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世界初:6種類の迎撃ミサイルでBMD演習 [安全保障全般]

Juniper Cobra 16.jpg3日までの約2週間、イスラエル空軍と米軍欧州コマンドが計約3000名を動員した大規模なミサイル防衛演習(2国間演習Juniper Cobra 2016)をシミュレーション環境で実施し、両国から計6種類のBMDミサイルが参加する世界初の試みとなった模様です

米海軍のSM-3搭載艦艇は参加しなかったようですが、本年運用開始予定のイスラエル製「David’s Sling」迎撃ミサイルも加わった初の演習になった模様です

米軍はイスラエル国内に、米軍人が活動する恒久的な作戦センター(joint control centers)を設置しており、米国防省関係者が「米軍欧州コマンドにとって最高優先度の演習だ」と表現する演習ですので、細部は不明ながらご紹介します

なお、イスラエルから参加の迎撃ミサイル「Iron Dome」は射程数十キロまでの原始的ロケット弾対処用で、「David’s Sling」は短射程のミサイル対処用ですので、BMDミサイルとは言えませんが・・・

2月24日付エルサレムポスト紙によれば
Juniper Cobra 164.jpg●同演習には、米軍欧州コマンドは米海軍、海兵隊と空軍から約1700名が、イスラエル空軍からは約1500名が参加し、「joint control centers」で演習に取り組んだ
●演習はシミュレーションで行われ、米軍は「Aegis」「THAAD」「Patriots」システムの指揮統制装置を演習シミュレーターに連接し、イスラエル軍は「Arrow-3」「David’s Sling」「Iron Dome」を連接して演習に参加した。ただし米軍は艦艇装備の「Aegis」システムは展開させていない

今年中に運用開始になる予定の「David’s Sling」が演習に参加したのは初めてであり、また6種類の迎撃ミサイルが、同時にロケット及びミサイル防御演習に参加したのは初めてだと、イスラエル国防関係者は表現した
●また能力向上を図って大気圏外での迎撃を可能にする「Arrow-3」の運用開始も「very close」だと、イスラエル国防関係者は語った

Juniper Cobra 162.jpgアシュドット近郊のHatzor空軍基地で行われた記者会見で、米軍参加部隊指揮官であるTimothy M. Ray中将(第3空軍司令官で在イスラエル米軍司令官)は、「これは両国連合のミサイル防衛演習で、相互運用性の向上を図っている」と表現した
●またイスラエル空軍の防空司令官であるZvika Haimovich准将は、「演習を経て、我々は変化する脅威の現実に、より良い備えが出来るだろう」と述べている

米軍欧州コマンド司令官も参加
●1日、ペンタゴンでの記者会見でBreedlove欧州コマンド司令官(NATO最高司令官兼務:米空軍大将)は、「欧州コマンドはイスラエル防衛の任務を帯びており、米国の同任務へのコミットメントは最高度に強固である」と語り、その後イスラエルへ向かった
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弾道ミサイル防衛能力の高い順で並べると
「Aegis SM-3」→「THAAD」→「Arrow-3」→「Patriots」→「David’s Sling」→「Iron Dome」でしょうか・・・

Juniper Cobra 165.jpgただし、「David’s Sling」以下は、弾道ミサイルではなく、長距離ロケット弾対処程度の能力でしょう。
また「Arrow-3」は限定的な衛星攻撃兵器としても活用可能とされており、100km以上の高度で要撃可能と言われています(https://en.wikipedia.org/wiki/Arrow_3

それにしても・・・「イランとの核合意」に大激怒のイスラエルをなだめるため、米国は米軍を使って出血大サービスのコミットメント意思表明です。恒久的な作戦センターまで出来上がっているようですし・・・
米軍欧州コマンドは、対露や対ISILで多忙を極めていると思いますが、1700名もの兵士を派遣し、司令官自らイスラエルに赴く力の入れようです。
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