SSブログ

トランプ政権下で米軍の現場裁量拡大中 [Joint・統合参謀本部]

中東での米軍の権限拡大や、なし崩し増派を懸念する声

trump6.jpg2日付Military.comがAP通信記者の投稿を掲載し、トランプ大統領誕生後の約2ヶ月間で、トランプ大統領の対テロ重視や対テロ作戦強化の指示のもと、国防省や米軍前線指揮官の作戦裁量の範囲が日々拡大し、派遣兵力も公式な上限を超えて一時的との名目でどんどん増強されていると警戒感を強めています

オバマ政権時は、ホワイトハウスによる「マイクロマネイジメント」が国防長官や米軍幹部からしばしば非難を浴びてきましたが、逆に現場裁量の拡大は、民間人への被害の拡大や兵士の犠牲を増やすことにつながりかねず、既にその兆候が現れていると記事は指摘しています

軍事作戦への政治レベルの関与度合いは永遠の課題でしょうが、トランプ政権が未だクリントン支持派やマスコミ等々とゴタゴタしながら、政権の体制固めの段階にある中、なし崩し的に作戦が拡大するのは危険だとの声にも一理あるので、記事概要をご紹介しておきます

2日付Military.com記事によれば
ISIS Ope2.jpg●中東やアフリカでの対テロ作戦において、トランプ政権誕生後は日を追う毎に、国防省はあまり公になる事がないままに、作戦意志決定の裁量を拡大し、派遣兵力も増加しており、その対象国も拡大している
今週、トランプ大統領はソマリアで対アルカイダ航空攻撃に関し、より大きな権限を米軍に与えることを許可した。そしてこの動きは、現場米軍指揮官からの要請を受け、来週イエメンにも拡大し、イエメンで作戦で正面に立つUAE支援が強化されるだろう

●この様な変化は、国防省に日々の作戦運用は任せるとの新大統領の意図の表れであり、オバマ政権時とは大きく異なっている。しかし権限委任の拡大は、軍事的にも政治的にもリスクをはらんでおり、民間人や軍人の被害増加が懸念の一番大きいものだ
イラクで行われている市街戦やイエメンでの特殊作戦への関与強化は、米軍兵士の被害拡大のリスクと伴い、作戦判断を迅速化するための権限委任は、モスルの人口密集地帯に過激派が入り込む中、民間人犠牲者の拡大につながり危険を秘めている

ISIS Ope3.jpg●CSISのAlice Hunt Friend上級研究員は、「既に政治指導者は軍事作戦を制御できなくなっている」と危機感を訴え、「軍事作戦が外交政策と分離し始めている」と語って警告を発している
●一方で、米軍指揮官達は迅速な作戦判断の重要性を訴え、イスラム過激派掃討を重視し、オバマ政権の細部介入に批判的な大統領も強くその方向を支持している

米アフリカ軍のWaldhauser司令官はソマリアでの柔軟で迅速な意志決定プロセスの必要性を3月に議会で訴えたが、3月29日に大統領がそれを許可した
●その他の地域でも、例えばシリアでは米軍兵士の数は2倍に増えており、より前線で活動する米軍人が増えている。アフガニスタンでも同様の傾向にある。匿名の政府高官は、今週、イエメンで作戦するUAE支援を議論する非公開会議が開催されると述べている

オバマ政権時の派遣兵力上限は公式には変更されていない。シリアには503名で、イラクには5262名である。しかし米軍は「一時的な派遣:temporary」との位置づけで「上限」を無視しており、数百人単位で目立たないようにシリア政府軍支援の海兵隊員等が最近派遣された
●3月31日に国防省は、在イラク米軍は5262名だと公式に明らかにしたが、関連高官は実質的には更に数千名が派遣されていると認めている

ISIS Ope.jpg●トランプ政権は未だ立ち上がり初期段階にあり、複雑な軍事作戦を遂行しつつ、税制改革や健康保険法の扱い等々の困難な課題をやっかいな議会と折衝しているが、軍事作戦のみが政権の独自色を出せる分野との見方が専門家の間にはある
●国防省や米軍関係者は、イラク軍によるモスル奪還がもう少しで、ラッカにも米国支援の兵力が迫っており、今がISISへの圧力を強める時だと考えており、より多くの米軍アドバイザーを戦場近くに派遣したいと考えている
////////////////////////////////////////////////////////

オバマ政権時代に政治の現場介入に苦しめられてきた現場軍人にとっては、待ちに待った「権限拡大」でしょうから、その効果に期待したいモノです。でも・・・

Trump tel.jpgこの記事のスタンスや執筆記者の考え方が影響しているのかも知れませんが、危険な臭いがプンプンですねぇ・・・。政治に文句言っている段階と、予想していなかったトランプが大統領になり、いつの間にか口に出したことが認められるようになって・・・。口に出したことを引っ込められずに突っ走って・・・ああ恐ろしあ。誰かがしっかり見ていないと・・・。

マティス長官やダンフォード統合参謀本部議長の采配に期待致しましょう。

トランプ政権の国防指針は???
「対ロシアの情報戦に国家として」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-24
「戦略軍が21世紀の抑止議論を要求」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-11
「リバランスは終了:それで?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-15
「政治任用で決定は長官一人のみ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-13

nice!(5)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 5

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0