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米本土から欧州に2万人展開の「Defender 2020」演習 [Joint・統合参謀本部]

来年2月から機動展開開始
4-5月に欧州でメイン戦闘演習6月撤収

Defender 20201.jpg7日付Defense-Newsは、来年2月から6月にかけ実施される冷戦後最大規模の米陸軍機動展開演習「Defender 2020 in Europe」について欧州米陸軍司令官Chris Cavoli中将が語る様子を報じています

米陸軍が米本土から大規模に機動展開することを演練する演習「Defender 2020」は、太平洋軍エリアでも来年計画されており、1個師団司令部と数個旅団が南シナ海対処シナリオに基づき、フィリピンやタイを中心とした復う数の地域諸国に展開して演習する計画となっており、この欧州版が「Defender 2020 in Europe」です。

しかし欧州版は太平洋版に比して規模が大きく、1個師団以上の2万人を米本土から移送し、ドイツやポーランド、バルト3国や東欧諸国、グルジアや北欧諸国にも展開させるもので、冷戦時に大規模に行われていた「Reforger 演習」がドイツだけに戦力を集中展開し、恐らく「フルだギャップ」防衛に備えた演習だったのに対し、広く対露正面を意識した点で極めて挑戦的な演習と言えましょう

Defender 20202.jpg欧州米陸軍司令官が、「従来のSaber Guardian演習などが戦術的な演習だとすれば、Defender 2020は戦略的なレベルの演習だ」と語っているように、特に輸送面などの兵たん面で、欧州関係国との連携が大いに試される演習となりそうです

3月末に太平洋地域の「Defender 2020」をご紹介した際は、太平洋陸軍司令官から時期についての話がありませんでしたが、欧州が2020年前半だとすると、太平洋では2020年の後半かもしれませんね

7日付Defense-News記事によれば
●Chris Cavoli欧州米陸軍司令官は、師団規模の米陸軍部隊を、米本土の基地から米国の港に移動させ、欧州の港に運び、そこから陸路を東欧州全域に、つまりドイツ、ポーランド、東欧、北欧諸国に移動させる演習だと独占インタビューで語った
●米陸軍はこれまで、太平洋軍エリアでの「Defender 2020 in the Pacific」については語ってきたが、欧州での同演習についてはほとんど明らかにしてこなかった

Defender 20204.jpg2014年にロシアがウクライナに浸潤して以降、それまで削減傾向にあった他国での米陸軍プレゼンスを見直し、米本土所在部隊を増やす傾向は変わらないが、欧州地域での戦力維持にも配慮し、また関連装備の前方備蓄を積み上げてきた
●また、「brigade combat team」や陸軍航空旅団を9ヶ月ローテーションで戦力を展開させる手法を講じてきた。しかし今回の2万人規模を米本土から機動展開させる演習は、全くこれまでとは異なる大きな挑戦であると、同司令官は語った。

●これまでも緊急展開の重要性に鑑み、「Saber Guardian」などの演習で部隊展開を訓練してきたが、これらはあくまでも戦術的な訓練であり、「Defender 2020」は戦略的対応力を試すものとなると同司令官は表現した
●また、何千もの単位の部隊が移動するとなれば、輸送インフラのほか、効果的な連携や受入国からの支援が欠かせなく、地域の同盟国・パートナー国の取り組みを訓練してもらうことにもなるとも語った

●例えば、戦術レベルの演習では、ハンガリーに国内の部隊移動全体を調整する部署を設けてもらったし、ドイツには欧州全体を機動展開する部隊の統合調整所を設置してもらったこともある
Defender 20203.jpgこのような取り組みが「Defender 2020」では各所で期待され、緊急事態の際に必要な円滑な部隊移動を支援する訓練となる事を期待している

前方事前集積装備の活用もこれまでの演習から一歩踏み込み、事前集積装備や弾薬を活用し、実弾演習まで行う計画だと説明した

●司令官はまた、「Defender 2020」では、米陸軍の「JWA:Joint Warfighting Assessment 2020」など約10個の欧州での通常演習を組み込んで行うことにしていると説明した。
●更に司令官は、「Multi-Domain Operations」コンセプトを検証するため、いくつかの取り組みを組み込む予定だと述べ、試行部隊は完全には編成されていないが、現状で不足する部分は米本土から派遣される部隊で模擬するなどして、検討中のコンセプトのテストに供したいとも語った
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極めて概要の紹介になりましたが、恐らく下士官から将軍クラスまで、全く経験したことの無い大規模機動展開演習になると思われます

安全な聖域を移動する中東への派遣イメージを払拭し、敵の脅威が迫る地域への機動展開と言う「古くて新しい」演習に期待いたしましょう・・・・

「米陸軍は2020年に南シナ海大規模機動展開演習」
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2019-03-30

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