今年は日本参加なし宇宙演習Schriever Wargame [サイバーと宇宙]
新たな指揮統制部署常設の必要性を教訓に
豪NZ加英も参加で欧州に焦点を
昨年日本は初参加も今年は姿見えず・・・
17日付米空軍協会web記事は、新設の米宇宙コマンド司令官がAFA航空宇宙サイバー会議で、終了したばかりの「Schriever Wargame 2019」について語った内容について概要を紹介しています
今回で13回目の同演習で、米空軍宇宙コマンドが引っ張る形の統合演習ですが、近年同盟国等の参加に加え、米国防省以外の組織であるNASA、国土安全保障省、運輸省、商務省、国務省などが参加する政府機関を挙げての演習で、過去にはロケット打ち上げを担う民間企業の参加もあった演習です
宇宙で起こることを理解するには多様なソースから情報を収集しないと状況把握(SA)が出来ないし、宇宙での出来事の影響はネットを含む通信や交通機関を始め、人々の日常生活全般に影響を与えることから、多方面の関係者が頭を一つにして対応を練る必要があるとの問題認識からこのような発展を遂げたのが「Schriever Wargame」です
事柄の性格上具体的な細部が語られることはありませんが、宇宙軍創設に向けた動きが始まった中での同演習ですので、フォローしておきます
17日付米空軍協会web記事によれば
●9月13日までの2週間に渡り、アラバマ州のマックスウェル空軍基地(米空軍大学所在地)で開催された第13回の「Schriever Wargame」の様子と成果について、新設の米宇宙コマンド司令官Jay Raymond大将は、加州のVandenberg空軍基地内の「Combined Space Operations Center」内に指揮統制専門の小組織(specialized command-and-control cell)を設ける必要があるとの教訓を得たと米空軍協会機関紙の取材に17日語った
●同大将は演習の概要について、「2029年を想定し、マルチドメイン作戦で戦略目的を達成しようとする高等な敵に対し、米国と同盟国が如何に協力して対応すべきかを訓練した」、「米軍欧州コマンドや米空軍宇宙コマンドに焦点を当てたシナリオを設定にした」と説明した。
●また空軍宇宙コマンドのリリースでは、「シナリオにはフル帯域の多様な脅威が含まれ、マルチドメイン作戦環境下で、文民と軍人の指導者や計画担当者や宇宙アセット運用者、更にはそのアセットに挑戦するものである」と説明している
●演習参加者は、軍用だけでなく商用や他政府機関の手段を総動員し、宇宙アセットを守るためにあらゆる手法を投入することを検討した。またその過程で情報やアセットの秘匿度や重要性を考慮しつつ、宇宙における責任ある行動を議論しつつ、宇宙からのアクションや宇宙での行動がエスカレーションにつながるか否かを見極めつつ、演習を進めた
●同大将は、「もっとも大きな教訓は、宇宙においてコアリションやパートナー国が如何に重要かを再認識できたことである」、「同盟国等の重要性については、これまでも同演習で学んできたが、より協力になりつつあることも明らかにすることができた。そしてまた、我々の焦点は紛争抑止にあるべきとの点も明確になった」とも表現した
●豪NZ加英や米国の27もの関連組織から約350名が参加した演習であったが、宇宙軍の創設に向け最近整理された米宇宙コマンドとNROの関係を試す意味でも重要な訓練となった
●同大将は最近、紛争が激しさを増す状態になったなら、NROは宇宙コマンド司令官の配下に入り、一元指揮の元で情報コミュニティーの衛星や宇宙アセット防御に尽くすことになると述べているが、具体的にどのような状況でその形態に移行するかには触れなかった。
●「新たな合意の枠組みは、紛争の流れの中で統一された作戦行動を行うことを目的としている」、「合意は公式な指揮権の移譲でも、指揮関係の変更でもないが、NROと宇宙コマンドのより強力なパートナーシップを形作るものである」と説明した
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米軍宇宙組織と情報コミュニティーの元締めであるNROの仕切りが、宇宙軍成功の大きな鍵となっているようですが、抽象的なRaymond米宇宙コマンド司令官の言葉でご紹介しました
このような米国内でも新たな仕切りも演習のテーマであったことから、日本には参加の機会がなかったのかもしれません。断ったのか、招待されなかったのかは不明ですが、今回が欧州中心のシナリオで、昨年10月はアジア太平洋が舞台だったことも関係あるかもしれません
昨年10月には、自衛官だけでなく、防衛省、外務省、内閣府、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などのメンバーがチームとして参加したのですから大きな転機でした。ちなみに豪NZ加英は昨年も今年もしっかり参加していますが・・・
Schriever Wargame関連の記事
「日本初参加の2018年の同演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-25
「米国が日本を誘う・・・」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-3
「日本は不参加:米軍宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-14-1
「欧州を主戦場に大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11
「Schriever Wargame」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02
宇宙での戦いに備え
「同盟国にも訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-2
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1
「米高官が不審な露衛星を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-15
