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今後1年間で米空軍が宇宙活動の大アピールへ [サイバーと宇宙]

JSPOC.jpg22日、米空軍のGoldfein参謀総長とJay Raymond宇宙コマンド司令官が連名で寄稿した宇宙ドメイン「決意表明文」がDefense-Newsに掲載され今後1年間かけ、宇宙ドメインの重要性、米空軍が宇宙で果たす(果たしてきた)役割、宇宙ドメインでの取り組みを、精力的に訴えていくと宣言しています

そしてアピール活動を通じ、宇宙ドメインの政策、戦略そしてアセットや資源配分について様々な議論が起こることを期待し、貴重な意見が得られることを望み、そして潜在的な敵に宇宙で戦いを仕掛けることが割に合わないことを知らしめたいと結んでいます。最後の一節は「That is a message that we are ready and willing to deliver.」です

米空軍参謀総長がトランプ大統領と初めて面談した際、5分間だけ時間を与えられ、いの一番に説明したのが宇宙ドメインの重要性と空軍がその大半を担っている点でした。
宇宙ドメインの重要性は感じていても、なぜ突然宇宙を前面に???との思いを持ちましたし、今もその?感は続いていますが、今までアピールや説明努力が不十分だった重要分野に、おれは真剣に取り組むぞとの参謀総長の決意のようです

背景や狙いがよく分かりませんが、一生懸命さや熱意は感じます。今後も様々な発言やイベントがありそうですが、まずは基礎となるであろう、熱気溢れる「決意表明文」をご紹介します

概要:空軍参謀総長と宇宙コマンド司令官の寄稿文
Goldfein.jpgRaymond-Space.jpg●米軍が宇宙のリーダーとしての責任を担い、米空軍はその中心にあるが、宇宙技術がどの程度我が米軍の活動を支え、我が経済の効率的運営に寄与しているかは、国民や社会に良く理解されていない。ガソリンの購入から車の運転、オンライン通販、物流、医療などなど、世界経済が軍によってもたらされた衛星技術に支えられているのに
●過去25年間、米空軍は軍事作戦におけるリアルタイム情報提供をリードし、米軍が戦う時、その作戦を宇宙技術で支えてきた。見通し外通信や遠方での部隊活動把握、精密誘導兵器の誘導などは、IS殲滅作戦の鍵となっている

今後1年間、皆さんは宇宙の話や米空軍が他軍種と如何に宇宙関連で緊密に連携しているかを耳にするだろう。
我々が迅速に宇宙アセットやネットワークの防御対策に取り組み、敵対者の企みを抑止する能力獲得を進めるに中で、米国民の皆さんには、宇宙で何が危機にさらされているのかを理解して頂く必要があると考える

3つの取り組みをアピール
JICSPOC.jpg●何よりも、戦いがあればそれは宇宙に拡大する。宇宙に戦いが拡大したなら、我々は如何に戦うかを考えておかなければならない。陸海空ドメインのように、宇宙ドメインでの戦いにも備えなければならない
●米空軍が宇宙を戦いのドメインに融合する取り組みの第1は、宇宙での脅威を探知し認識する能力を高め、敵の脅威が高いドメインで、宇宙アセットを指揮統制する能力を高める取り組みである

第2に、宇宙アセットの生存性を高め、国防省と情報機関の連携を強化し、国家安全保障に不可欠な宇宙アセットの保護、防御、運用を行う事である
●そして第3に、昨年コロラド州に立ち上げたJICSPOC(Joint Interagency Combined Space Operations Center)への取り組みである。情報機関と核兵器を扱う戦略コマンド等が協力して立ち上げた作戦センターは、宇宙での新たな手法を試験し革新する事を促進し、未知の世界を教えてくれる

●これらの取り組みは、敵が我々の宇宙での行動を阻害することを防ぎ、衛星を改善し、宇宙関連要員を新たな現実に対処できるように鍛え、そして思考法の根本的変革をもたらす
●宇宙での戦いは、地球での戦いと同じアプローチを必要としている。もはや空想小説の世界の話ではない脅威を早期に探知し、必要なら機動し、敵が武力に訴える気にならないよう果断に対処する必要がある

Goldfein1-1.jpg●対処には、短期的な取り組みと長期的視点で臨む必要のあるものがある。このため米空軍は、政策、戦略、資源配分等に関する議論を歓迎する
公に米国の宇宙アセットを守る決意を明らかにすることで、我々は潜在的な敵に対し、宇宙で米国に戦いを仕掛けることが割に合わないことを知らしめたい。これが我々が伝えたいメッセージだ
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あまり米国社会で認知されず、予算獲得の追い風が少ない宇宙ドメインに、追い風を起こそうとする取り組みかも知れません。

しかし、宇宙アセットがもたらす恩恵、GPSやスマホ通信やオンラインシステムなどなどなどに現代社会があまりにも依存し、それが中断した場合への備えがあまりにもない事への警告は誰かが行わなければなりません。

その警鐘と備えへの訴えでと見れば、今後1年間のアピール大作戦が楽しみです。そして日本の関係者が、JICSPOCで勤務でき、何らかの貢献が出来る日が来ることを祈念いたします

「米空軍トップが5分間でトランプに訴えたこと」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-02-04

「JICSPOCを副長官らが高評価」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-28
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01

宇宙関連の記事
「新型宇宙監視望遠鏡が部隊へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-19
「宇宙改革法案」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-13
「衛星小型化は相殺戦略でも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01
「宇宙戦本Ghost Fleet」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-08

「宇宙アセット防御予算8割不足」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-02-01-1
「米空軍の宇宙姿勢を改革」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-19-1
「F-15から小型衛星発射試験へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-09

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