対ロシアの情報戦に国家として取り組むべき [Joint・統合参謀本部]
トランプ政権の対露姿勢が不透明な中、米軍司令官が対露強硬姿勢を要求!
23日、上院軍事員会で証言した欧州軍司令官兼ねてNATO軍司令官のCurtis Scaparrotti陸軍大将は、ロシアがメディアを総動員して巧妙に行っている情報戦に対抗するため、冷戦時代にそうであったように米政府全体で情報戦に取り組むべきだと訴えました
また、攻撃的な性格を強めるロシア目的と振る舞いを分析しつつ、ロシアを軍事的に抑止するため、欧州派遣の兵力増強によるプレゼンスの強化や「more aggressive confrontation」や制裁継続を求めました。
そして更に、トランプ政権が国防費増加の反面で打ち出した、国務省の海外援助予算削減は好ましくないとの意見も明確に述べています。
雰囲気的には、上院軍事委員会メンバーと「あうんの呼吸」で上記発言を誘導された(誘導に快く乗った)感が漂っており、大統領に意見具申をいたします的な証言となっており、各地域担当コマンド司令官からも同様の意見が続きそうなので、ご紹介しておきます
国家的な対ロシア情報戦を!
●ロシアによる組織的で巧妙・周到に練られた情報攪乱・情報操作作戦(disinformation operations)に対処するため、米国とNATO同盟国は、「全政府機関を巻き込んだ包括的で国家的な情報戦(information campaign)」を行う必要がある
●我々は冷戦時代にその様な作戦を行っていたし、現在国務省と欧州コマンドが協力して組織している「対露情報グループ:Russian Information Group」をスタート台に発展させて行くことも考えられる
●一方で、ロシアが情報戦を戦いの一部として位置付け、SNSやTVやサイバー手法を用いて巧妙に連携した情報戦を展開しているのに対し、米国とNATOには問題に対処する明確な政策が欠けている。米国とNATOに対処計画が無いではないが、より強化される必要がある。
●なお、サイバー攻撃を受けた場合にもNATO憲章第5条は発動されるが、NATOによる対処を起動するサイバー攻撃の強度の基準は、政治的判断によるだろう
対ロシアに欧州米軍戦力を増強すべき
●ロシアの攻撃的な姿勢と行動の目的は、NATOを分断崩壊させ、ロシアを「global power」として世界に認めさせる事にアリ、シリアやアフガニスタンでの紛争の結果がどのような結果を導くかについてあまり関心を持っていない
●このロシアの野望を阻止するため、米国は全ての事象にきちんと対処すべきでアリ、そのことで米国は世界の何処でも対処の準備がある事を示すべきである
●欧州米軍には任務を遂行する能力があるが、理想的なレベルにはなく、例えば、ロシアを抑止し、同盟国等を安心させる潜水艦や空母は配備されていない。弾薬も不十分で、ロシアの進撃を押さえるには不足しており、米国は欧州でのプレゼンスを強化する必要がある。
国務省予算の削減に反対
●(マケイン委員長からの国務省予算の削減は問題かとの質問に対し、)欧州米軍は伝統的に政府他機関に大きく依存しており、国務省予算の削減は問題がある
●我々は同盟国と共に、ロシアに対しより強硬で能動的な姿勢で対峙(more aggressive confrontation)する必要があり、特に西側の選挙を「fake news」やサイバー攻撃で操作しようとするグレーなエリアにはこの姿勢が必要だ
●(ロシアへの制裁を継続すべきかとの議員からの問いに対し、)我々は制裁を維持しなければならないと考える
●ロシア抑止のための欧州への派遣戦力増強施策は、オバマ政権が打ち出した「アジア太平洋リバランス」の影響や、強制削減を生んだ2011年の予算管理法のために、短期間の内に変更を余儀なくされ、欧州での地上及び航空戦力は大きく削減された。
●例えば2010年から13年の間に、2個飛行隊と1個航空団司令部が閉鎖され、2個の旅団戦闘チームと1個の師団司令部、1個の軍団司令部が欧州から消えている。
●また、米軍と同盟国軍がポーランドやバルト3国で、陸軍部隊のローテーション派遣を始めたが、しっかり装備や人員が充足され、派遣の隙間がない状態でなければ、ロシアの更なる侵略を抑止する欧州コマンドの任務には不十分である
//////////////////////////////////////////////////////////
次は、ハリス太平洋軍司令官の登場でしょうか?
強制削減法(2011年予算管理法)による暫定予算が続く中、5月1日以降に予算が不足し、各種施策の停止や部隊訓練への影響が避けられない危機が迫っており、この「目の前の危機」への訴えと共に、トランプ政権の姿勢が不明確なことから来る種々の問題点が浮き彫りになる可能性があります
なお、Scaparrotti司令官は、つい最近まで在韓米軍司令官でした。次から次へ、大変な仕事ばかり担当されてますねぇ・・・
トランプ政権の国防指針は???
