米空軍研究所に将来空軍戦略検討チーム設置 [米空軍]
4月20日付米空軍web記事によれば、米空軍Materiel Command(AFMC)のPawlikowski司令官が、米空軍研究所(AFRL)内に全米空軍から有識者を集めたチームを編成し、今後20年を見通した「戦略開発計画:strategic development planning」を行うと発表した模様です
同検討チームは、米空軍が過去1年かけて実施した「Air Superiority 2030」やWork副長官を中心に進められている「third offset strategy」に歩調を合わせ、米空軍全体を統一した戦略計画を策定して空軍を導こうとするものです
空軍研究所内に設置されるからと言って、「技術分野」に特化したものではなく、作戦運用から兵站、ハードからソフト面まで含む検討を行って米空軍指導層に結果を報告するものだそうです
細部は不明ながら、今後フォローが必要な検討チームですのでご紹介しておきます
4月20日付米空軍web記事によれば
●米空軍が必要な将来能力を見定めるため、オハイオ州のWright-Patterson空軍基地内に米空軍内の学際的な検討チームを発足させる。AFMCのPawlikowski司令官は、新たな米空軍の「strategic development planning」のカギとなる組織になると表現した
●同チームは10名程度の軍人と文民を核とし、更に米空軍内の作戦運用や兵站や計画部門のエキスパートを加え、ソフトとハードの両面から提言を取りまとめる
●Pawlikowski司令官は「米空軍は戦略開発を活発化させる。third offset戦略とも緊密に連携させ、戦略マスタープランと将来作戦運用コンセプトも絡め、戦略的敏捷性を重視する」とも語った
●更に同司令官は「米空軍の全ての分野のドクトリン専門家と前線の作戦運用者を結び付け(marry up)、米空軍の今後20年のニーズや不足部分を踏まえ、新技術をデモやウォーゲームや実験を活用して導入できるような投資につなげる」とも説明した
●同大将は背景として、米空軍が長く対テロに集中しすぎ、また組織変更も相次いだことから、戦略的な思考過程を経ずに目先の装備品開発に没入しすぎた反省を踏まえていると語り、
●同チームは、戦略検討から入り、多様なドメインの視点を取り込み、「air-space-cyber」アプローチも重視すると付け加えた
●またPawlikowski司令官は、「不足部分を見極め、課題を特定するため、実験やモデリングやシミュレーションを活用して多様な視点の結び付け、何が有効なのかを明らかにする」とも説明した
●更に司令官は、本検討チームを支える実験やモデリング検証の予算は既に確保されており、エネルギー兵器や超超音速兵器等の可能性を探る取り組みとなろうとも語った
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ご紹介した米空軍web記事は、「第3の相殺戦略:third offset strategy」や「Air Superiority 2030」の取り組みと、本検討チームが一貫した流れの中にあることを説明しており、米軍の各軍種レベルでも「offset strategy」絡みの動きが本格化していることが伺えます
米海軍の次世代航空戦力検討でも、「networked family of capabilities」との言葉や、FA-18後継機は一つの構成要素に過ぎないとの表現が使われており、ペンタゴンでは「offset strategy」ブームが起こっているようです
まぁ・・・ペンタゴン勤務の他国軍の連絡幹部の一人は、「国防省内のどこにいってもoffset strategy話になっているが、何を対象に、何をやろうとしているのか明確な戦略が無い」と某雑誌にと投稿していましたが・・・
関連の記事
「次期戦闘機は航続性と搭載量重視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「AFMC司令官が次世代制空検討説明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-23
Third Offset Strategy関連の記事
「宇宙とOffset Strategy」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01
「空軍研究所で関連研究確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-07
「慶応神保氏の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-26
「CNASでの講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15
「11月のレーガン財団講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15
「9月のRUSI講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-12
「Three-Play Combatを前線で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-09
同検討チームは、米空軍が過去1年かけて実施した「Air Superiority 2030」やWork副長官を中心に進められている「third offset strategy」に歩調を合わせ、米空軍全体を統一した戦略計画を策定して空軍を導こうとするものです
