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もう一つ宇宙脅威のレポートが [サイバーと宇宙]

CSISレポートより少し詳しく報道されています

Space foundas.jpg11日、米シンクタンクの一つ Secure World Foundationが公開情報を基にまとめた宇宙アセットへの脅威に関するレポート「Global Counterspace Capabilities: An Open Source Assessment」を発表し、先日ご紹介した12日発表のCSISレポートと出来栄えを競っています

同じく公開情報を整理したCSISレポートと結論的には似たところがありますが、元米空軍幹部であるBrian Weeden氏らによってまとめられたレポートは、報道させるため事前にDefense-Newsへ提供した作戦が功を奏し、わかりやすく報道されています。

同Foundationレポートを紹介するDefense-News記事の印象は、米国は宇宙活動能力で中露よりも相当進んでいるが、最近の主流はジャミングやサイバー攻撃やエネルギー兵器など「non-kinetic」な方向に移りつつあり、これを抑止するのは困難だから、米国は残念ながらこれら宇宙戦軍備競争に挑むしかない・・・といった感じです

CSISレポート重なる部分もありますが、米国の能力についても触れており、より分かりやすいので追加で取り上げます

11日付C4isnet記事によれば
Secure World F.jpg●2007年に中国が行った老朽気象衛星をミサイルで破壊した実験は、デブリまき散らしで世界から非難を浴びたが、2018年の現在では、電子戦による機器麻痺、レーザーによる敵センサー機能低下、地上施設へのサイバー攻撃などの形の攻撃の可能性がより高いと考える
物理的に宇宙アセットを破壊するのではなく、「non-kinetic」に装置を無効化する手法は、安価であり、だれが攻撃したのかを探知するのが困難な手法だからである

●冷戦後以降で最も活発に対宇宙アセット兵器開発や試験が行われている状況は悪いニュースだが、少なくとも現時点では、「non-kinetic」タイプの使用に限られている。
●以下では国別に現状を紹介する

---中国
・2007年の衛生破壊実験で非難を浴びて以降も、2度目の破壊実験は行っていないが、対衛星兵器開発の鈍化は見られない
・中国は低高度軌道(LEO)衛星に対する攻撃能力は成熟しているとみられ、対衛星ミサイルの移動式発射機も数年後には運用開始されるだろう。
・一方で、中高度や静止軌道衛星に対する兵器は、まだ試験的段階にあるとみられる。

Secure World F2.jpg---ロシア
冷戦時代の技術の再構築・復活に取り組んでいるが、米国衛星の重大な脅威になるような規模や高度に影響を及ぼす十分な対衛星兵器能力は持っていないだろう。
・また開発中の兵器も、低高度軌道衛星以外の宇宙アセットを狙ったものには見えない
・しかしロシアは、ジャミングや電子戦能力に多くの投資を行っており、広範囲の地上局をカバーする通信衛星への妨害を行える能力を持つだろう

---米国
・高度な技術を持ち、低高度から静止衛星軌道までの敵システムに移動して接近ができる技術があり、対衛星兵器に転用できる技術である。またミッドコースMDシステムは、低高度軌道衛星に対しても使用可能である
・更にロシアのように、GPSなどの航法システムへの妨害を局地的に行う能力を備えている

---イランは、限定的な市販のGPS妨害能力を保有している
---北朝鮮は、限定的なGPS妨害能力を有している
---インドはその気になれば対衛星兵器保有に迅速に進むことが可能

●著者一人であるWeeden氏は、「技術拡散が進んでいる中、米国は技術の拡散防止や技術管理を考えるよりも、米国も積極的に宇宙兵器に投資した方がよいとの主張を後押しする結果である。ほかのみんながやっている。我々もやるべきだ・・・との論である」と語った

Space Fence1.jpg米国は本分野での軍拡競争を避けるため、慎重な姿勢をとってきたが、そんな配慮には関係なく、他国は2000年代に入って投資を増強している
そんな分野の一つがRPO(ランデブーと接近:Rendezvous and Proximity Operations)で、ロシアと中国が共に投資を行っている。これが情報収集用ではなく、破壊を目的としているとの証拠はないが。
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Secure World Foundationのレポート現物へは
https://swfound.org/counterspace/

先日ご紹介したCSISレポート記事と合わせてご覧ください
「報告書Space Threat Assessment 2018」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2018-04-14-3

宇宙での戦いに備え
「日本は不参加:米軍宇宙サイバー演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-10-14-1
「アジア太平洋での宇宙作戦が困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-10-1
「欧州を主戦場に大規模演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-11

「国際宇宙演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02 

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