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艦載無人給油機MQ-25はボーイングへ [Joint・統合参謀本部]

米空軍KC-46に続き、海軍給油機も・・・

MQ-25 b.jpg8月末の各種報道で、米海軍初の無人艦載機で空中給油機のMQ-25製造企業が、企業選定の結果ボーイング社に決定と報じられました。

約900億円の契約はMQ-25の設計開発と試験及び最初の4機の価格が含まれたもので、6年後の2024年に初期運用態勢を達成する計画の下に結ばれます。そして総経費約1.5兆円で72機のMQ-25を導入する全体像の計画です

この企業選定は、最終的なRFPが2017年10月に発出され、「Lockheed Martin」、「Boeing」、「Northrop Grumman」、「General Atomics」の4企業に提示されていたものですが、RFPを見たNorthrop Grummanは同年10月末に撤退を表明し、3者による争いとなっていました

MQ-25 B2.jpg撤退したNorthrop Grummanは、艦載無人機技術のデモ機X-47Bを開発製造して成功させた企業で、その撤退は衝撃のニュースとなりましたが、同社は無人艦載機を突破型の攻撃偵察機として「flying wings」型で開発してきた経緯があり、米海軍が2016年に開発構想を給油任務に絞る事に変更し、コスト削減を重視する方向に転換した時点で勝ち目無しと判断したといわれています

同じく「flying wings」タイプを提案していたロッキード社も、様々な拡張性を求めるRFPからして勝ち目はないと見られており、事実上はBoeingとGeneral Atomics提案の「wing-body-tail」タイプの争いとも予想されていたところです

結果としてボーイングは、米空軍の次期給油機KC-46Aと海軍の給油機を共に担うことになり、米軍の空中給油機を全て担当することになることから、空軍のKC-46Aの次のKC-Zと呼ばれる無人給油機もボーイングに行く流れでは・・・とか、いろいろな憶測も流れていますが、そんな報道をご紹介します

8月末の各種報道によれば
MQ-25 b5.jpg米海軍トップのJohn Richardson海軍大将は、「選定結果を発表するこの日は、振り返ったときに歴史的な日と認識されることになろう」、「作戦運用面で見れば、無人機と有人機の融合により、作戦機の行動範囲を拡大し、かつFA-18にのしかかっている給油任務を軽減することになる」と意義を語った

●米海軍は具体的な要求事項をほとんど明らかにしていないが、MQ-25 Stingrayは空母から500nm離れた場所で、14000ポンドの給油が可能な性能が求められることになる
●現在FA-18の戦闘行動半径は約450nmであるが、MQ-25 の導入によりこの距離を追加で300~400nm延伸することが可能となる計算になり、700nmを超える行動半径を獲得することになる

MQ-25 b3.jpg●専門家は、米海軍が突破型の攻撃偵察機構想から低コスト給油機に考え方を変えたことから生じた結果だと見ており、「ボーイングはコストに重点を置いて最初から取り組んでおり、FA-18部品の流用や、米空軍給油機の経験も生かした結果だ」との見方を語った
●更に提案機を公開していたGeneral Atomics社もコスト重視で、MQ-1の経験を生かして中高度長時間航空機の実績が豊富であったが、海上システムの経験が不足してる点で懸念があったのではとの見方を語った

●General Atomics社の関係者は、RFPに拡張性に関する要求事項が多いことに言及し、「兵器搭載やISR装備搭載の余地を確保している。海軍は既にレーダー搭載用のフック装備を求めている。最終的にはこの無人機はトラックになるんじゃないか」と冗談まで交えて語っていたことがあった
●つまり、相当の装備拡張性をREPが求め、B-2爆撃機のような「flying wings」型では対応できない要求だったともいえる
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MQ-25 B4.jpgボーイングが苦労している米空軍の次期給油機KC-46A計画は、旅客機ボーイング767型機をベースに開発するもので低リスクと考えられ、最初の18機調達が固定費用契約で約5000億円でしたが、数々の開発トラブルに見舞われ、ボーイング側は既に追加で3300億円以上を自腹で投入しています

この初期契約は、最終的に2028年までに179機を導入する本契約に繋がっており、総経費は3兆8000億円と見込まれていますが、ボーイングもMQ-25受注で少しはもり返せるでしょうか???

どちらにしても、2016年に突破型攻撃偵察機構想が放棄されて以降、フォローする気力が萎えているMQ-25ですが、KC-46の損失補填でないことを祈りつつ・・今後を見守りたいと思います

MQ-25関連の記事
「NG社が撤退の衝撃」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-29-1
「提案要求書を発出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-13
「MQ-25でFA-18活動が倍に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-03
「MQ-25のステルス性は後退」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-27 

「CBARSの名称はMQ-25Aに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-17
「UCLASSはCBARSへ?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-02
「UCLASS選定延期へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-05-1

「米海軍の組織防衛で混乱」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-01
「国防省がRFPに待った!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-12

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