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トルコ政府による軍粛正:将軍の44%を逮捕追放 [安全保障全般]

トルコ軍の将軍44%を排除

Russia-Turkey.jpg9日付Defense-Newsが、トルコでのクーデター未遂を受けてトルコ政府が強硬に進めている軍人処分の状況について紹介し、将軍クラスの44%を逮捕や追放し、軍の将来を担う陸軍エリート部隊の指揮官を軒並み排除している様子を紹介しています

この報道と同日、トルコのエルドワン大統領がクーデター後の初外国訪問でロシアに向かい、プーチン大統領と会談し、昨年11月のトルコ軍によるロシア軍機撃墜後にトルコに課した厳しい経済制裁の段階的な解除に合意した模様です。また、露の天然ガスをトルコ経由で欧州に送るパイプライン早期建設着手にもプーチンが言及した模様です

更に一部メディアの報道によれば、トルコとロシアが軍事、情報、外交協議メカニズムを立ち上げることにも合意し、近々軍事・情報協議チームがロシア訪問を明らかにした模様です
本日は、このように露とトルコが急接近する中、米トルコ同盟を支えてきた軍人指導層パージの様子と影響に関する記事をご紹介します。

9日付Defense-News記事によれば
Erdogan3.jpg●トルコ軍に存在した陸海空軍の358名の将軍の内、これまでに157名が追放または逮捕拘留された。これは将軍の44%にあたる
●また将軍クラス以下の士官32189名の内、1099名が同様に排除された。この比率は3.4%であり、如何にトルコ軍指導層が排除されたかが伺える

●ある残されたトルコ軍幹部は、「残された者は、トルコ軍が作戦運用面で脆弱性を見せることがないよう、懸命に対応している」と語っている
●またトルコ政府は、これまで将来を期待されるエリートが任命されていた24個の陸軍旅団の准将ポストの指揮官職に、新たに大佐を任命した

●これだけの軍人指導層が排除されることにより、文民官僚の軍支配が強化されると予想される。特に、現在議論が進んでいる兵器や装備品調達への文民の影響力増加が予期される
Erdogan-Turky.jpg●あるトルコの専門家は「トルコ軍は無条件でトルコ政府の支配下に入らなければならない。間違いない」と断言している

●別の専門家も匿名で、「クーデター後の粛正で、主要装備品の調達への軍人の影響力は大きく殺がれるだろう。恐らく、政府の文民への助言レベルにまで発言力が低下するのではないか」と語っている
●現在検討が進んでいる主要装備品の検討項目には、国産戦闘機、4隻の海軍コルベット、第3世代主力戦車、無人機、防空&弾道ミサイル防衛システム、ヘリ、衛星、新型潜水艦などが控えている
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7月15日のクーデターでは、クーデター部隊はイスラム派の政権転覆を狙い、特別警察部隊を攻撃し、情報機関本部と大統領宮殿を占領、更に軍参謀総長や陸海空軍司令官を拘束していました。

この断片的なクーデター情報からですが、あっさりと鎮圧された様子やずさんな計画からすれば、反乱を企てたのは軍の一部だったのではないかと思うのですが、エルドワン政権の取り締まりは何か別の意図を感じさせるほど強行で強力です

Erdogan-Turky2.jpgトルコとロシアの急接近は、欧州と中東の不安定要因と年初から予想されていた2国が接近することを意味し、「不安定要因」の二乗ぐらいのインパクトでしょう。
尖閣周辺も風雲急を告げていますが、アジアと欧州の接点付近も目を離せなくなってきました・・・

激動のトルコ情勢
「トルコで反米活動激化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-31
「トルコクーデターに噂」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-16-2

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