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2月に最新型E-2早期警戒機が岩国へ展開 [Joint・統合参謀本部]

E-2D 7.jpg5日、在日米海軍が、空母艦載早期警戒機E-2の最新型「E-2D」を、2月に米海兵隊岩国基地に展開すると発表した模様です。
機数や期間は明確ではないようですが、最新の米軍装備をアジア太平洋地域に派遣するとの「アジア太平洋リバランス政策」のキャッチフレーズに沿った動きです。

この「E-2D」は、ステルス機の探知・追尾にも有効とされるUHF帯周波数の特性を、高度なデジタル処理で活用する事に成功した「A/N-APY9レーダー」を搭載するだけでなく、米海軍が対中国を意識して進める「NIFC-CA」構想におけるネットワーク連携のバブや「digital quarterbacks:デジタル指令塔」とも呼ばれる、極めて重要な装備です

E-2D-2.jpg日本は12機のE-2Cを保有していますが、追加でこの「E-2D」を「4機」を導入する決定をしており、また中谷前防衛大臣が「NIFC-CA構想をしっかり検討して参りたい」的な発言をしており、ガッツリ米海軍の航空作戦構想に引き寄せられた雰囲気が漂っています。

今回派遣されてくる米海軍「E-2D」が、どのような活動をするのか現時点では不明ですが、「おっとり感」漂う装備品ながら重要度は際立っていますので、今後の動向に注目したいと思います

5日付Defense-Tech記事によれば
岩国基地に派遣されるE-2Dは、E-2Dを米海軍で最初に装備したNorfolk所属の「VAW-125飛行隊」から展開する
●現在Norfolkには、E-2Cを装備する「VAW-115飛行隊」が配属されているが、将来的に「VAW-125飛行隊」の体制が整えば、「115飛行隊」は加州のPoint Mugu航空基地に移動する
●在日米軍の米軍は「リバランス政策」を受け、例えば最新のP-8対潜哨戒機も受け入れている

E-2Dの「NIFC-CA」における役割
「F-35がNIFC-CA試験に初参加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-14
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「kill chainからkill webへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-15
Navy-Air-War2.jpg●米海軍が取り組むNIFC-CA構想は、海軍艦艇の捜索レーダーが探知できない遠方目標情報を、F-35等のステルス機のセンサー情報やE-2D早期警戒機の情報を活用してデータリンクで入手し、艦艇や他の攻撃アセットで対処しようとするもの
●ここでのポイントは、NIFC-CAに加わる各種アセット(イージス艦、空母、E-2D、EA-18G、FA-18、F-35、MQ-4、P-8、空母艦載無人機、潜水艦? 更に空軍アセットも)をリンクで結び、単なる目標情報の「kill chain」ではなく、「kill web」として迅速に共有し、対処範囲を大きく拡大して遠方から中国のA2AD網に対抗する点。

●なおNIFC-CAでは、海軍F-35は主に最前線センサーの役割を担い、兵器発射はEA-18G電子戦攻撃等に守られたFA-18が主担当になっており、「kill web」情報のハブ役をE-2Dが果たすことに。
●そして空母を守りながら攻撃も担うイージス艦は、この「kill web」情報によりレーダー見通し外の目標に対し、SM-6(BMDと防空と対艦攻撃の両用)や巡航ミサイルを発射することに

●また最近ではハリス太平洋軍司令官などが、「マルチドメイン」との発想から、地上配備の多連装ロケットや地対艦ミサイルを南シナ海の沿岸に配備し、中国艦艇に睨みをきかせる構想の推進を米陸軍に訴えており、これら地上装備も「NIFC-CA構想」の一翼を担う形になる模様。

E-2Dの特徴
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12
E-2D 4.jpg●Lockheed Martin社がE-2D用に開発したAPY-9レーダーは、UHF周波数帯(300MHz – 1 or 3GHz)を使用する世界初のアクティブ・フェイズド・アレイレーダー(AESA)。
中国やロシア製を含む戦闘機サイズのステルス機は、戦闘機搭載レーダーや地上配備の捜索レーダー周波数であるKa, Ku, X, CやSバンド周波数に対するステルス性を最適化している。

●これらの周波数より波長が長い(0.1~1m)UHFやVHF帯レーダーは、理論的に戦闘機サイズのステルス機を探知できる。
一方で、より波長の長いUHFやVHF帯レーダーは分解能が悪く、正確な位置把握や迎撃ミサイルを誘導する精度が得られなかった

●しかしE-2CのAPS-145レーダーが機械式走査1chのみであったのに対し、APY-9では機械式&電子式走査18chを備え、更に高度なデジタル情報処理技術を導入してUHF帯レーダーの弱点を克服したようである。
E-2D 5.jpgAPY-9レーダーは3つのモード、つまり全周を10秒間で捜索するモード、機械的回転で全周を捜索しつつ電子的に特定領域の探知を強化するモード、機械的回転を止めて特定方向だけにビームを指向しして捜索を強化するモードがある
●海軍航空部隊や製造企業関係者は、APY-9の開発は現APS-145レーダーからの「2世代進歩」を意味すると表現している
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当分は、F-35の海外初展開との観点で岩国基地は話題になるでしょうが、この「E-2D」にも要注目です。

どのような訓練を行うのか等、細部は公表されないでしょうが、アンテナを張っておきましょう!!!

E-2D関連の記事
「対中国の要:E-2D運用態勢に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-10-20
「E-2D大人買いで単価削減」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-02-1
「E-2Dはステルス機探知可能!?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-06-12

米海軍NIFC-CAと関連装備
「F-35がNIFC-CA試験に初参加」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-09-14
「米海軍のNIFC-CAとは」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26
「kill chainからkill webへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-15
「SM-6でBMD対処に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-05

「Baseline 9 :イージス艦の進歩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
「NIFC-CAで空軍と協力」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23

「日本&韓国とBaseline 9契約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-28
「日本もNIFC-CAに参加?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-11

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ando

ただし、日本導入版は政治サイドのいきごみとはべつに空自の都合ではニフカは導入されない可能性があるそうです。
海自のイージス艦とつながるのが嫌なのだそうです
by ando (2017-01-17 15:45) 

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