ロシアの毒牙にセルビアが危ない [Joint・統合参謀本部]
穴場のバルカン半島が再び危ない!
8日、欧州米軍司令官で欧州連合軍司令官のCurtis Scaparrotti陸軍大将が上院軍事委員会で証言し、対露欧州正面全体でロシアが全ドメイン活用の攻勢に出ていることから、欧州戦力の近代化に継続的な努力が不可欠だと訴えました
特にロシアが非対称能力を増大させ、紛争レベルに至らないギリギリのレベルで、軍事と非軍事のフルスペクトラムで地域の不安定化キャンペーンに出ていると訴えています。
そして特にバルカン半島のセルビアへの懸念を具合的に取り上げ、我々が外交的に取り組まなければ、世界の目が離れているうちに問題が表面化すると強い懸念を表明しました
また同証言を紹介する報道は、DC訪問中のチェコ軍大将の発言を紹介しつつ、ロシアや中国が展開するサイバーを含む情報戦に適応していかないと、見えない侵略に屈してしまうと「cyber framework」の必要性等の訴えを紹介しています
8日付米空軍協会web記事によれば
●Scaparrotti司令官は、2025年までにロシアが欧州正面の全てのドメインで西側軍に挑戦してくると予想し、米軍が欧州戦力の近代化に継続的に取り組むべきだと訴えた
●そして現在もロシアが非対称能力を増大させ、紛争レベルに至らないギリギリのレベルで、軍事と非軍事のフルスペクトラムで地域の不安定化キャンペーンに出ていると説明した
●そして前年度から2000億円以上増額した「European Deterrence Initiative」2019年度予算7000億円に言及し、必要不可欠な基礎的経費(foundational funding)だと表現し、本経費とその増額がなければ任務を遂行できないと訴えた
●EDI予算の多くが、米陸軍の装備事前集積や、米空軍の欧州飛行場施設整備(対象はGermany, Norway, Slovakia、英国)に投入されており、欧州米軍の態勢整備を支えていると説明した
●7日にワシントンDCを訪問したチェコのPetr Pavel大将は、ロシアが情報戦を仕掛けており、NATOはこの状況から学んで適応しなければならず、そのために同盟として中露を含むアクターと協議して「cyber framework」を立ち上げる必要があると訴えた
●同大将は特にバルト海周辺地域の緊張を上げ、ロシアの活動を「侵略」と表現し、ロシアによる領空心配はないが緊張は増大しており、軍事プレゼンスを上げ、長距離飛行を行い、より多くの情報収集活動を行う必要があると語った
●一方でScaparrotti司令官は議会で、米国がバルカン半島に再び目を向けるべきだと警鐘を鳴らし、特にセルビアでロシアのプレゼンスが増大していると訴えた
●そして、我々が外交的に取り組まなければ、世界の目が離れているうちに問題が勝利表面化すると強い懸念を表明した
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ここ数年ランド研究所が、ロシアがバルト3国など東欧で攻勢に出ればNATO軍や欧州米軍は対処できないとの研究レポートを発表しており、その件について議員がScaparrotti司令官に質問しています。
同司令官はこれに対し、全くの誤りではないが、その分析は東欧に絞ればのことであり、地上部隊に限定すればの見方だと述べ、欧州全体で、更に海空サイバー宇宙等のドメインに拡大して考えれば、緒戦でロシアが有利かもしれないが、長期的に見ればNATO側が有利であり敵も理解しているだろうと表現しています
前職が在韓米軍司令官だった聡明なScaparrotti大将の見方ですので尊重します。でも2014年のウクライナ侵攻で「ハイブリッド戦」を見事に遂行したロシアです。その教訓をもとに更に磨きをかけた非対称戦コンセプトを練り上げていると懸念も致します
Scaparrotti大将の発言
「ロシアの情報戦に総力対処すべき」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-24
「露の脅威を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-23-1
「在韓米軍の懸念」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-16
「RQ-4よりU-2が良い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-26
