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米空母の定期修理が間に合わない [Joint・統合参謀本部]

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Bush-CV.jpg7日付Defense-Newsは、米海軍艦艇の任務多忙で艦艇のローテーションが厳しい中、派遣期間が増えて定期修理補習作業が増える一方で、予算不足(又は不安定)により艦艇修理施設の人材や技量不足して特に空母の回しが困難に成ってきており、来年新大統領が就任する頃には中東に空母が存在するかどうかが微妙だと報じています

具体的には、現在中東に派遣されている空母アイゼンハワーは来年1月には帰路に就く予定で、空母ブッシュが定期修理と準備訓練を終えて任務を引き継ぐ予定であるが、空母ブッシュの定期修理が長引き、必要な訓練期間の半分しか確保できないまま派遣される恐れがあるという現状です

恐らく記事は「氷山の一角」を捕らえたもので、空母以外の艦艇や潜水艦の定期修理等にも影響が出ていると思われ、記事は原子力潜水艦の修理を民間企業に委託し、海軍修理所の人員を艦艇修理に振り向けたりする現状も紹介されています

一応、アイゼンハワーとブッシュ問題は、南シナ海やアジア太平洋地域には影響は無いだろうと記事は触れていますが、米政権や米国防省が対ISILや対露に力点を置く現状から、どんな影響が出るか判りません

7日付Defense-News記事によれば
Norfolk.jpg空母アイゼンハワーは、中東地域に展開する唯一の空母としてペルシャ湾で活動しているが、2017年1月には7ヶ月間の計画派遣期間を終え、米東海岸のNorfolk基地に帰還する予定である
しかし、後を引き継ぐはずの空母ブッシュは、当初の定期修理期間6ヶ月を大幅に延長する13ヶ月の修理期間を要し、今年7月に派遣準備訓練を開始したばかりである

●通常、空母ブッシュには10ヶ月間の派遣準備訓練が必要だが、修理期間延長が検討され始めた頃に最初8ヶ月間に短縮され、最終的に現在では、交代派遣のためには4ヶ月で準備訓練を終える必要がある
●現在空母ブッシュは約2週間の訓練航海中だが、修理を継続している部分もあり、本当に年末に中東に向け出発するのか米海軍艦艇コマンド司令部も最終決定していないし、多方面からの質問に回答しない姿勢を取っている

この背景には、予算削減や予算の不安定と、その影響を受けた過去の修理所の人員削減がある。もちろん、艦艇の任務増加で船体が酷使されていることも影響しているが。空母ブッシュだけでなく、10月5日に20ヶ月間の定期修理を終えた空母ニミッツも、予定より4ヶ月も修理期間が延びている
●活動中の空母アイゼンハワーも、前回の定期修理が半年延長され、他の空母を「つなぎ」に投入しなければ成らなかった

艦艇補修所の状況と米海軍の対応
Norfolk2.jpg米海軍には4カ所の艦艇補修所(Norfolk、Puget Sound、Pearl Harbor、Portsmouth)があり、前者2カ所が後者の2倍の人員を抱える主力施設で、計約3.5万人の人員で運営されている
●作業量の増大に伴い、定年退職や離職者を埋める必要とあわせ、2013年以降に1.4万人を新規採用しているが、作業需要に追いつかない修理作業には特別な技能が必要で、数を揃えても技量向上には時間が必要なのだ

現場での作業員だけでなく、修理作業行程を計画管理する有能な人材の不足も指摘されている。酷使された船体には、想定外の要修理箇所が見つかることが多く、その都度全体の作業プランの見直しが必要で、複数の艦艇補修所で作業を分担することもあり極めて高度なプランニングが求められる
●米海軍艦艇コマンドは緊急の任務要請等に対応するため、最適艦艇対処計画OFRP(Optimized Fleet Response Plan)を準備し、関係する他コマンドや関係部署と調整協議を行う事としているが、空母ブッシュの作業遅延対策が十分なのか疑問声が挙がっている

●匿名の関係者は、空母ブッシュの派遣を数ヶ月遅らせて派遣を2017年頭書とし、空母アイゼンハワーの任務期間を遠投する可能性に言及したが、厳しく緊張感の続く任務に就いている中東派遣空母の派遣期間延長には慎重な声もあり、結論は出ていない模様である
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Bush-CV2.jpg記事の中に「悪循環に陥っている:caught in a vicious cycle」との表現がありますが、不規則に「つぎはぎ」を繰り返すことで、部品の発注や人材の育成、計画部門の混乱や疲弊が広がる事になるのでしょう・・・

このような兵站の問題は表面に出ることが少なく、戦史の中でも、後年になって研究が進んでやっとそのインパクトの大きさが明らかになることが多いです。
国防省や米海軍首脳も、気づいた時には手遅れで、体制建て直しには体制建て直しには長期間を要する・・にならないよう、手を打ってほしいものです。

まぁ・・・飛行機ばっかり購入し、維持整備体制や部品の購入費を犠牲にしている日本軍首脳にも、「ゆでがえる」に成らないよう過去の教訓を学んで欲しいものです

空母関連の記事
「F-35Cの着艦装置が凄い」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-08-22
「露空母が26年目で初任務」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-23
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「新空母フォード級を学ぶ」 →http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-20
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