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イスラエルが米国の変化を歓迎&シリアが兵器分散 [マティス長官]

Israel PM.JPG21日、マティス国防長官がイスラエルを訪問し、ネタニアフ首相やリーバーマン国防相と会談した後の記者会見でシリアへの巡航ミサイル後の情勢について語り、シリアはさらなる攻撃を恐れて軍用機を分散し、2014年の全化学兵器破棄の合意に違反し、化学兵器も引き続き保持していると語りました

なお、極右政党の党首で連立政権のためイスラエル国防相になっているリーバーマン氏は、具体的なシリアの保有化学兵器量にも言及して危機感を訴えています。
また、マティス国防長官の表敬を受ける前にネタニアフ首相は、米国によるシリア巡航ミサイル攻撃を「率直でまっすぐな行動」と高く評価し、米国政策の変化を高く評価しました

トルコ大統領の権限強化がサプライズ承認された事と無理やり結び付ける訳ではありませんが、様々に中東に変化をもたらしている巡航ミサイル攻撃後の様子をご紹介します

その前にシリア化学兵器関連の経緯
2013年8月、ダマスカス郊外のシリア反政府支配地域が化学兵器攻撃を受け、オバマ大統領が言及していたレッドラインを超えたが米国は何もできず、ロシアの仲介ですべての化学兵器を破棄することで合意

●2014年、国際組織の監視の下、アサド政権が開示した化学兵器1300トンの破棄または国外に運び出された処分された・・・ことになっていた。しかし処分完了後も、すべての化学兵器や製造装置の破棄には疑問の声が上がっていた
●また、ISISや他の過激派組織が化学兵器を入手しているとの証拠も出始めていた

21日付Military.com記事によれば
Israel DM.JPG●イスラエル国防相と共に会見に臨んだマティス長官は、シリアへの巡航ミサイル攻撃後の最近、再び米軍から攻撃されることを恐れ、シリア空軍が保有作戦航空機を分散配備していると語った
●また同長官は、「国際社会は、シリアがすべて破棄したと宣言しながら、合意に違反し、化学兵器をいまだに保有していると考えている」と述べ、「シリアは権力者の指示を受けそうしており、国連決議に違反していることから外交ステージで議論されるが、巡航ミサイル攻撃で我々の姿勢を示したように、再び使用することは許されない」と表現した

●今週に入りイスラエル国防関係高官が、シリアは3トンほど化学兵器を保有していると述べ、世界で初めて具体的な保有量に関するインテリジェンス情報を提供した
●同会見でイスラエル国防相は本件に言及することを拒んだが、「我々はアサド政権が化学兵器を反政府組織に使用したとの100%の情報を保有している」と述べた

●なお、アサド政権は反政府組織支配地域への化学兵器使用を否定し、アサド政権を支援するロシアは、シリア政府軍の攻撃が反政府組織の化学兵器貯蔵庫に命中し、被害が発生したと主張している


マティス長官はイランに関し
Israel salute.jpgイランと主要国との核合意(JCPOA:Joint Comprehensive Plan of Action)の現状について同長官は、米国務省による最近の検証では「依然として機能しており」「イラン側の義務を果たしているように見える」と表現した
●一方でマティス長官は、核合意を順守していることが、イランが他の分野で多くの問題を引き起こしていることの言い訳にはならないと釘を刺し、イランによるテロ組織支援、近親勢力を通じた中東での紛争介入、シリアのアサド政権への肩入れ等を問題視した

●また米国は核合意を「継続的に機能するよう望む署名者だ」と述べる一方で、核合意と、イランが中東で引き起こしている「混乱、殺戮、破壊行為」は区別して扱われるべきとの考えを示した
●なおマティス長官の発言は、記者会見で先にイスラエル国防相が「イランに対しより強い圧力と制裁を望む」と述べた後に行われたものである。なおイスラエル国防相は「米国の政策に意見する立場にはない」と発言しつつも、巡航ミサイルによる攻撃を「イランに対する明確で強いメッセージ」と表現し「大変満足している」と語った
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現在のイスラエルが米国の姿勢を高く評価することが、中東地域の安定に寄与するのか「ビミョー」または「?」ですが、ネタニアフ首相は大喜びなのでしょう。

Israel.jpgしかし、オバマ政権時に米国が幻の「レッドライン」で事態を曖昧にし、ロシア主導で「シリア化学兵器」をなんちゃって全廃したことが、わずか3年後にしっかり跳ね返ってくるあたりが、サイクルが早い・展開が早い現在の世界情勢を象徴しています。

しかし・・・少なくともオバマ政権時とは対応が違うようですが、トランプ政権内で変化があったかと言えば、基準がなかったから変化とか語れない・・・が適切な表現のように思います

シリア攻撃関連記事
「シリア巡航ミサイル攻撃の裏側」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-08
「続編:同攻撃の裏側」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-04-11

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