最新イージス艦に新型無人機対処レーザー兵器搭載 [Joint・統合参謀本部]
秘密プロジェクトで昨年11月に搭載済とか
他の無人機対処レーザー兵器計画も整理ご紹介
2月21日付Military.comが、米海軍幹部の話として、秘密裏に2年半かけて開発してきたレーザー無人機かく乱兵器(?:laser dazzler)をイージス駆逐艦Deweyに2019年11月に搭載し、試験等行っていると報じています
これまでも細切れに各軍種のレーザー兵器・エネルギー兵器開発をご紹介し、米海軍の取り組みについても「最も実用化に近い」等とご紹介してきたところですが、基本的には60kwから精々150kw程度の出力のもので、小型無人機を無効化したり、小型ボートを撃退する程度の段階です。
500kw程度になると、超音速の巡航ミサイルあたりに対処可能とも言われていますが、それでも超超音速兵器や弾道ミサイルに対処可能なレベルにはならないようです。
そんな現在位置ですが、新たな兵器が、試験艦ではなく部隊配備の最新鋭大型イージス艦に搭載されたと言うことですので、他の並行して進められているレーザープロジェクトと共にご紹介いたします
21日付Military.com記事によれば
●米海軍の海洋システムコマンド幹部がMilitary.comに対し、Arleigh Burke級イージス駆逐艦DeweyにODIN(Optical Dazzling Interdictor)との無人機かく乱新兵器を2019年11月に搭載していたことを明らかにした
●ODINは、2014年に試験艦Ponceに搭載され、2017年に同艦が退役するまでペルシャ湾等に展開して試験が行われていたLaWS(Laser Weapons System:実用化されず)の技術を引き継いだもので、「laser dazzler」と表現されるように、敵のドローンを困らせ幻惑させるものと考えられる
●ODINは、着想からイージス艦への搭載まで僅か2年半で行われた「新兵器の迅速配備」を絵に描いたような装備であるが、その能力や仕様、更に試験又は運用状況については殆ど明らかにされていない。
●米海軍は「ODINのイージス艦Deweyへの設置は、stand-aloneシステムの「laser dazzler」として最初の運用配備である」と表現し、「米海軍水上艦艇部隊が無人機に対処するための新たな能力を、迅速に提供したものだ」と説明している
●2021年度予算案で米海軍は、「Navy Laser Family of Systems」開発として、60kwからそれ以上のレーザー兵器で、無人機や小型ボートに対処するための予算を約73億円計上している
●これとは別に米海軍は、Northrop Grummanが開発するSSL-TM(Solid-State Laser Technology Maturatio)との150kw級のレーザー兵器デモにも予算要求しており、着上陸輸送艦Portlandへの搭載を計画している
●また、ロッキード社が開発するHELIOS(High Energy Laser and Integrated Optical-dazzler and Surveillance)との射程5nmの艦艇防御用レーザー(近距離センサーとしても機能:出力60kwで150kwまで増強予定)が、2021年に駆逐艦(太平洋艦隊配属の駆逐艦Preble)に搭載予定である
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今回メインでご紹介した「laser dazzler」と呼ばれるODINと、150kw級を目指すグラマンやロッキードが開発しているSSL-TMやHELIOSとは性格が異なるレーザー兵器のような気がしますが、自分で調べる気力がなく、とりあえず名前だけご紹介しておきます
米海軍は、「艦艇355隻体制を目指す」、「大型艦艇も今後建造する」との方針を打ち出していますので、中国の各種対艦ミサイルに対抗する防御兵器の開発に取り組まないと、米議会の理解が得られない状態にあり、レーザー防御兵器開発に熱心なんでしょう
もちろん米海軍も無人艦艇開発にも取り組んでいますが、航空機と異なり「ステルス性」に限界のある有人大型艦艇の夢を追い続けるには難しい時代になりました。脅威の変化に米海軍が乗り遅れないことを願います
昨年12月、辣腕のLord調達担当国防次官が、無人機防御のため多数のプロジェクトが乱立していることを受け、国防省全体で「3-5種類に絞る」と宣言していましたが、米海軍だけで少なくとも3種類・・・道は険しいですね・・・
無人機対処にレーザーや電磁波
「国防省として無人機対処策を絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14
「米軍のエネルギー兵器が続々成熟中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-30-1
「米空軍が無人機撃退用の電磁波兵器を試験投入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-27
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「2021年に米艦艇にHELIOSを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24
「レーザーは米海軍が先行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24
同じODINでもF-35関連のODINについて
「ALISを断念しODINへ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-22
他の無人機対処レーザー兵器計画も整理ご紹介
