米空軍長官:FMS手続きの簡素化を目指して [米国防省高官]

米空軍が米国製武器の売り込み任務を背負っている点が日本とは根本的に異なりますが、これが世界の常識ですし、相手国の軍人のニーズを一番把握しているのは、彼らと共に行動し訓練している米軍人であることを考えれば極めて自然なことです。
もう一つ感じるのは、「官僚的で鈍重だ」と言われつつも、米国をあげ官民ががっちり組んで兵器売り込みに尽力する姿です。これも世界標準の姿でしょう。
豪州への潜水艦売り込みの件に関しても、フランスの通称「装備売り込み庁」の猛烈な人海戦術や「から手形」が飛び交ったようですが、これが武器取引最前線なんでしょう・・・
4日付Defense-News記事によれば

●3日、James空軍長官は「海外の顧客は一般的に、彼らの要求事項や希望する性能を包括的に説明するわけではなく、米側がこの点で顧客と適切に対応できれば、顧客のニーズを迅速に適切に把握できる」、「海外の顧客と接する担当官に必要な教育訓練を付与する必要がある」と語った
●官僚的で鈍重といわれるFMS手続きは、国防省のほか、国務省や国家安全保障省など複数の省庁や機関が関係する複雑な手続きからなっており、しばしば顧客や軍需産業から批判されており、数ヶ月前から米空軍がその改革に取り組み始めていた
●昨年11月のドバイ航空ショーで、James長官らは対テロ戦に必要な弾薬や装備品を求める中東湾岸諸国から、遅々として進まないFMS手続きに関する不満を表明され、中国など他国の製品への乗換えを示唆されるまでに関係がこじれていた

●同長官は「複数の省庁が複雑に絡み合う手続き全体を見るとお手上げ的な気分になるが、まず米空軍の担当範囲に目をむけ、何が迅速化のために改善出来るかを考えるべきだ」と述べた
●改善計画の概要は1~2週間で明らかにできると長官は語る一方で、FMSに関わる担当官の教育に関する契約や教育期間を経て効果は徐々に現れると説明した
●また、他省庁に関する部分は空軍省では対処できないと認めつつ、「何かを始めなければ何も変わらない」と語った
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日本の関係者の皆様にとっては、FMSじゃ日本の軍需産業に仕事が落ちてこなくてだめだぁ・・・ということで、米空軍にがんばられては困るのでしょう。
まぁ、その問題はさておき、「文民主導のセクショナリズムで全く機能していない」「防衛官僚の高官ポストだけ増えた」「各幕僚監部の人材だけ引き剥がし、仕事は各幕に置き去り」「近いうちにまた不正を働いて解体させられるのが落ち」と揶揄されている「防衛装備庁」には、少しは海外の情勢に目を向けていただき、前向きに仕事をしていただきたいものです・・・

そう言えば、防衛官僚から国会議員が出なくなって久しいですねぇ・・・
湾岸諸国と米製兵器売り込み
「ドバイの脅迫:軍需産業の懸念」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-01
「湾岸諸国はF-35不売で不満」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-05-16
「海外売込みに助言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-27
軍需産業との関係
「馴染みない企業をAIで米空軍事業へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-13
「G-N法改正の主要論点にも」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-05
「下院軍事委員長も重要課題と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-14
「米軍幹部達が取り組みと訴え」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-08
「計画初期から関係者が意思疎通」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-17
「James長官の調達改革」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-19
「Tech Outreach」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-28
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