衛星通信会社Intelsatが破産宣言 [安全保障全般]
国防省事業関連部門は対象外
3月の衛星ブロードバンド企業OneWebの破産宣言に続き
中国資本の侵入を長期的に警戒
13日、衛星通信会社大手のIntelsatが破産を宣言し、「Chapter11」の申請をバージニア州東部リッチモンド区の米国破産裁判所に提出しました。破産宣言と「Chapter11」申請の範囲には、米軍および同盟国軍に衛星通信を提供する Intelsat General は含まれていないようですが、Intelsatへの外国資本浸潤を国防関係者は懸念しています
Intelsatは声明のなかで、その最終市場のいくつかがコロナの影響を受けたと説明しているようですが、昨年秋に話題のFCCによるC-Band周波数帯の公開オークション計画発表で、主要な衛星通信会社の株価が暴落したことも要因になっているようです
米国での破産とか「Chapter11」申請の意味するところは、日本の倒産のイメージとは異なり、まんぐーすも理解不十分ですが、同社CEOは
●「Chapter11」に関し、裁判所の承認条件となっている、現在業務を継続し、FCCが負担したCバンドの清算費用を返済する10億ドルの新規資金を確保している
●「FCCの要求を満たすために資金が必要で、累積している債務を帳簿からから一掃する必要があった」、「バランスシートを強化する包括的なソリューションを実現することを目指す」
●「これにより投資して戦略的成長目標を追求し、当社の強みを活かし、追加資源投資の風を吹き込み、お客様の緊要なニーズに対応することが可能になる」
・・・と前向きでやるき満々な姿勢で、誰もが知る「Intelsat」の名前が消えることはなさそうです
ただ、国防関連部門に短期的には影響ないとしても、今後もまとまった資金が継続的に必要になることに変わりはなく、国防関係者はこぞって中国の浸潤を警戒しています
14日付C4ISRnet記事によれば
●CSIS研究員のTodd Harrison氏は、「国防省にとっての長期的な懸念は、インテルサットが最終的に破産からどのように脱却するかであり、国家安全保障の観点から懸念されるような所有権の譲渡や資金提供者の増加にある」と述べ、
●Lord調達担当国防次官らが繰り返し懸念を表明している中国資本の浸潤について、Harrison氏は「国防省や財務省が注目することになる」、「資本が米国起源のものなら国防省にとって好ましい」とコメントしている
●米空軍のWill Roper調達担当次官補も、「立場上コメントが難しいが、敵対国の戦術には、コロナのこの時期特に注意している。軍需産業が厳しい状況にある今は、他の状況では接近のチャンスがない敵にとって、略奪する戦術的機会である」と懸念をにじませた
●一方で同次官補は、「単に経済的に困窮している軍需産業を支援することと、外国資本の浸潤にさらされている企業に手を差し伸べることとでは、まったく別の戦略が求められる」、「我々は困難な状況にある企業すべてに対し手を差し伸べることはできない」と苦しい実態を示唆した
●また同次官補は、航空宇宙関連の企業で、国防部門より民生部門の収益に大きく依存している企業への影響を懸念していると述べ、国防省が共に北極圏での通信確保を検討していた「OneWeb」が3月に破産した例を挙げた。OneWebは低軌道衛星通信網に取り組み、日本のソフトバンクも出資していた。
●そして「(厳しい状況下にある企業を支援するため、)特に懸念している航空、宇宙、マイクロエレクトロニクス関連企業を注視し、例外的な積極姿勢で契約手続きを迅速に進め、今週の衛星契約にこぎつけた。またChapter11申請状況をつぶさにフォローし、迅速に対策を打てるように構えている」とも同次官補は説明した
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厳しい経済見通しはニュースで見聞きしていますが、名を知る企業が倒産すると、さすが心に響くものがあります。
いつも前向きな発言で「夢」を描いてくれるWill Roper氏の発言にも、残念ながら、お手上げ感がにじんでいます。
米政権や米国国内の様々な動きにもバラバラ感が漂っており、コロナの更なる爆発的感染も懸念される雰囲気です。トランプ大統領の「F-35部品製造を米国内に呼び戻す」発言ではないですが、どっと疲れが出そうな発言も多いですし・・・
危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
「再びLord次官が警戒感」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-02
「米国防次官:中国資本の浸透警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-26
ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
ブログサポーターご紹介ページ
→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
3月の衛星ブロードバンド企業OneWebの破産宣言に続き