2月21日付Military.comが、米海軍幹部の話として、秘密裏に2年半かけて開発してきたレーザー無人機かく乱兵器(?:laser dazzler)をイージス駆逐艦Deweyに2019年11月に搭載し、試験等行っていると報じています
これまでも細切れに各軍種のレーザー兵器・エネルギー兵器開発をご紹介し、米海軍の取り組みについても「最も実用化に近い」等とご紹介してきたところですが、基本的には60kwから精々150kw程度の出力のもので、小型無人機を無効化したり、小型ボートを撃退する程度の段階です。
500kw程度になると、超音速の巡航ミサイルあたりに対処可能とも言われていますが、それでも超超音速兵器や弾道ミサイルに対処可能なレベルにはならないようです。
そんな現在位置ですが、新たな兵器が、試験艦ではなく部隊配備の最新鋭大型イージス艦に搭載されたと言うことですので、他の並行して進められているレーザープロジェクトと共にご紹介いたします
21日付Military.com記事によれば
●米海軍の海洋システムコマンド幹部がMilitary.comに対し、Arleigh Burke級イージス駆逐艦DeweyにODIN(Optical Dazzling Interdictor)との無人機かく乱新兵器を2019年11月に搭載していたことを明らかにした
●ODINは、2014年に試験艦Ponceに搭載され、2017年に同艦が退役するまでペルシャ湾等に展開して試験が行われていたLaWS(Laser Weapons System:実用化されず)の技術を引き継いだもので、「laser dazzler」と表現されるように、敵のドローンを困らせ幻惑させるものと考えられる
●ODINは、着想からイージス艦への搭載まで僅か2年半で行われた「新兵器の迅速配備」を絵に描いたような装備であるが、その能力や仕様、更に試験又は運用状況については殆ど明らかにされていない。
●米海軍は「ODINのイージス艦Deweyへの設置は、stand-aloneシステムの「laser dazzler」として最初の運用配備である」と表現し、「米海軍水上艦艇部隊が無人機に対処するための新たな能力を、迅速に提供したものだ」と説明している
●2021年度予算案で米海軍は、「Navy Laser Family of Systems」開発として、60kwからそれ以上のレーザー兵器で、無人機や小型ボートに対処するための予算を約73億円計上している
●これとは別に米海軍は、Northrop Grummanが開発するSSL-TM(Solid-State Laser Technology Maturatio)との150kw級のレーザー兵器デモにも予算要求しており、着上陸輸送艦Portlandへの搭載を計画している
●また、ロッキード社が開発するHELIOS(High Energy Laser and Integrated Optical-dazzler and Surveillance)との射程5nmの艦艇防御用レーザー(近距離センサーとしても機能:出力60kwで150kwまで増強予定)が、2021年に駆逐艦(太平洋艦隊配属の駆逐艦Preble)に搭載予定である
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今回メインでご紹介した「laser dazzler」と呼ばれるODINと、150kw級を目指すグラマンやロッキードが開発しているSSL-TMやHELIOSとは性格が異なるレーザー兵器のような気がしますが、自分で調べる気力がなく、とりあえず名前だけご紹介しておきます
米海軍は、「艦艇355隻体制を目指す」、「大型艦艇も今後建造する」との方針を打ち出していますので、中国の各種対艦ミサイルに対抗する防御兵器の開発に取り組まないと、米議会の理解が得られない状態にあり、レーザー防御兵器開発に熱心なんでしょう
もちろん米海軍も無人艦艇開発にも取り組んでいますが、航空機と異なり「ステルス性」に限界のある有人大型艦艇の夢を追い続けるには難しい時代になりました。脅威の変化に米海軍が乗り遅れないことを願います
昨年12月、辣腕のLord調達担当国防次官が、無人機防御のため多数のプロジェクトが乱立していることを受け、国防省全体で「3-5種類に絞る」と宣言していましたが、米海軍だけで少なくとも3種類・・・道は険しいですね・・・
無人機対処にレーザーや電磁波
「国防省として無人機対処策を絞り込む」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-14
「米軍のエネルギー兵器が続々成熟中」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-30-1
「米空軍が無人機撃退用の電磁波兵器を試験投入へ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-27
「米陸軍が50KW防空レーザー兵器契約」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-08-05
「2021年に米艦艇にHELIOSを」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2019-05-24
「レーザーは米海軍が先行」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-03-24
同じODINでもF-35関連のODINについて
「ALISを断念しODINへ」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-22
2020-03-16 05:00
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