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マティス長官:北朝鮮ICBMも米国の姿勢に変化無し [マティス長官]

North Korea2.jpg6日、マティス国防長官が急遽記者会見を開き、北朝鮮が4日に実施したICBM発射試験に関連し、米国の姿勢に変化はないと語りました。

米軍は対ISISやアフガン対処だけで軍事力をフル稼働しており、加えて欧州方面で活発化するロシア軍への対抗措置として頻繁に部隊のローテーション派遣や演習を行うなど、限られた予算の中で四苦八苦の綱渡りが続いています

またトランプ政権は、ロシアンゲート問題関連で勢力を裂かれ、政権内部の足並みの乱れも指摘されています。また国務省や国防省の主要政治任用ポストも未定が多く、各分野での具体的な政策展開に着手できていない「スカスカ状態」が続いています。

North Korea.jpg更に韓国は、政経中枢であり人口密集地域(約2000万人)でもある首都ソウルやその近郊地域が北朝鮮との停戦ラインにほど近く、北朝鮮軍火力の射程圏内にあるなど、極めて有事に弱い地理的特性をもており、マティス長官も朝鮮半島有事に勝利する事は確実だが、その被害は甚大なものになるだろうと軍事オプションが現実的なモノではない事を示唆しています

要するに、北朝鮮に対して外科手術的なオプションは極めて選択困難で、時既に遅しとの見方が識者の共通認識になりつつあるように感じます。
まぁでも、水面下では様々な動きがあるのでしょうし、様々なプレーヤーの思惑でどちらに転ぶか不透明には違いありませんから、とりあえず事実関係として、国防長官の発言を記録しておきます

おまけで拓殖大学の川上高司・海外事情研究所所長が、「米国が北朝鮮の核保有を認める可能性が高まっている」との論考を発表していますので、ご紹介しておきます

6日のマティス長官発言
North Korea3.jpg●北朝鮮のICBM発射は、米国と北朝鮮の間の戦争の可能性を高めたわけではなく、当該地域での核戦争を避けるための外向的努力に米国は引き続き注力していく
●本件に関する米国のスタンスは変わりなく、地域の同盟国である日本や韓国と協調しながら、軍事態勢も併せて維持する。

これが挑発的な行動の中にあっても戦争を防止してきた、我が国の自制(self-restraint)である。我々の自制が続く限り、ご説明した外向的な努力が引き続き続けられる
●米国は前述の同盟国や中国と協力している。しかし北朝鮮が戦争を始めようとするなら、甚大な結果を招くことを承知すべきだろう

川上高司所長の「核保有容認の恐れ高まる」との見方
(6日付日経新聞朝刊9面)
Kawakam2i.jpg●米国が北朝鮮の核兵器保有を認める可能性は高まっている。次の焦点は6回目の核実験で、中国を刺激しないように共産党大会後に実施する可能性が高い。
ICBMに加え、核実験まで試みられれば、米国の軍事行動のレッドラインはなくなってしまう。米国は先制攻撃の機を逃した。4月に空母2隻を派遣した際、可能性は高まったが、トランプ政権は中国の圧力に期待して行動を見送り、ここで北朝鮮に足元を見られてしまった

●今、先制攻撃するのは難しい。北のICBM保有で米本土が反撃される可能性が高まった。ロシアンゲート等の問題で政権がごたつく中、大統領が大きな犠牲を払ってまで踏み切るとは考えにくい
最終的に好ましくないシナリオが浮上しそうだ。米政権が北の核兵器保有を認め、対話に動くケースだ。朝鮮半島(韓国が?)が統一に向けた南北対話に動き出す。

●金正恩体制の維持は中国にとっても望ましい
日本にとっては、国際社会が公認する核保有国が隣に生まれるという最悪の結果になる恐れがある
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槍ヶ岳と高山植物.jpgだいぶ省略しながらも整理していくと、川上所長の見方もさもありなん・・・と思えてきます。さすがに「統一に向けた南北対話」が実を結ぶとは思えませんが、今の韓国大統領はそんなアピールを始めるのでしょう・・・

そんなことすれば、第2、第3の北朝鮮が出現し、国際社会にとって由々しき事態だと日本は訴えるのでしょうが、決められない日本は米国からも足元を見られ、米国が売りたい兵器だけ押しつけられるのかも知れません・・・

朝鮮半島関連の記事
「韓国大統領の母親は米軍のお陰で脱出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-07-06
「韓国の混乱を大東亜戦争後の哀史に学ぶ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-25
「ルトワックの日韓関係分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-17

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