8日、欧州米軍司令官で欧州連合軍司令官のCurtis Scaparrotti陸軍大将が上院軍事委員会で証言し、対露欧州正面全体でロシアが全ドメイン活用の攻勢に出ていることから、欧州戦力の近代化に継続的な努力が不可欠だと訴えました
特にロシアが非対称能力を増大させ、紛争レベルに至らないギリギリのレベルで、軍事と非軍事のフルスペクトラムで地域の不安定化キャンペーンに出ていると訴えています。
そして特にバルカン半島のセルビアへの懸念を具合的に取り上げ、我々が外交的に取り組まなければ、世界の目が離れているうちに問題が表面化すると強い懸念を表明しました
また同証言を紹介する報道は、DC訪問中のチェコ軍大将の発言を紹介しつつ、ロシアや中国が展開するサイバーを含む情報戦に適応していかないと、見えない侵略に屈してしまうと「cyber framework」の必要性等の訴えを紹介しています
8日付米空軍協会web記事によれば
●Scaparrotti司令官は、2025年までにロシアが欧州正面の全てのドメインで西側軍に挑戦してくると予想し、米軍が欧州戦力の近代化に継続的に取り組むべきだと訴えた
●そして現在もロシアが非対称能力を増大させ、紛争レベルに至らないギリギリのレベルで、軍事と非軍事のフルスペクトラムで地域の不安定化キャンペーンに出ていると説明した
●そして前年度から2000億円以上増額した「European Deterrence Initiative」2019年度予算7000億円に言及し、必要不可欠な基礎的経費(foundational funding)だと表現し、本経費とその増額がなければ任務を遂行できないと訴えた
●EDI予算の多くが、米陸軍の装備事前集積や、米空軍の欧州飛行場施設整備(対象はGermany, Norway, Slovakia、英国)に投入されており、欧州米軍の態勢整備を支えていると説明した
●7日にワシントンDCを訪問したチェコのPetr Pavel大将は、ロシアが情報戦を仕掛けており、NATOはこの状況から学んで適応しなければならず、そのために同盟として中露を含むアクターと協議して「cyber framework」を立ち上げる必要があると訴えた
●同大将は特にバルト海周辺地域の緊張を上げ、ロシアの活動を「侵略」と表現し、ロシアによる領空心配はないが緊張は増大しており、軍事プレゼンスを上げ、長距離飛行を行い、より多くの情報収集活動を行う必要があると語った
●一方でScaparrotti司令官は議会で、米国がバルカン半島に再び目を向けるべきだと警鐘を鳴らし、特にセルビアでロシアのプレゼンスが増大していると訴えた
●そして、我々が外交的に取り組まなければ、世界の目が離れているうちに問題が勝利表面化すると強い懸念を表明した
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ここ数年ランド研究所が、ロシアがバルト3国など東欧で攻勢に出ればNATO軍や欧州米軍は対処できないとの研究レポートを発表しており、その件について議員がScaparrotti司令官に質問しています。
同司令官はこれに対し、全くの誤りではないが、その分析は東欧に絞ればのことであり、地上部隊に限定すればの見方だと述べ、欧州全体で、更に海空サイバー宇宙等のドメインに拡大して考えれば、緒戦でロシアが有利かもしれないが、長期的に見ればNATO側が有利であり敵も理解しているだろうと表現しています
前職が在韓米軍司令官だった聡明なScaparrotti大将の見方ですので尊重します。でも2014年のウクライナ侵攻で「ハイブリッド戦」を見事に遂行したロシアです。その教訓をもとに更に磨きをかけた非対称戦コンセプトを練り上げていると懸念も致します
Scaparrotti大将の発言
「ロシアの情報戦に総力対処すべき」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-24
「露の脅威を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-23-1
「在韓米軍の懸念」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-16
「RQ-4よりU-2が良い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-26
2018-03-15 05:00
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