辣腕で名をはせるWill Roper調達担当次官補にお任せしておきましょう
AI関連の開発資金力や人材確保面で、他を圧倒していると言われる中国がどの程度のレベルにあるのか把握していませんが、だれも反対しそうもないU-2偵察機へのAI導入を契機として、米軍関係者のAIへのアレルギー感が少しでも払しょくされれば・・・と思います
まんぐーす自身は、Yahoo検索やYouTubeで、一度検索したテーマ関連の記事や広告ばかりが表示され、人間を偏らせるようなAI活用としか接していないので、なんとなくAI嫌いですが・・・
「Dunford統参議長がグーグルに怒り」
→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-03-23
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「AIは孤独な指揮官を助ける」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-11-27
「AIと人間操縦者の実機対決を」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-10
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「突然前倒し?第3回目は太平洋で」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-29
「2回目のJADC2又はABMS試験演習」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-09-05
「人工知能シミュレータ提案を募集」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-06-26
「AI技術を昆虫に学べ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-01-12-1
「DARPAが新AIプロジェクトを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-11-1
「中露がAI覇権を狙っている」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
「2025年にAIで中国に負ける」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-04
「DARPA:4つの重視事項」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-09-08
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→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
2020-12-18 05:00
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