米と比が細々とHA/DR訓練を開始 [安全保障全般]

ただし短い記事は「フィリピン政府の招待」を受けたものと表現しているものの、「訓練」との用語を使用しておらず、専門家の交流(Exchanges)との表現になっており、米軍の商用衛星画像分析装備を持ち込んで使用し、その様子をフィリピン軍にも見せて参考にしてもらう程度の内容のようです。
昨年6月にドゥテルテ大統領が就任後、比大統領が米国への反発を強めて中国に接近し、米軍との軍事演習は全て中止してHA/DR訓練だけにすると打ち出して米側が困惑しています。

12日からの安倍首相のフィリピン訪問は、比大統領の故郷であるダバオ市を訪問し、日本との関係が深い同市民から熱烈歓迎を受ける「感慨ひとしお」の訪問となりましたが、漏れ聞こえてくるところによれば比大統領は、「米兵はフィリピンにいらない。自国で自国を守りたい」旨の発言をしたとかで、米比関係に光明は見えないようです
12日付米太平洋空軍web記事によれば

●今回の交流では、米空軍がフィリピンに持ち込む移動用衛星画像分析システム「Eagle Vision」の活用が中心となる
●「Eagle Vision」はリアルタイムで商用衛星画像を入手して分析に使用でき、米太平洋コマンド地域における人道支援能力を大きく飛躍させる装備である
●同装備によるHA/DR 関連能力の向上に加え、この交流は、2国間の相互運用性を強化し、長年に亘る2国間の同盟関係を引き続き強化するものとなる
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「Eagle Vision」は主に州軍が運用しているようで、種々の写真から推測すると、パラボラアンテナの大きさは折りたたんでC-17輸送機に搭載できそうな規模です。

米太平洋空軍web記事は、米軍から派遣された人員数や「交流」の細部にも記事は触れておらず、記事の末尾を「この交流は、2国間の相互運用性を強化し、長年に亘る2国間の同盟関係を引き続き強化するものとなる」と結んでいるものの、シャビーで哀愁漂うものとなっています
そう言えば、昨年4月にカーター国防長官が大々的に打ち出し、当時はF-22戦闘機のフィリピン展開が間近と報じられた「航空戦力ローテーション派遣」も、昨年9月に2機のC-130が派遣されたのを最後に「ぷっつり」途絶えています

ドゥテルテ大統領は市長時代地元に、戦前戦中戦後に活躍した日本人の慰霊碑を自費で建立し、大規模な慰霊祭まで行ってきた親日家ですが、米国には根強い不信感があるようです。
日本とドゥテルテ大統領
「なぜ10月25日に比大統領来日」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-06
米比関係の記事
「航行の自由作戦に比基地は使用させない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-12-11
「ハリス大将:選挙後初の訪比へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-11-16
「米比演習の中止に言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-10-08
「C-130が2機だけ展開」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-27
「比大統領南シナ海共同を拒否」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-15-1
「比空軍と米空軍が3日間会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-03
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