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ロシアが欧州飛び地やトルコで不穏な動き [安全保障全般]

ロシアが欧州飛地(Kaliningrad)やトルコで不穏な動き

Kaliningrad33.jpg8日、ロシア国防省はKaliningrad(リトアニアとポーランドとバルト海に囲まれた飛び地)に、定期的な軍事演習のため短距離弾道ミサイル「Iskander-M」を展開させたと発表し、周辺国と米国防省が非難する声明を発表しています

なお、同ミサイルは射程500㎞程度で周辺国は全て射程内で、射程700㎞への延伸改修が完了していれば、ベルリンも射程内に収めることが可能です。
特に「M型」は核弾頭搭載可能で、射程延伸型であれば射程1000㎞以上と言われる巡航ミサイルの「K型」とあわせ、INF条約違反が警戒されている兵器です

またトルコ外交筋によれば、10日にプーチン大統領とトルコ大統領がイスタンブールで会談し、紆余曲折を繰り返してやり直し状態にあるトルコ長距離防空システムの選定候補に、再びロシア製システムも加えることになった模様です

日本との領土および経済交渉でも利害追求の不穏な立ち回りを見せそうなロシアですが、欧州から中東方面では相変わらず嫌われ者役を堂々と演じ、国益追求だけに邁進しているようです

飛び地に「Iskander-M」展開
Iskander-M2.jpg●8日、ロシア国防省の報道官は、定期的な演習で同ミサイルを展開したと発表し、「Kaliningradへの展開は初めてではない」との声明を発表した
●ロシア報道官は米国の偵察衛星にわざと見つかるように配備していると語り、「頑張っておられる米側の皆さんが、配備を確認するのに時間はかからないだろうと」と皮肉たっぷりに語った

●展開飛び地に隣接するリトアニアの外相は、「このような露の行動は地域の緊張を高めるだけでなく、500km以上の弾道ミサイルの展開を制限した取り決めに反する可能性がある」と警告した
●リトアニア外相は更に「本件はNATO-Russia Councilでも議題となるだろう。単に事実を確認するだけでなく、国際合意との整合を問いただすのだ」とコメントしている

米国防省も警告
Iskander-M.jpg●なお米国の情報関係者は、7日時点で同ミサイルの移動が行われているのを確認しており、NATOへの威嚇行為だとみている
●(3連休明けの)11日、米国防省はロシアによる同ミサイルの展開を、既に高い緊張状態にある同地域の緊張感を、不必要に高める行為だと警告した。


ロシアが再びトルコ防空システムに参戦
3年前に価格で敗退したはずが、露とトルコの再接近で再び参戦
●トルコ外交筋の情報として10日付Defense-News記事が報ずるところによれば、イスタンブールで開催された世界エネルギー会議に出席したプーチン大統領とトルコのエルドワン大統領が会談し、トルコがロシアにミサイル機種選定に参加するよう招待した模様
●なお、仮にロシア製を選択した場合、中国製と同様に、既存の西側防空システムとの連接は不可能となる

同ミサイル機種選定の紆余曲折・・・
●2013年9月
CPMIEC-SAM.jpgトルコ政府は中国CPMIEC製のシステムを約3600億円で調達すると決定
(この選定においてロシア製は「価格が倍以上」として不採用になった。他にはPatriotを提案の「レイセオン&ロッキード」と、SAMP-1を提案の「European Eurosam」が参戦していた)
以後、米国やNATOが、中国製システムと既存の西側防空システムは情報保護の観点から連接不可能で、作戦運用上で極めて非効率で問題ありと強く抗議し

●2015年11月
トルコ政府が中国製を選択した決定の破棄を発表し、国産開発の方向を示唆し具体的関係企業2社に言及
一方で発表後も、米企業チームと欧州チームとも並行して選定協議を継続していた
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これまで何回も取り上げましたが、米露のINF全廃条約や弾道ミサイルを制限する条約は、中露北朝鮮などなどの条約に縛られない国を利するだけなので、今一度議論が必要だと思います。

PAC-3.jpgそのよう議論が国際社会で起きないと、日本で独自に現在の壁を突破して「弾道ミサイル保有」に進むことは厳しいです。
ロシアが極東に中距離弾道ミサイルを持ち込んだらどうするかとの問題もありますが、中国を優先すべきでしょう・・・

トルコが何を考えているか良く分かりませんが、少なくともエルドワン大統領が軍事のことを優先して考えていないことは明白でしょう・・・

約3年前からKaliningradに展開実績か?
「プーチンが展開否定も???」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-19-1

トルコ政府の反米と軍粛清
「将軍の4割以上を排除」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-11
「トルコで反米活動激化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-31
「トルコクーデターに噂」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-2

トルコ防空システム選定のゴタゴタ
「中国製決定を破棄」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-16
「トルコ大統領訪中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-30-2
「対IS空爆作戦にトルコ協力へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-24

「NATOと連接しない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-20
「4度目の延期」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-07-04
「トルコが中国企業と交渉開始」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-09-27

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