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米国首都の防空に航空局FAAレーダーと連携 [Joint・統合参謀本部]

NORAD2.jpg米空軍協会が米本土の防空を担当するNORAD関係者にインタビューを行い、首都防空に関する脅威感や対策について触れていますので、東京五輪時のテロ対策等の予習としてご紹介します。

また一連のインタビューで、ロシアからの防空をより強く意識する方向に変化が見られ、関連でOTHレーダーの必要性についてNORAD関係者が語っていますので、併せてご紹介しておきます

3日付米空軍協会web記事によれば
●北米大陸への非対称脅威を考慮し、NORAD(北米防空司令部)は、探知追尾が困難な低高度&低速度目標への対処を焦点の一つにしている。
●そして2015年4月15日、ペンシルベニア州から飛来した小型の有人ヘリ(gyrocopter)に、米議会敷地内への着陸を許した失態以来、NORADは改善を進めてきたと同幹部は語った

NORAD.jpg●NORADのSteve Armstrong戦略計画課長は、最近、首都圏(NCR:National Capital Region)を想定した「机上演習」を実施し、gyrocopter事案を再現するようなシナリオで再検証を行ったと語った
●そして同「演習」の結果、「十分な信頼性を持って、低速低高度航空機をほぼ常に探知追尾できた」と明らかにし、NCRエリアにおける「low-profile aircraft」探知に改善が図れたことを確認したと語った

●今回の結果を導いた改善には、空中状況をより良く把握するための連邦航空局FAAと米軍レーダーデータのコラボが含まれている(collaboration between the FAA and military radar data in terms of what feeds the air picture

対露に常続的なOTHレーダー装置を
JLENS22.jpg911事案以降のシフトから、NORADは本土防衛の焦点を変えつつアリ、ロシアの長距離爆撃機や最新巡航ミサイル脅威への備えの鍵として、常続的な見通し線外レーダー(OTH:over-the-horizon)を求めている
ISR航空機や先進戦闘機によるOTH任務遂行も不可能ではないが、費用対効果の面から常続的な実施は難しいとArmstrong戦略計画課長は語った

2015年にヘリウムを使用した係留型飛行船でOTH機能を狙ったJLENS計画を立ち上げたが、強風にあおられて係留ロープが切れ、漂流しながらケーブルで電線等を傷つけて地域に停電を引き起こし、F-16を出動させて撃墜する騒ぎになった
●NORADのScott Miller広報課長(海軍大佐)は、この事故を受けJLENS計画への再挑戦は期待薄で、これに変わりうる常続的なOHT能力確保の手段を思案中であると述べている
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米本土と日本の防空を単純には比較できませんが、首都の対テロを含む防空を考える場合、民間航空交通を司る当局と空軍の空域監視レーダーとの連携は待ったなしの課題でしょう。

OTH radar.jpgその点、具体的な方法は記事から読み取れませんが、「連邦航空局FAAと米軍レーダーデータのコラボ」は素晴らしい取り組みですし、先進国全てが学ぶべき手法でしょう。

日本の状況を良く承知しては居ませんが、日本の民間航空交通を司る国土交通省管轄の管制機関には「左巻き」の方が多く、自衛隊との協力には「地球の果てまで後ずさり」的な姿勢の方がいらっしゃるのでは・・・と危惧しております。誤解でしたらごめんなさい。

官邸の屋上に軟着陸したドローンのようなレベルの小型飛翔体への対処は困難でしょうが、有人機には何とか対処したいモノです。

JLENSの概要と試験
「2個目配置」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-20
「1個目設置」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-12-24

NORAD関連
「カナダがBMD姿勢見直し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-02

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