空軍研究所内に設置されるからと言って、「技術分野」に特化したものではなく、作戦運用から兵站、ハードからソフト面まで含む検討を行って米空軍指導層に結果を報告するものだそうです
細部は不明ながら、今後フォローが必要な検討チームですのでご紹介しておきます
4月20日付米空軍web記事によれば
●米空軍が必要な将来能力を見定めるため、オハイオ州のWright-Patterson空軍基地内に米空軍内の学際的な検討チームを発足させる。AFMCのPawlikowski司令官は、新たな米空軍の「strategic development planning」のカギとなる組織になると表現した
●同チームは10名程度の軍人と文民を核とし、更に米空軍内の作戦運用や兵站や計画部門のエキスパートを加え、ソフトとハードの両面から提言を取りまとめる
●Pawlikowski司令官は「米空軍は戦略開発を活発化させる。third offset戦略とも緊密に連携させ、戦略マスタープランと将来作戦運用コンセプトも絡め、戦略的敏捷性を重視する」とも語った
●更に同司令官は「米空軍の全ての分野のドクトリン専門家と前線の作戦運用者を結び付け(marry up)、米空軍の今後20年のニーズや不足部分を踏まえ、新技術をデモやウォーゲームや実験を活用して導入できるような投資につなげる」とも説明した
●同大将は背景として、米空軍が長く対テロに集中しすぎ、また組織変更も相次いだことから、戦略的な思考過程を経ずに目先の装備品開発に没入しすぎた反省を踏まえていると語り、
●同チームは、戦略検討から入り、多様なドメインの視点を取り込み、「air-space-cyber」アプローチも重視すると付け加えた
●またPawlikowski司令官は、「不足部分を見極め、課題を特定するため、実験やモデリングやシミュレーションを活用して多様な視点の結び付け、何が有効なのかを明らかにする」とも説明した
●更に司令官は、本検討チームを支える実験やモデリング検証の予算は既に確保されており、エネルギー兵器や超超音速兵器等の可能性を探る取り組みとなろうとも語った
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ご紹介した米空軍web記事は、「第3の相殺戦略:third offset strategy」や「Air Superiority 2030」の取り組みと、本検討チームが一貫した流れの中にあることを説明しており、米軍の各軍種レベルでも「offset strategy」絡みの動きが本格化していることが伺えます
米海軍の次世代航空戦力検討でも、「networked family of capabilities」との言葉や、FA-18後継機は一つの構成要素に過ぎないとの表現が使われており、ペンタゴンでは「offset strategy」ブームが起こっているようです
まぁ・・・ペンタゴン勤務の他国軍の連絡幹部の一人は、「国防省内のどこにいってもoffset strategy話になっているが、何を対象に、何をやろうとしているのか明確な戦略が無い」と某雑誌にと投稿していましたが・・・
関連の記事
「次期戦闘機は航続性と搭載量重視」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「AFMC司令官が次世代制空検討説明」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-23
Third Offset Strategy関連の記事
「宇宙とOffset Strategy」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-01
「空軍研究所で関連研究確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-03-07
「慶応神保氏の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-26
「CNASでの講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15
「11月のレーガン財団講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15
「9月のRUSI講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-12
「Three-Play Combatを前線で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-09
「国防省内のどこにいってもoffset strategy話になっているが、…」
日本の安全保障関連の記事では、まだまだoffset戦略をトピックとした記事はあまり見かけてない印象ですが(おっちゃん的に)、アメリカさんの話題についていけてるのでしょうか。
offsetの中心メンバーがワーク副長官だから、日本のメディアではなかなか注目が集まらないのか。
さすがにエアシーバトルのブームは日本でも去った感はありますが、
目立つからといって大統領選挙ばかり追っかけてちゃダメでしょう。ブーム追いかけるミーハーじゃないんだから。
緊要なポジションの人は、毎朝、新聞よりもまず、マングースさんの記事に目を通してくれていることを願います。
by おっちゃん (2016-05-03 14:16)