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米国:再び米国人を月へ、そして火星へ [サイバーと宇宙]

混迷のトランプ政権に夢のある話題を提供できるか?
副大統領リードで国家宇宙評議会スタート
「再び米国人を月へ、そして火星やその先へ!」

National Space C.jpg5日、今年7月にトランプ大統領が再立ち上げした国家宇宙評議会(National Space Council)の第一回会議が、スミソニアン航空宇宙博物館内で開催され、リーダーを務めるペンス副大統領が「米国が再び宇宙をリードする」「再び米国人を月へ、そして火星やその先へ」とぶち上げ、明るい話題の無いトランプ政権に夢のある話題を提供しようとの姿勢を見せました

また第一回目の評議会に招かれた専門家から、「SSA(宇宙状況把握)を高めるための方策」提言や、「宇宙への戦力投射能力(つまり攻撃能力)保有の必要性」を訴える提言がなされています

この厳しい予算の世界、つまりメキシコとの壁建設の予算が1割しか確保されていなかったり、大規模減税を発表も財源があいまいな状況下で、どのようにこの評議会の議論が集約され実現するのか不透明ですが、初代評議会(1989-93年 初代ブッシュ大統領が設置も、NASA長官と他メンバーの対立で廃止)のようなことがないことを祈ります

ペンス副大統領はリーダーとして
国防長官、国務長官、国土安全保障省、商務長官、国家情報局長(DNI)、NASA長官、そして統合参謀本部議長等で構成される同評議会では、副大統領のリードの元、民間・商用・安全保障ニーズにまたがる宇宙関連緊急ニーズについて議論され、トランプ政権が宇宙にコミットしていることを内外に確信させることを狙っている

National Space C4.jpg●ペンス副大統領は危機感を訴え、「米国は21世紀を、宇宙に関する一貫した政策やビジョンを持たないまま迎えている」、「米国がリーダーシップを発揮しない状況の中、国境のない宇宙で、他国がかれらの主張や利害を押し通そうとしている」と語った
●更に副大統領は、「米国の敵対国が、どん欲に妨害やハッキング等の技術開発に取り組み、我の監視・航法・通信能力を無効化しようとしている」と訴えた

●そして副大統領は、トランプ政権が「米国人宇宙飛行士を再び月に送って基礎固めをし、その後火星やそれ以外の星にも送り込むために取り組む」と発言した
●またペンス氏は、米国人宇宙飛行士1名を国際宇宙ステーションに送り込むため、現在ロシアに約80億円も支払っている現状を嘆き、米国自身でそれができる体制を確立する必要があると語った
●今年2月、NASAはロシア側と、2017年と18年に少なくとも2~5名の宇宙飛行士を送り込む合意をしたが、その費用約400億円から換算すると一人約80億円の計算になる

専門家が評議会に提言
National Space C3.jpg●パネル討議に参加した専門家たちは、一様に米国のSSA(宇宙状況把握)能力を高める必要性を訴え、元DARPA研究員だった専門家Pamela Melroy女史は、「何時間も何日も軌道変更もしない、あまりにも素晴らしすぎる少数で多機能高性能な衛星に頼る現状」と「そんな衛星への脅威を脅威を無視できない」を指摘した
●前NASA長官のMichael Griffin氏も、「そんなに豪華でない、一方でタイムリーで包括的で継続的な状況把握が可能な仕組みが求められている」と訴えた

●Melroy女史は、「より多くのセンサーを保有し、より頻繁に情報をアップデートする必要がある」、「その際、個々のセンサーはそれほど高価で精密である必要は必ずしもない」と語り、頻繁に情報を更新することで精密さが不足しても状況把握には十分間に合うと説明した
●また、国防省はこのような体制を、官民協力体制で安価に構築することが可能だと述べ、急速に普及する商用宇宙センサーも活用することで、国防省のニーズに対応することが可能だと語った

●一方でGriffin氏は状況把握だけでは不十分だと述べ、同時に「宇宙への戦力投射能力(つまり攻撃能力)保有」に取り組む必要があると主張し、「相手が我々にそうする可能性がある中で、我も相手のアセットにリスクを示せなければならない」と語った
●ただ、攻撃能力を保有したからと言って、それを使用することとは別であり、米国の戦略上、抑止力を強化することが必要だと述べ、最も重要なのは「米国が強いと思わせることで、だれも手を出せなくすること」だと語った
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National Space C2.jpgSSAの重要性や宇宙への戦力投射能力については、これまでも専門家や米軍幹部などから訴えられてきたことですが、副大統領が「再び月へ、そして火星やその先へ」との発言まで絡めて宇宙の重要性を訴えるのは大きな動きです

まぁ・・・トランプ政権の打ち出した政策で、実現したことがあるのか?心もとないところではありますが、国家レベルで宇宙の重要性が認識され、世界に日本に発信される影響を考えて「良し」としておきましょう・・・

トランプ大統領が国家宇宙評議会を設置
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-08

宇宙軍創設をめぐるゴタゴタ
「宇宙軍独立法案が下院で承認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-14-1
「下院が宇宙軍独立案を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-22-1
「米空軍はA-11設置で対処」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-06-18

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