豪NZ加英も参加で欧州に焦点を
昨年日本は初参加も今年は姿見えず・・・
17日付米空軍協会web記事は、新設の米宇宙コマンド司令官がAFA航空宇宙サイバー会議で、終了したばかりの「Schriever Wargame 2019」について語った内容について概要を紹介しています
今回で13回目の同演習で、米空軍宇宙コマンドが引っ張る形の統合演習ですが、近年同盟国等の参加に加え、米国防省以外の組織であるNASA、国土安全保障省、運輸省、商務省、国務省などが参加する政府機関を挙げての演習で、過去にはロケット打ち上げを担う民間企業の参加もあった演習です
宇宙で起こることを理解するには多様なソースから情報を収集しないと状況把握(SA)が出来ないし、宇宙での出来事の影響はネットを含む通信や交通機関を始め、人々の日常生活全般に影響を与えることから、多方面の関係者が頭を一つにして対応を練る必要があるとの問題認識からこのような発展を遂げたのが「Schriever Wargame」です
事柄の性格上具体的な細部が語られることはありませんが、宇宙軍創設に向けた動きが始まった中での同演習ですので、フォローしておきます
17日付米空軍協会web記事によれば
●9月13日までの2週間に渡り、アラバマ州のマックスウェル空軍基地(米空軍大学所在地)で開催された第13回の「Schriever Wargame」の様子と成果について、新設の米宇宙コマンド司令官Jay Raymond大将は、加州のVandenberg空軍基地内の「Combined Space Operations Center」内に指揮統制専門の小組織(specialized command-and-control cell)を設ける必要があるとの教訓を得たと米空軍協会機関紙の取材に17日語った
●同大将は演習の概要について、「2029年を想定し、マルチドメイン作戦で戦略目的を達成しようとする高等な敵に対し、米国と同盟国が如何に協力して対応すべきかを訓練した」、「米軍欧州コマンドや米空軍宇宙コマンドに焦点を当てたシナリオを設定にした」と説明した。
●また空軍宇宙コマンドのリリースでは、「シナリオにはフル帯域の多様な脅威が含まれ、マルチドメイン作戦環境下で、文民と軍人の指導者や計画担当者や宇宙アセット運用者、更にはそのアセットに挑戦するものである」と説明している
●演習参加者は、軍用だけでなく商用や他政府機関の手段を総動員し、宇宙アセットを守るためにあらゆる手法を投入することを検討した。またその過程で情報やアセットの秘匿度や重要性を考慮しつつ、宇宙における責任ある行動を議論しつつ、宇宙からのアクションや宇宙での行動がエスカレーションにつながるか否かを見極めつつ、演習を進めた
●同大将は、「もっとも大きな教訓は、宇宙においてコアリションやパートナー国が如何に重要かを再認識できたことである」、「同盟国等の重要性については、これまでも同演習で学んできたが、より協力になりつつあることも明らかにすることができた。そしてまた、我々の焦点は紛争抑止にあるべきとの点も明確になった」とも表現した
●豪NZ加英や米国の27もの関連組織から約350名が参加した演習であったが、宇宙軍の創設に向け最近整理された米宇宙コマンドとNROの関係を試す意味でも重要な訓練となった
●同大将は最近、紛争が激しさを増す状態になったなら、NROは宇宙コマンド司令官の配下に入り、一元指揮の元で情報コミュニティーの衛星や宇宙アセット防御に尽くすことになると述べているが、具体的にどのような状況でその形態に移行するかには触れなかった。
●「新たな合意の枠組みは、紛争の流れの中で統一された作戦行動を行うことを目的としている」、「合意は公式な指揮権の移譲でも、指揮関係の変更でもないが、NROと宇宙コマンドのより強力なパートナーシップを形作るものである」と説明した
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米軍宇宙組織と情報コミュニティーの元締めであるNROの仕切りが、宇宙軍成功の大きな鍵となっているようですが、抽象的なRaymond米宇宙コマンド司令官の言葉でご紹介しました
このような米国内でも新たな仕切りも演習のテーマであったことから、日本には参加の機会がなかったのかもしれません。断ったのか、招待されなかったのかは不明ですが、今回が欧州中心のシナリオで、昨年10月はアジア太平洋が舞台だったことも関係あるかもしれません
昨年10月には、自衛官だけでなく、防衛省、外務省、内閣府、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などのメンバーがチームとして参加したのですから大きな転機でした。ちなみに豪NZ加英は昨年も今年もしっかり参加していますが・・・
Schriever Wargame関連の記事
「日本初参加の2018年の同演習」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-11-25
「米国が日本を誘う・・・」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-09-3
「日本は不参加:米軍宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-14-1
「欧州を主戦場に大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11
「Schriever Wargame」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02
宇宙での戦いに備え
「同盟国にも訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-21-2
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1
「米高官が不審な露衛星を」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-08-15
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