宇宙配備のミサイル防衛センサー整備が急務 [Joint・統合参謀本部]

折しも、北朝鮮がICBM実験を繰り返す中での発言であり、発言の前後関係がよくわからず、この宇宙配備センサーと北朝鮮問題が関連するのかも知識不足で分からないのですが、司令官自身が若かりし頃から関与した「30年前から指摘されている課題」だそうなので、ご紹介しておきます
懐かしの「スターウォーズ構想」とも呼ばれた、1980年代の「SDI(Strategic Defense Initiative)」にさかのぼる課題が、今蘇る・・・との悪夢です
27日付米空軍協会web記事によれば

●そして「完全なセンサー覆域を確立できるような地上配備のセンサーを設置するためには、地球全体にセンサー立地場所を確保する必要があるが、それは不可能であり、そのため宇宙配備センサーで米国のミサイル追尾能力を拡大しなければならない」と説明した
●また、宇宙配備センサーの開発は、1980年代のSDI構想時代の30年前にさかのぼる課題であると同司令官は説明し、弾道ミサイルのミッドコース追尾システムの要求性能について、自身がSDI計画の主任技師として1989年に取り組んだ経験から語った
●そして当時すでに、ミッドコースをカバーするには宇宙配備センサーしかないと、米国防省は理解していたとHyten大将は振り返った

●そして問題は、宇宙配備のセンサー衛星に、多様な要求を詰め込みすぎて、極めて高価格のシステムにしてしまった事であると説明した
●例えば、「より広範なミサイル警報要求」や「戦術情報収集能力の要求」などを同時に詰め込むことで、あまりにも高価なシステムにしてしまったのだと嘆いた
●そして、もし国防省が予算的に可能な範囲で効率的に事業を進めるため、多様な各種要求をコントロールしていたら・・・と考えると残念だとも同司令官は語った
インターセプター能力の向上が次に

●「脅威は日々進化し続けている」ので、米国は脅威の進歩に追随しなければならないと訴えた
●要撃兵器の将来の配備場所や数量は政策的な判断であり、年末までかけて現在トランプ政権で行っている「ミサイル防衛見直し:BMDR」の結果を受けて検討されると説明した
●なお同司令官は4月4日の上院軍事委員会でも、今後行われるBMDRにおいて、ミサイル防衛庁からの勧告を受けつつ、より信頼できる要撃兵器が、宇宙配備の重層的なセンサー等を備えた将来能力向上が盛り込まれることをを望むと証言している
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弾道ミサイルの飛翔は3つの段階、つまり、打ち上げ段階(ブーストフェーズ)、中間飛翔段階(ミッドコースフェーズ)、そして最終段階(ターミナルフェーズ)に区分されますが、特に米国本土に大海を渡って脅威となるようなICBMでは、中間飛翔段階(ミッドコースフェーズ)での把握や脅威判定が重要なのでしょう

これに挑むのが、GMD(Ground-based Midcourse Defense:地上配備型ミッドコース防衛)構想の下、米国が本土配備を開始している迎撃ミサイル「GBI」です。
北朝鮮のICBM実験を受け、2014年6月以降3年ぶりに、思い出したかのように今年5月末に迎撃実験を行ったのがこれです。
なお、このGMDに関しては、「海国防衛ジャーナル」の5月31日付記事が、包括的に解説しており大変勉強になります
初のICBM迎撃実験に成功:米本土ミサイル防衛(GMD)とは
→http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50788602.html
2017-08-04 05:14
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