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B-2によるリビアISIS爆撃を振り返る [米空軍]

B-2 Libia.jpg7月号の米空軍協会機関誌が「The B-2 Body Blow」との記事を掲載し、今年1月19日に実施された2機のB-2爆撃機によるリビアISISキャンプ攻撃の模様を紹介しています。

オバマ大統領が執務最終日に承認して遂行された作戦は、カーター前国防長官にとっても最終日だった勤務日の作戦で、また2011年以来初のB-2実戦投入作戦でした。

B-2Whiteman.jpg米空軍応援雑誌であるこの雑誌の特性からして、成功物語を語る構成ですが、命令から離陸まで96時間の準備時間、13機のモノ空中給油支援、目標まで16時間のフライト、5機の地上準備で3機の離陸等々、B-2爆撃機の遠距離爆撃作戦の雰囲気が伝わる記事ですので取り上げたいと思います

なお、2011年のB-2爆撃はリビアのカダフィー体制をぶっ壊した「Operation Odyssey Dawn」作戦初日への出撃で、結果として力の空白となったリビアにISISが入り込み、その掃討を目的とした2016年8月1日から12月19日までの「Operation Odyssey Lightning」作戦から話は始まります

「Operation Odyssey Lightning」作戦
●2016年8月1日から12月19日までの同作戦は、海兵隊強襲揚陸艦USS Waspから発信するハリアー攻撃機と、海兵隊のAH-1コブラ攻撃ヘリ、そして米空軍MQ-9無人攻撃偵察機で遂行された ●合計495回の空爆を行い、その6割がMQ-9によるモノで、米本土のネバダ州クリーク基地やテネシー州から管制された

B-2takeoff.jpg無人機の操作クルーは、地上に派遣された特殊部隊員と直接連携を執りつつ民間人への被害防止に努め、MQ-9攻撃の7割は支援するリビア政府軍GNAの至近距離に行われ、中には30m程度の近接支援もあった
●無人機部隊指揮官によれば、付随的被害を防止するため、MQ-9操作員は建物の特定の窓を攻撃するように指示されることが頻繁にあったと語っている

●これらの攻撃により、リビア沿岸部の都市Sirteを拠点としていたISIS戦闘員が町から逃げ出し、南部の砂漠にテント村を形成して訓練キャンプを再開した。
●米国情報機関は継続してテント村を偵察していたが、分析の結果、欧州を含むリビア外でのテロ攻撃等を計画していることが判明した

B-2爆撃機の作戦に向けて
B-2restart.jpg●2017年1月中旬、モンタナ州Whiteman空軍基地に所属するB-2爆撃機部隊と輸送コマンドの空中給油部隊は緊急出撃態勢に置かれた。96時間の準備時間での出撃を命令されたのだ
●作戦後の2月、米空軍参謀総長は「与えられた任務に最適な兵器を選択した」と語り、砂漠のテント目標だったが、必要な航続距離、搭載量、奇襲性等を考慮し、B-2爆撃機が最適と判断したと語っている

B-2爆撃機部隊は5機を準備し、400発の爆弾を搭載した。搭乗員のリーダーには「Weapons School」を卒業した大尉が選ばれた
●空軍輸送コマンドは空中給油機KC-10やKC-135を米国内や欧州から準備する事に取りかかり、経路上の北米コマンド、欧州コマンド、そして中央軍との連携を開始した

1月18日、オバマ大統領が実質的な執務最終日に最終的な作戦承認を与えた後、Whiteman空軍基地を3機のB-2が離陸した
3機のB-2のうち、1機の予備機は最終段階を前に引き返し、複数の無人偵察機MQ-9が目標状況を最後まで確認している中を、B-2爆撃機が合計85発の兵器を投下した

B-2dual07.jpg訓練キャンプは完全に破壊され、100名以上のISIS戦闘員が殺害された。カーター国防長官は「我が同盟国の欧州に向けテロ活動を準備していたISIS戦闘員が目標となった」「ISISは、シリアやイラクだけで無く、世界のどこにいても隠れることは出来ない」と作戦成功を発表した
今年3月末時点で、米アフリカ軍の分析によれば、約100~200名のISIS戦闘員がまだリビアに存在している。米軍の航空機は引き続き監視を続け、情報分析を行っている
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96時間の準備で作戦を遂行できる爆撃機部隊と空中給油部隊は素晴らしいですが、最終的に2機を目標上空に到達させるため5機を地上で準備する稼働率問題や、「大成功」の空爆作戦の後でも、まだまだISISが200名も残存している現状は見過ごせません

本作戦以外のB-2投入は以下の過去4回ですが、もっと使えば良いのに・・・と思うのは素人だからでしょうか?
*March 1999, Operation Allied Force against Serbia;
*September 2001, in the first strikes of Operation Enduring Freedom in Afghanistan;
*March 2003, at the start of Operation Iraqi Freedom; and
*March 2011, Operation Odyssey Dawn in Libya to topple the regime of Gadhafi.

1月のB-2作戦記事
「B-2爆撃機がリビアで対IS爆撃」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-01-20

B-2爆撃機関連
「B-2の稼働率」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-05
「2058年まで運用予定」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-05
「B-2の20周年記念」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-28

「爆撃機による外交」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-04
「グアムに大型B全機種勢揃い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-12
「B-2がCBPでグアム展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-18
「CBP受入の常設部隊設置へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-13-1

「映像5つの視点B-2爆撃機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-01
「鮮明な飛行映像」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-27-1

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