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F-35の能力確認試験は更に13ヶ月以上延長へ [亡国のF-35]

本格フル生産も更に延期へ
この状態にもロッキードは能天気なコメント

lord.jpg18日、Ellen Lord米国防省調達兵站担当次官が記者会見を行い、2019年末までに終了する計画だったF-35の初度運用評価試験IOT&E(initial operational test and evaluation)が、最大能力を評価するシュミレーションの準備が遅れていることから終わりが見えず、同試験の結果を見て判断されるフル生産体制への移行決断時期が、13ヶ月延期されて2021年1月まで遅れると認めました

この初期運用評価試験IOT&Eは、当該装備開発の成熟度を国防省として最終的に判断し、量産を許可するかを判断するものですが、準備が遅れているJSE(Joint Simulation Environment)は、F-35の能力を最大限に発揮させるための脅威環境を実環境では再現しにくいことから準備される模擬環境で、F-35を1機「FIAB(F-35 In-A-Box)」という専用の環境におく準備を言うようですが、この体制が整わないようです

もともと初期運用評価試験IOT&Eの開始時期自体が2018年9月から同年12月まで遅れた時点で、2019年夏までに試験を終了するのは困難だろうと多くの専門家が予想していましたが、2020年度予算に間に合うようにしたいとの政策的配慮から、国防省F-35計画室がいつものように強がりを言い続けて今日に至っていたわけです

F-35hardpoints.jpg今年度も既に1年間で130機を製造するペースで、量産ペースとなる1年160機に十分近づいており、要求性能が確認できないまま見切り発車で機体をバコバコ作ることがなし崩し的に行われており、量産判断にどんな意味があるのか「?」な無気力感が漂う今日この頃ですが、後に発生する改修費用を無視するような狂気の沙汰が続いている状況です

また量産許可が下りても、維持経費も含めたF-35経費が高止まりしていることから米空軍もF-35調達ペースを安易に上げられないジレンマに苦しんでおり、戦闘機数を維持するためF-15最新型を今更調達する苦悩の決断をした次第です

18日付Defense-News記事によれば
Ellen Lord次官は記者会見で、初期運用評価試験IOT&E結果を踏まえて行う量産判断(Milestone C)は予定の2019年末には出来ず、13ヶ月ほど延期せざるを得ないと認めた
●F-35は、JSE(Joint Simulation Environment)環境下で高い脅威環境での能力評価を行う必要があるが、JSEの準備が遅れているのが延期理由だと同次官は説明した

F-35-lineUp.jpg●そして同次官は、国防省F-35計画室に対し、遅れを踏まえた量産判断までの修正計画をまとめるよう今週初めに指示したと語った。この延期が新たなコスト上昇を招くのかは明らかにされていない
●同次官は現状について、「JSE準備は順調ではないがIOT&Eの極めて重要な部分であり、国防省IOT&E室長のBehler博士と緊密に協議している。関係者は良い仕事をしているがJSEは欠くことが出来ない」と語った

●9月に軍事メディアが、JSEにF-35とそのセンサーや兵器群を組み込む「FIAB:F-35 In-A-Box」開発にロッキード社が遅れていると報じ、噂されていた試験の遅れが具体的に明らかになった
ロッキード社は今後の生産増への対処能力に自信を示した声明を発表し、「Lord次官が明らかにしたように、F-35は素晴らしい成果を顧客に提供しており、わが社は引き続き生産をアップし、機体の向上に努め、維持体制を改良していく」、「今年の生産目標は131機で順調に進んでおり、来年の140機生産に向けても順調である。我々はF-35計画に関連する全ての関係者がフル生産体制の準備が整い、顧客のニーズに応える準備が出来ていると自信を持っている」と述べた
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F-35 clear2.jpg試験の遅れのことなど、まるで気にしていないようなロッキードの声明に腹が立ちますし、これら全ての遅れは見え見栄なのに、最後まで遅れを認めない国防省側にも不誠実さを感じます。
国防省や米空軍は、このような大きなプロジェクトを1社に独占させてしまったことが間違いだったと「あきらめている」様にも見えます。

それでもこの反省を踏まえ、米空軍は次期制空機に関し、機種選定による1機種大量生産ではなく、複数企業が独自機体を長期契約更新しつつ保持、5年毎に最適なものに乗り換えなどの新たな構想を打ち出し、計画検討室長に45歳の調達幹部を指名したところです。

F-35の調達計画を、米空軍や米軍はどこまで守り続けられるのでしょうか? 
国防省高官が、空母1隻の予算で中国を攻撃可能な長射程ミサイルを2000発購入可能だと発言し、現在の脅威環境での空母の重要性に疑問を呈したようですが、戦闘機の位置づけに議論が及ぶのも時間の問題だと思います

F-35の能力評価試験関連
「F-35の量産判断試験IOT&Eは大丈夫?」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2018-10-21
「F-35最終試験は1年遅れでも計画通りは不可能」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2017-02-17

米空軍は次期制空機調達に新構想
「米空軍が次期戦闘機検討でギャンブル」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-10-05

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