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F-35計画の新リーダーと米空軍F-35調達の将来 [亡国のF-35]

Winter Bodgan.jpg25日、国防省F-35計画室長にMathias W. Winter海軍中将が就任し、約5年間にわたり同室長を務めてきたBogdan空軍中将が6月の退役に向け退任しました。

本日はWinter海軍中将の就任あいさつをご紹介しつつ、併せて3月に米空軍戦闘コマンドを最後に退役したカーライル氏が、退役直前の2月に行っていたインタビューでの米空軍F-35計画へのコメントを紹介します

Winter新室長は、決して前任者のように「ロッキード社との関係は、私の知る限り史上最悪」などと問題発言はせず、淡々と今後の仕事を概観する内容ですのでご安心を。
一方でカーライル司令官(インタビュー当時)は、米空軍が一貫して固執しているF-35調達機数1763機がいかにグラグラなもので、自縄自縛になっているかを強く示唆しています。

Winter新室長の就任あいさつとご経歴
Winter.jpg●F-35計画は単なる装備品計画ではなく、前線兵士を支える共通の目的に向かって集った、広範な利害関係者によって構成された真に世界規模の取り組みである。
●前線の兵士、利害関係者、我が計画室のメンバーは、継続的にタイムリーな意思疎通を図り、健全で透明性のある意思決定を行い、歯切れよく経費面で適切な事業遂行を通じて役割を果たしていく役割を担っている

●この大きな役割を果たすため、私は、成長していくF-35戦力を支えるため、今後進んでいく開発フェーズやフル生産体制整備、更に世界的な維持整備体制を拡大して整えていくことに焦点を当てて勤務する所存である

WinterF-35室長はどんな人?
1984年ノートルダム大学卒業で海軍に入り、空母艦載攻撃機A-6E Intruderの爆撃手・航法員として空母サラトガ、アメリカ、アイゼンハワー、ワシントンで乗艦勤務
Winter3.jpg●装備品開発や調達業務経験は、「Joint Standoff Weapon System」計画責任者補佐、F-35計画上級補佐官、F-35飛行推進主任エンジニア、トマホーク全面改修計画責任者補佐、戦術航空機計画担当幹部のスタッフチーフ、「Precision Strike Weapons」計画責任者などを経験

●将軍になってからは、「Naval Air Warfare Center」の兵器部門司令官、「Naval Air Systems Command」試験評価司令官補佐、「無人航空攻撃機」計画責任者、等を経て、2016年12月に副室長に就任するまでは米海軍の開発部門のトップであるCNR(chief of Naval Research)

一方で柱となる米空軍の見通しは不透明
(カーライル大将の発言:退任直前の2月)
Carlisle-FB.jpg●ここ数年、議会からは繰り返し、これだけ遅延して取得ペースが上がらないF-35の取得計画を見直すべきと指摘されている。確かに、米海軍や海兵隊が調達機数を削減する中、米空軍は一貫して1763機に固執している
●現計画では、F-35計画がスタートして半世紀が過ぎる2040年代まで、米空軍はF-35を調達し続けることになる。現在の調達ペースで、1763機にこだわる意味があるかと問われれても、わからない。しかし敵の脅威が想定以上に急速に伸びていることを考えれば、調達ペースを上げなければならない

●敵の急速な能力向上は、F-22やF-35の後継であるPCA(Penetrating Counterair)の需要を高める。F-35を1000機や1500機調達した時点で、資源をPCAに投入すべきかとと言われれば、恐らくそうだろうし、F-35の能力向上型に投資するのかもしれない
●来年にはソフト3Fが提供され、更なる改良である「Block 4」等に、すでに米軍や共同開発国が取り組み始めており、より多くの兵器や連接性や高度な電子戦能力の追加が期待されているからである

Carlisle-FB3.jpg●これらに加え、新たな技術の取り込みも米空軍は追及している。例えば、より小型で射程や破壊力の大きなAIM-120後継ミサイルを開発することで、第5世代機内部により多くの兵器を搭載することに取り組んでいる。
●また敵防空システムが強力になる中で、JDAMのステルス性や機動性を向上させた後継兵器も追及していかなければならない。更に、戦闘機を敵防空域深くまでエスコートする新たな電子戦プラットフォームPEA(Penentrating Electronic Attack)も必要

●遠方から迅速に攻撃できる兵器である超超音速兵器(Hypersonics)は、大きな可能性を秘めており、我々は引き続き取り組んでいる。しかし米空軍戦闘コマンドは現時点でそれほど期待していない
この兵器の大きな課題は、兵器先端に発生する大気との摩擦熱で、搭載センサーの働きに大きな障害をもたらすことである。
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カーライル退役大将は、若き頃、ロシア製(ソ連製)のMIgシリーズやSUシリーズに搭乗して弱点を把握し、米空軍パイロットに伝授する仕事をやっていたくらいの戦闘機乗りですから、戦闘機であるF-35への思い入れ大きいでしょうが、その彼をしてF-35調達数には全く自信がないようです

X51A3.jpgWinter新室長は「健全で透明性のある意思決定を行い、歯切れよく経費面で適切な事業遂行」を誓っていますが、それなら関係国との「継続的でタイムリーな意思疎通」で、早く追加経費や米軍の調達計画を透明性高く知らせていただきたいものです。

全く別の話題である超超音速兵器ですが、先端の高温化とセンサーの搭載が課題であることをTake noteしておきましょう

Winter新F-35計画室長の紹介
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-29-1

Winter次期F-35室長の公式経歴 http://www.navy.mil/navydata/bios/navybio.asp?bioID=578  

PCAとPEA関連
「PCAよりPEAを先に導入へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-27
「20年ぶりエスコート電子戦機?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-20

超超音速技術やPGC関連の記事
「艦艇配備の超超音速兵器を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-04
「超超音速ミサイルの脅威が大きな話題に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-19
「中国が優位なのか?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-14
「ロシアも取り組み表明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-09-11

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