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米海軍も次世代制空検討NGAD開始 [Joint・統合参謀本部]

NGAD4.jpg21日付の米海軍協会web記事によれば、米海軍幹部が米海軍協会に対し書面で、FA-18やEA-18G後継検討を含む次世代制空検討(NGAD:Next Generation Air Dominance)を今年1月から開始していると明らかにしたとのこと

次世代の制空は戦闘機一つでで考えるのではなく「a family of NGAD systems」で考えるとか米空軍と情報共有するが共同で次期システム分析AOA(analysis of alternatives)はやらないとか、海空軍で似たところもあれば違いを示唆する部分もあり、共同AOAを臭わしていた昨年3月の時点(http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-30)から変化が見られます

米空軍は1年先に「Air Superiority 2030」検討を開始し、4月上旬にその結果の方向性を明らかにしていますが、米海軍はまだ検討に着手したばかりであまり具体的な話はありません
記事にも推測部分が多いので、注意しつつご紹介します

21日付米海軍協会web記事によれば
NGAD3.jpg1月にスタートしたNGAD検討に関し、海軍幹部は21日に声明文書で、FA-18とEA-18の後継を構成する「family of NGAD systems」の構成要素となる、FA-XXの要求性能検討を開始したと述べている
●米海軍は、FA-18E/Fの後継はあくまで単一航空機ではなく、空母艦載の複数の航空作戦任務装備で埋めるものだとの立場である

●更に米海軍は声明で、「海空軍は共通の分析手法やツールを使用し、検討情報の共有を図ることにより、相互運用性や技術投資の共同化で効率性を追求する」と述べているが、(昨年時点では共同検討も示唆していたものの、)米空軍がF-22後継を念頭に開始したF-X計画と、海軍のFA-XX計画の要求性能検討AOAは共同では行わない考えを示した

●NGAD検討に関し、20日に上院軍事委員会に提出された証言文書は、有人機だけでなく、無人機や無人機で有人バージョンも可能な形態も検討すると明らかにしている
●また、FA-18とEA-18Gそれぞれに後継機体を検討するのではないを強調する一方で、既存のアセットの改修や発展的活用まで、革新的から段階的な手法までを含めたNGAD検討を求める方向になっている

NGAD2.jpg米空軍との共同AOA検討を止めた背景には、海空軍の文化の違いがある。空軍が伝統的に速度やステルス性を求めるのに対し、海軍は搭載量を求める傾向がある
●2015年には前任の海軍作戦部長が、「ステルスの時代が終わったとまでは言わないが、現実に向き合う必要がある。発見されるようになる」、「FA-18E/Fの後継は、多様な兵器を使用できる搭載量を持ち、敵防空網を制圧してアクセスを確保できる必要がある」と言及していたところ

●またメイバス海軍長官は昨年、「自律的な無人システムが、今後多様な分野で標準装備になる必要がある」、「F-35は確実に米海軍省における最後の有人戦闘機になるだろうし、そうあるべきだ」と述べ、無人機への期待感も空軍より強いように見える

初の空母艦載無人機に関し
●20日、上院軍事委員会で米海軍航空戦力担当のMike Manazir少将は、初の無人艦載機となるMQ-XX(Stingray)は、空中給油任務とISR任務しか主要任務として担わないと語った
●CBARS(Carrier Based Aerial Refueling System)を早急に実現したいと考えておることから、当初は他の任務については考えないとも説明した
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7日に米空軍が明らかにした「航空優勢2030検討」の方向性では、速度や機動性より、航続距離や搭載量を重視する姿勢を明らかにしていました。今後の展開に注目です

NGAD.jpg言うまでもなく。米海軍航空部門と米空軍はなわばり意識や組織防衛意識が強く、共同で次世代制空機を検討するつもりなど無かったはずですが、昨年までは議会や国防省上層部の視線も意識して、共同で要求性能検討をやる方向で・・・等と言っていたのでしょう

徐々にそれぞれ好きな方向に進むつもりでしょう。そのうちWork副長官や上下院軍事委員会などから「何やってんだ! 説明に来い」と言われて理屈をコネにかかるのでしょう

米国防省内の事だけなら「高みの見物」を決め込むのですが、対中国の軍事作戦を考える際、この米海空軍の統一感のなさは重大な懸念事項です。
米海軍はNIFC-CAを持ち出し、米空軍はB-21や長射程ミサイルJASSM-ERを正面に語るようですが、戦略レベルでも、作戦レベルでも、対中国の姿勢が定まっていません。この辺りは対中国の軍事戦略欠如が根本にあるのですが・・・

悲しいかな、そんなバラバラ感や根無し草状態の中、無邪気に「心神」の初飛行を喜ぶ日本の「戦闘機命派」がSNS上に溢れています。ため息以外の何もありません・・・

海空戦闘機検討の関連記事
「海空共同で次期戦闘機検討へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-30
「海長官:F-35は最後の有人戦闘機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-17
「ステルス機VS電子戦機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-22

「米空軍の航空優勢2030検討」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
「CSBAの将来制空機レポート」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15-2
「kill chain全体で考えよ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-07-27

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無邪気に喜んでるとは思いますが、そんな戦闘機命って訳でもないと思いまふ
by お名前(必須) (2016-05-01 17:30) 

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