SSブログ

着々と米空軍が仮想敵飛行部隊を民間委託へ [米空軍]

Aggressor.jpg17日付米空軍協会webが、欧州米空軍司令官のTod Wolters空軍大将へのインタビュー記事を掲載し、米空軍が保有してきた敵戦闘機を訓練で演じる部隊を民間委託する動きが着実に進んでいる様子を紹介しています

米空軍で「Red Air」とか「Aggressor」とか呼ばれる敵戦闘機部隊ですが、操縦者の民間流出や予算削減のあおりを受け、同部隊の精鋭操縦者を前線部隊に配分し、かつ維持経費を削減するために民間委託する検討が進められています

2017年9月、米空軍戦闘コマンドのHolmes司令官は、「従来のように仮想敵機飛行部隊を維持するのが理想だが、予算的制約から4つのうちの2つの部隊を閉鎖しなければならない」と述べ、 「次善の策として、民間企業に委託して必要な人材を確保し、同時に空軍操縦者等を他の任務に生かすことを検討する」と語っていたところです

敵機役を委託可能な民間業者としては
Draken International現在ネリス基地で同業務を唯一行っている企業。最近南ア製のCheetah超音速戦闘機を12機入手して計109機体制を整備
Textron Airborne Solutions→2017年9月に仏空軍のミラージュF1戦闘機63機を購入し、世界最大の超音速機保有の私企業
Tactical Air Support→ヨルダン空軍のF-5戦闘機を21機調達し、同機を計26機保有・・・等が存在しています

17日付米空軍協会web記事によれば
Aggressor2.jpg●Tod Wolters欧州米空軍司令官はインタビューに答え、「間もなく」仮想敵飛行部隊の民間委託契約が欧州だけでなく他の地域にも導入する決断がなされるだろうと語った
●同司令官は、米空軍戦闘コマンド司令官と緊密に連携しつつあり、民間委託仮想的部隊は一度配備されると多くの場所に配備されるだろうとも表現した
●そして、6月初旬にはネリス空軍基地で活動する民間業者「Draken International」と約300億円の契約が結ばれたと明らかにし、米空軍は今後2019年7月までに、米本土の12か所で37000飛行時間の提供を依頼する大規模な仮想敵機契約を結ぶだろうと語った

●Wolters大将は、米空軍戦闘コマンドは同盟国空軍の能力や米空軍のニーズを全世界的規模で把握分析しており、「世界各地に仮想的機部隊を割り当て、各地での訓練効果を最大限にかつ効率的にし、米空軍部隊や同盟国空軍部隊の即応体制を高めるため、民間企業への業務委託契約を推進する」と語った
//////////////////////////////////////////////////////

Aggressor3.jpg今年1月10日に候補企業に米空軍が説明会を行ったとご紹介していましたが、順調に「民間委託」に向けた契約準備が進んでいるようです。敵機の役割を演じる「Red Air」は、秘密情報にもアクセス可能で、操縦技量的にも高度なレベルが求められると思うのですが、そのあたりも怠りないのでしょう・・・

そのうち、嘉手納基地や三沢基地にも「民間委託アグレッサー飛行隊」がやってくるのかもしれません・・・。余計な心配ですが、その場合、米空軍機扱いで日本で飛行するのでしょうか???

それにしても、背景にある米空軍操縦者の流出には歯止めがかからないようで・・・

「仮想敵機部隊も民間委託へ」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-09-1

米空軍が必死な人材確保策
「オンラインゲームで若者獲得へ」→https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-06-02-1
「再雇用枠を大幅拡大」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-25
「下士官パイロットの役割拡大は」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-19-3
「F-35操縦者養成部隊の苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12-3

「下士官パイロット任務拡大?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-01-22
「さらに深刻化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-11-10
「世も末:幕僚勤務無し管理検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-20

「トップが操縦者不足と軽攻撃機を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-09-17
「18年ぶり飛行手当増額」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-08-28
「戦闘機パイロット2割不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-22

nice!(2)  コメント(1) 

nice! 2

コメント 1

ポテトマニア

民間委託のアグレッサーに関しては、結構前から(正確にいつからかは覚えていませんが10年以上前だと思います)日本にきてたりします。
ATAC(Airborne Tactical Advantage Company)のホーカーハンターが厚木や嘉手納に何度か飛来しています
主な任務は艦船に対する仮想敵機役や侵攻シミュレートらしいです。今回紹介された空対空ではないですが、これらの任務も立派なアグレッサーでしょう(海軍からの依頼なのでこの場合アドバーサリーでしょうか)
ATACはクフィルなども保有しているので、それらもいつか日本にくるのではと当時マニアの間で期待されていましたが、残念ながらこちらは今も実現していません
そういえばATACは今回紹介されたTextronに買収されていたような

by ポテトマニア (2018-08-03 10:23) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。