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EA-18Gから2機のEA-18Gを操作して飛行試験 [Joint・統合参謀本部]

EA-18Gの無人運用を狙っているだけではないようですが
将来の投資のための技術分野を見極めるため・・とか

EA-18G 2.jpg4日、バージニア州の米海軍Patuxent Riverから3機のEA-18G電子戦機が離陸し、うち1機が他の2機を遠隔操作して飛行させる試験を実施しました。

無人機として有人EA-18Gから遠隔操作を受けた2機のEA-18Gにも、離発着を行うために操縦者が搭乗していたとのことですが、離陸後は着陸を除き無人機として運用されました

試験を実施した米海軍戦闘開発コマンドは、同様の飛行を4回行い、21個の試験項目について確認する計画持っており、「将来技術のどの分野に投資すべきかを決定するための資にするためのデータ収集」との位置づけのようです

パイロットが離着陸を行い、飛行間の操作を遠隔操作で行うEA-18Gが、どの様な機体改修を受けているのか、なぜEA-18Gを3機使用して試験なのかも報道からはよくわかりませんが、米空軍が主導して昨年12月に実施した「統合マルチドメイン指揮統制演習JMDC2(連接マラソン試験演習)」とも関係する試みだとも報道されており、とりあえずメディアの記事を紹介しておきます

4日付Military.com記事によれば
EA-18G 3.jpgボーイング社の無人・有人機チーム化デモ責任者であるTom Brandt氏は本試験飛行について、「ボーイングと米海軍にとって、将来の投資分野を検討する資となるベータを収集分析する機会を得た」、「開発中の他の多様な米海軍無人システムと他軍種の無人システムに対しても、シナジー効果を与えるもの」と狙いと成果を表現した
●また、この実験によりEA-18Gが実戦においても「orce multiplier」として使用可能で、(2機の無人機を操作した)一人のパイロットの負担をそれほど増加することなく、操縦者の状況把握能力を向上できることが証明された、とも表現した

●更に同氏は、「実験に使用された技術により、有人機にリスクを負わせることなく、センサーを奥深くに送り込むことが可能になる」とも述べ、また国防省が試みている、既存のアセットに新技術を加えることで将来環境でも有効活用する取り組みを前進させるものであるとも試験を紹介している
国防省関係者は最近、複数のアセットを連接してデータ共有を進めるネットワーク構築に取り組んでおり、昨年12月に米空軍主導で行われた実験演習では、F-22とF-35の連接改善、米海軍F-35やイージス艦等々を結ぶネットワーク構築が試された。また11月には、C-130輸送機から無人機の群れディスペンサーX-61A Gremlinsを投入する試験も行われている

4日付C4ISRnet記事はCSBAの提案を紹介しつつ
米海軍は敵の防空域が拡大していることを受け、有人機が操る無人機や兵器をより前方に送り出して戦う方向を追求しているが、CSBAの最近のレポートが一つの形を提言している
Clark CSBA.jpgCSBAのBryan Clark研究員は、無給油で行動半径3000マイルの対潜水艦作戦から対地攻撃まで可能な無人攻撃UCAV(unmanned combat air vehicle)導入を提唱しているが、同時に有人機を無人機の指揮統制用として維持することを求めている

●「もちろんCAS任務には有人機が必要だが、それ以上に遠方との通信維持が困難な作戦地域で、無人システムの指揮統制を担う有人機が求められる。その役割は有人戦闘機に託される」と主張し、「機体内兵器搭載スペースを燃料搭載用に転換して航続距離を増したF-35が候補となる」としている
●また同研究員は、「F-35操縦者によれば、このような任務をF-35に期待した場合にも、F-35のソフトを少し変更するだけで容易に対応可能だ」と説明している

ボーイングのBrandt氏は、今回のEA-18Gによる実験は、F-35が保有する高度な通信装置を使用せずとも、複数の航空アセットを連接することで状況認識能力を向上させることが出来ることを証明した、と実験の意義を語った
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2つのメディア記事からすると、センサーを搭載した無人機を先行的に前方に差し向け、その無人機を負担なく後方の有人機でコントロールしながら、無人機のセンサー情報で有人機操縦者の情勢認識(situational awareness)を向上させるための試験だったと想像できます

x-47Bflyover.jpgまた、無人機を指揮統制する有人機はステルス性を持つF-35を想定しているが、F-35で試す前にEA-18Gで試験してみた・・・とも解釈できます。
いずれにしても、「統合」「マルチドメイン」「連接」「ネットワーク」は、今後の米軍の作戦運用を考えるキーワードであることが、この試験からもうかがえます

それと、CSBAのBryan Clark研究員が提唱する行動半径3000マイルの無人攻撃UCAVは、CSBAの「エアシーバトル」提言で提唱されていたものとほぼ同じですが、米海軍がいつの間にか無人艦載空中給油機MQ-21に変更してしまって尻すぼみになっていたものです

関連の記事
「2021年度予算の焦点は連接・全ドメイン」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-02-09
「初の統合「連接」実験演習は大成功」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-23
「初回のテーマは巡航ミサイル米本土防衛」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-12-10
「空軍資源再配分の焦点は連接性」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-11-08
「マルチドメイン指揮統制MDC2に必要なのは?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-09-24
「CSBAが提言:大型艦艇中心では戦えない」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-01-10

F-35とEA-18Gを比べると・・・
「ステルス機VS電子戦機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22

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