中国資本の侵入を長期的に警戒
13日、衛星通信会社大手のIntelsatが破産を宣言し、「Chapter11」の申請をバージニア州東部リッチモンド区の米国破産裁判所に提出しました。破産宣言と「Chapter11」申請の範囲には、米軍および同盟国軍に衛星通信を提供する Intelsat General は含まれていないようですが、Intelsatへの外国資本浸潤を国防関係者は懸念しています
Intelsatは声明のなかで、その最終市場のいくつかがコロナの影響を受けたと説明しているようですが、昨年秋に話題のFCCによるC-Band周波数帯の公開オークション計画発表で、主要な衛星通信会社の株価が暴落したことも要因になっているようです
米国での破産とか「Chapter11」申請の意味するところは、日本の倒産のイメージとは異なり、まんぐーすも理解不十分ですが、同社CEOは
●「Chapter11」に関し、裁判所の承認条件となっている、現在業務を継続し、FCCが負担したCバンドの清算費用を返済する10億ドルの新規資金を確保している
●「FCCの要求を満たすために資金が必要で、累積している債務を帳簿からから一掃する必要があった」、「バランスシートを強化する包括的なソリューションを実現することを目指す」
●「これにより投資して戦略的成長目標を追求し、当社の強みを活かし、追加資源投資の風を吹き込み、お客様の緊要なニーズに対応することが可能になる」
・・・と前向きでやるき満々な姿勢で、誰もが知る「Intelsat」の名前が消えることはなさそうです
ただ、国防関連部門に短期的には影響ないとしても、今後もまとまった資金が継続的に必要になることに変わりはなく、国防関係者はこぞって中国の浸潤を警戒しています
14日付C4ISRnet記事によれば
●CSIS研究員のTodd Harrison氏は、「国防省にとっての長期的な懸念は、インテルサットが最終的に破産からどのように脱却するかであり、国家安全保障の観点から懸念されるような所有権の譲渡や資金提供者の増加にある」と述べ、
●Lord調達担当国防次官らが繰り返し懸念を表明している中国資本の浸潤について、Harrison氏は「国防省や財務省が注目することになる」、「資本が米国起源のものなら国防省にとって好ましい」とコメントしている
●米空軍のWill Roper調達担当次官補も、「立場上コメントが難しいが、敵対国の戦術には、コロナのこの時期特に注意している。軍需産業が厳しい状況にある今は、他の状況では接近のチャンスがない敵にとって、略奪する戦術的機会である」と懸念をにじませた
●一方で同次官補は、「単に経済的に困窮している軍需産業を支援することと、外国資本の浸潤にさらされている企業に手を差し伸べることとでは、まったく別の戦略が求められる」、「我々は困難な状況にある企業すべてに対し手を差し伸べることはできない」と苦しい実態を示唆した
●また同次官補は、航空宇宙関連の企業で、国防部門より民生部門の収益に大きく依存している企業への影響を懸念していると述べ、国防省が共に北極圏での通信確保を検討していた「OneWeb」が3月に破産した例を挙げた。OneWebは低軌道衛星通信網に取り組み、日本のソフトバンクも出資していた。
●そして「(厳しい状況下にある企業を支援するため、)特に懸念している航空、宇宙、マイクロエレクトロニクス関連企業を注視し、例外的な積極姿勢で契約手続きを迅速に進め、今週の衛星契約にこぎつけた。またChapter11申請状況をつぶさにフォローし、迅速に対策を打てるように構えている」とも同次官補は説明した
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厳しい経済見通しはニュースで見聞きしていますが、名を知る企業が倒産すると、さすが心に響くものがあります。
いつも前向きな発言で「夢」を描いてくれるWill Roper氏の発言にも、残念ながら、お手上げ感がにじんでいます。
米政権や米国国内の様々な動きにもバラバラ感が漂っており、コロナの更なる爆発的感染も懸念される雰囲気です。トランプ大統領の「F-35部品製造を米国内に呼び戻す」発言ではないですが、どっと疲れが出そうな発言も多いですし・・・
危機に乗じた中国資本の米軍需産業への浸潤を警戒
「再びLord次官が警戒感」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-05-02
「米国防次官:中国資本の浸透警戒」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-03-26
ブログ「東京の郊外より」支援の会を立ちあげました!
→https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997
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→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1
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