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ハリス司令官が対ISILで日本に協力要請? [Joint・統合参謀本部]

ちょっと気になるハリス司令官の講演です・・・

Harris-ISIL3.jpg7月27日、ハリス太平洋軍司令官が「一般財団法人日本再建イニシアティブ」主催の日米軍事有識者フォーラムで講演し、ケネディー大使や主要自衛隊幹部(OBを含む)勢ぞろいの前で、「ISILのアジア太平洋リバランス脅威」を訴えて、対処に日本の働きに期待すると、穏やかにさらりと、しかし意味深にずっしりと語りました

約20分の講演全般は米国防省のアジア太平洋基本方針を復習するもので、国際法や国際規範に基づき、力に頼ることなく平和的手段で、陸海空そして宇宙やサイバー空間においても航行や使用の自由が確保される環境構築を目指し、そのために日米を初め、豪州やインドや韓国なども含めた多国間の連携強化が重要だと訴える流れとなっています

細部は映像つき講演トランスクリプトで
http://www.pacom.mil/Media/Speeches-Testimony/Article/873237/rebuild-japan-initiative-foundation/

ただDefense-Newsを初め米軍事メディアが注目するのは、そんな一般的な講演の冒頭で、あえて地域専門家もあまり主張してこなかった「出戻りISIL戦士」の脅威を訴え、日本人7名も犠牲になったバングラでのテロを材料に、アジアでの対ISILコアリションの重要性を訴えた点です

なお、主催者の「一般財団法人日本再建イニシアティブ」は、朝日新聞の主要幹部として退職後、姿勢を「反朝日」に転換して朝日系メディアから叩かれている船橋洋一氏が立ち上げ理事長を務めている組織です。そしてその船橋氏は、2014年5月から、民主党の提言組織「党改革創生会議」の議長に就任しています。良くわからない人物ではありますが・

7月27日の講演冒頭部分でハリス大将は
Harris-ISIL.jpg●ここ数週間の間に、人類はカブールやニースやバングラディッシュなどで、ISILによる恐ろしいテロ襲撃を目撃してきた。バングラでは日本人7名も犠牲になっている。お悔やみを申し上げる
●私はしばしば、米国の戦略的リバランスについて語ってきたが、残念ながらISILもまた、インド・アジア太平洋地域へのリバランスを試みているようだ。

●このISILのアジア太平洋地域への拡散を止めるため、我々は共に働かねばならない。有難いことに、日本を始め、同じ考えを持つ国々が対ISILコアリションに参加してくれている。
●我々は協力することで、この厄介な患部を除去できるし、そうするだろう

このような複数国の協力関係が我々が進むべき道を示してくれている。この「一般財団法人日本再建イニシアティブ」や私が強く推奨する道だが、日米同盟の力をてこに、ルールに基づく国際秩序を基礎に広範なパートナーと共に世界規模で活動し、安定と繁栄と平和を当地域に長く提供する道である

ISILの専門家はアジアでのISIL脅威を
Harris-ISIL4.jpg●対テロや治安対策を行う企業Soufan Groupの調査によれば、フィリピンとマレーシアから各約100名がISILに加わるためイラクとシリアに赴き、インドネシアからは約700名、中国からも約300名が、更に小国シンガポールからも数名がISIL活動に参戦している

●CSISのThomas Sanderson研究員は、ISILのアジアでの現在のプレゼンスは限定的だが重大であり、なぜなら多くの者がISIL戦闘員としてアジアから中東や北アフリカに向かったからであると説明している
●アジアにとっての脅威は、シリアやイラクでISILの支配地域や資金源が縮小する中で、それら出張戦闘員がシリアやイラクから、フィリピンやインドネシア等の自国に戻ってくることであると同研究員は語っている
●そして対策として米国は、多国間協力アプローチを積極的に推進すべきであり、その役割は世界でのテロ対策上、極めて重要で大きい

●前NATO軍司令官で欧州米軍司令官も兼務していたStavridis退役海軍大将は、現在Fletcher School理事長であるが、ISILのアジア回帰を認めながらも、それほど具体的に表面化していないと見ている
●ISILにとってアジア回帰は現時点で希望ベースであるが、我々はISILの試みに注意を払う必要があるとし、特にバングラやインドネシアを注視する必要があるとも語っている
●同氏はまた、対テロの取り組みの鍵は、国家間、関連機関、官民など様々な関係組織の連携であり共同だと語り、軍の力も当然組み合わさると表現し、ハードとソフトのミックスも求められると表現した
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Harris-ISIL2.jpgISIL関連のテロ事件が重なったタイミングだからなのかもしれませんが、「日米同盟の力をてこに」とか「対ISILコアリション」とか講演の冒頭でぶち上げられると、そんなこと急に持ち出して、能力構築支援とかに話を急発展されたら、さすがの安倍政権も持ちませんよ・・・と思いました

でも世界はあまりにも早く動いているのかもしれません。参議院選挙や都知事選などで内向きになり、外を向くのはオリンピックの話だけ・・・では付いていけないかも・・です

この講演に参加した「・・・my good friend Admiral Kawano; and fellow flag and general officers, including Generals Myers, Sharp, Sugiyama, and Okabe; Admirals Keating, Roughhead, Blair, Rogers, Takei, Saito, Oriki; and General Iwasaki. Giants all...」とのそうそうたるメンバーは、何を講演から感じたのでしょうか・・・

対ISIL作戦関連の記事
「対ISILのサイバー作戦教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-06-23
「6月までに対ISILで・」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-01-1
「対IS作戦強化の方向」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-21

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「トルコで反米の動き激化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-07-31
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