Work副長官:次期政権と第3の相殺戦略を語る [米国防省高官]

Work副長官は自身が新政権に残ることは想定しておらず、政権移行チームにオプションとして自信を持ってこれしかないと推奨するとの姿勢ですが、かなり計画的に長期的視野で人事面も含めて取り組んできた様子が伺えます。
本当の心境や如何に?・・・ですが、取りあえず講演での発言をご紹介します
2日付Defense-News記事によれば
(長期間を要する「第3の相殺戦略:Third Offset Strategy」の様な戦略推進を、次の政権に如何に引き継いで確かなものとするつもりなのか?・・・との質問に対し、Work副長官は・・・)
●この件に関しては、3つの補足的方法で対応しようと考えている。
●まず第1に、次期政権に多くの選択肢を提示しようと思っている
●私は政権移行の中核になろうと考えており、私自身が政権移行チームと直接話をし、我々がこれまで追求してきたことや、なぜそれらを追求してきたかを説明する。そして新政権に彼らが選択できるようにする

●例としてレールガンだが、当初我々は主要な開発領域だと考えたが、試験を進めるうちに「従来型の炸薬型高性能砲弾:powder gun with a hypervelocity round」でも同様の効果が得られる事が判ってきた。それも開発や試験などの経費が不要な形で。
●私は新政権に言うだろう。あなた達にはこのような選択肢がある。レールガンと炸薬型の両方に投資する事も可能だ。もし新政権がレールガンが欲しいと言ったらそう進むだろう。我々は成功の準備をしてあげるのだ
●第2に、議会との関係である。上院は全般に「Third Offset Strategy」を応援してくれているが、特に下院はThornberry軍事委員長も含め本取り組みの支援者である
●これまでの議会証言や質疑の於いても好意的で、本戦略を議会や政権全体で進めることを助けて支援してくれるだろう
●最後に、政治任用の国防省高官達が誰になろうとも、彼らを押し切るような軍人リーダー達に本戦略は受け入れられる必要がある。
●本戦略は、軍組織の観点からも、作戦運用の観点からも、軍人指導者達が追求しなければならない戦略である
●幸い、カーター国防長官は全ての新しい統合参謀本部メンバーの選定で便宜を図ってくれた。これは国防長官にとっても滅多にない事で、技術革新に詳しい人材を選んでもらった
●(例えば)Selva統合参謀副議長は、特に「Third Offset Strategy」や他の技術革新の取り組み推進に積極的で、現政権の後も継続的に推進力となってくれるだろう
////////////////////////////////////////////////////

しかし、後日ご紹介するCNASレポートが指摘するように、国防省の官僚組織は「Third Offset Strategy」やカーター長官の企業連合に追随できておらず、米議会や軍人リーダーの熱意でだけで相殺戦略の流れが維持できるとも思えません
エアシーバトルの顛末も含め、カーター長官やWork副長官らの熱い思いは果たして実を結ぶのか・・・がぜん人間味を帯びてきた「Third Offset Strategy」です。
Third Offset Strategy関連の記事
「宇宙とOffset Strategy」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01
「空軍研究所で関連研究確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-07
「慶応神保氏の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-26
「CNASでの講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15
「11月のレーガン財団講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15
「9月のRUSI講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-12
「Three-Play Combatを前線で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-09
後日ご紹介
「CNASが官僚の壁を指摘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-05-02
コメント 0