「リバランスは終了:それで?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-15
「政治任用で決定は長官一人のみ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-13
同証言を紹介したDefense-News記事
→http://www.defensenews.com/articles/eucom-commander-america-needs-stronger-response-to-russian-disinformation
23日、上院軍事員会で証言した欧州軍司令官兼ねてNATO軍司令官のCurtis Scaparrotti陸軍大将は、ロシアがメディアを総動員して巧妙に行っている情報戦に対抗するため、冷戦時代にそうであったように米政府全体で情報戦に取り組むべきだと訴えました
また、攻撃的な性格を強めるロシア目的と振る舞いを分析しつつ、ロシアを軍事的に抑止するため、欧州派遣の兵力増強によるプレゼンスの強化や「more aggressive confrontation」や制裁継続を求めました。
そして更に、トランプ政権が国防費増加の反面で打ち出した、国務省の海外援助予算削減は好ましくないとの意見も明確に述べています。
雰囲気的には、上院軍事委員会メンバーと「あうんの呼吸」で上記発言を誘導された(誘導に快く乗った)感が漂っており、大統領に意見具申をいたします的な証言となっており、各地域担当コマンド司令官からも同様の意見が続きそうなので、ご紹介しておきます
国家的な対ロシア情報戦を!
●ロシアによる組織的で巧妙・周到に練られた情報攪乱・情報操作作戦(disinformation operations)に対処するため、米国とNATO同盟国は、「全政府機関を巻き込んだ包括的で国家的な情報戦(information campaign)」を行う必要がある
●我々は冷戦時代にその様な作戦を行っていたし、現在国務省と欧州コマンドが協力して組織している「対露情報グループ:Russian Information Group」をスタート台に発展させて行くことも考えられる
●一方で、ロシアが情報戦を戦いの一部として位置付け、SNSやTVやサイバー手法を用いて巧妙に連携した情報戦を展開しているのに対し、米国とNATOには問題に対処する明確な政策が欠けている。米国とNATOに対処計画が無いではないが、より強化される必要がある。
●なお、サイバー攻撃を受けた場合にもNATO憲章第5条は発動されるが、NATOによる対処を起動するサイバー攻撃の強度の基準は、政治的判断によるだろう
対ロシアに欧州米軍戦力を増強すべき
●ロシアの攻撃的な姿勢と行動の目的は、NATOを分断崩壊させ、ロシアを「global power」として世界に認めさせる事にアリ、シリアやアフガニスタンでの紛争の結果がどのような結果を導くかについてあまり関心を持っていない
●このロシアの野望を阻止するため、米国は全ての事象にきちんと対処すべきでアリ、そのことで米国は世界の何処でも対処の準備がある事を示すべきである
●欧州米軍には任務を遂行する能力があるが、理想的なレベルにはなく、例えば、ロシアを抑止し、同盟国等を安心させる潜水艦や空母は配備されていない。弾薬も不十分で、ロシアの進撃を押さえるには不足しており、米国は欧州でのプレゼンスを強化する必要がある。
国務省予算の削減に反対
●(マケイン委員長からの国務省予算の削減は問題かとの質問に対し、)欧州米軍は伝統的に政府他機関に大きく依存しており、国務省予算の削減は問題がある
●我々は同盟国と共に、ロシアに対しより強硬で能動的な姿勢で対峙(more aggressive confrontation)する必要があり、特に西側の選挙を「fake news」やサイバー攻撃で操作しようとするグレーなエリアにはこの姿勢が必要だ
●(ロシアへの制裁を継続すべきかとの議員からの問いに対し、)我々は制裁を維持しなければならないと考える
●ロシア抑止のための欧州への派遣戦力増強施策は、オバマ政権が打ち出した「アジア太平洋リバランス」の影響や、強制削減を生んだ2011年の予算管理法のために、短期間の内に変更を余儀なくされ、欧州での地上及び航空戦力は大きく削減された。
●例えば2010年から13年の間に、2個飛行隊と1個航空団司令部が閉鎖され、2個の旅団戦闘チームと1個の師団司令部、1個の軍団司令部が欧州から消えている。
●また、米軍と同盟国軍がポーランドやバルト3国で、陸軍部隊のローテーション派遣を始めたが、しっかり装備や人員が充足され、派遣の隙間がない状態でなければ、ロシアの更なる侵略を抑止する欧州コマンドの任務には不十分である
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次は、ハリス太平洋軍司令官の登場でしょうか?
強制削減法(2011年予算管理法)による暫定予算が続く中、5月1日以降に予算が不足し、各種施策の停止や部隊訓練への影響が避けられない危機が迫っており、この「目の前の危機」への訴えと共に、トランプ政権の姿勢が不明確なことから来る種々の問題点が浮き彫りになる可能性があります
なお、Scaparrotti司令官は、つい最近まで在韓米軍司令官でした。次から次へ、大変な仕事ばかり担当されてますねぇ・・・
トランプ政権の国防指針は???
「リバランスは終了:それで?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-15
「政治任用で決定は長官一人のみ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-13
同証言を紹介したDefense-News記事
→http://www.defensenews.com/articles/eucom-commander-america-needs-stronger-response-to-russian-disinformation
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