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LRS-B機種選定:GAOはBoeing訴え却下、でも [米空軍]

GAO2.jpg16日、米空軍の次期爆撃機LRS-B(B-1とB-52の後継)機種選定に関し、破れたボーイング社が選定要領が不適切だと米会計検査院GAOに訴えていた件で、GAOは100日間の審理を経てボーイングの訴えを却下しました。

しかし訴えを却下されたボーイング社は、裁判所に訴える方向を示唆しており、今後も次期爆撃機LRS-Bには「いばらの道」が待ち構えている模様です

17日付米空軍協会web記事によれば
LRS-B NG.jpgGAO担当官の声明文は、「訴えを取り上げ、これ以上追求する根拠は無い」、「米空軍の技術的評価やコスト評価は理にかなっており、関連文書に則り、各種法律規則を遵守したものである」と記している
●なおGAOは声明で「ボーイング社の訴えや、GAOの判断の細部は非公開事項で有り、明らかにできない」とも説明している

●GAO発表を受けJames空軍長官は、「この極めて重要な兵器システムの開発と配備を前進させることを楽しみにしている」とのコメントを出した
Welsh空軍参謀総長も、「我が国はこの能力を必要としているのだ」と述べ、老朽爆撃機の更新と潜在敵対国への技術優位確保に期待を示した

勝者のNorthrop Grummanは
LRS-B4.jpgNorthrop Grummanは声明で、ボーイング社がGAOに訴えた昨年11月6日から関連業務の停止を命ぜられ、関連社員を自腹で維持してきた事もあり、「LRS-B計画の仕事を再開できることを嬉しく思う」と述べている
●軍需産業関係者によれば、ボーイングが裁判所に訴えて勝訴しない限り、Northrop Grummanが再び関連業務停止を指示されることは考えにくい

●2017年度予算案に関連して明らかになったところによれば、今後5年間でLRS-Bには約1400億円が投資される予定で、1番機は2014年から25年に完成し、2020年代後半に初期運用態勢を確立することになっている
●また当初は80~100機と幅を持たせていた調達機数は、現時点では100機に落ち着いている

一方で破れたボーイング社は
LRS-B8.jpgボーイング社は声明出し「我々は引き続き、我が社の提案が最上だと信じている」、「注意深くGAOの判断を精査し、数日中に訴えに関する次のステップを判断することになろう」と述べている

●ボーイングの動きに関しGAO関係者は、GAOの判断が最終決定になるとは限らないと述べ、GAOが年間に扱う約2500件の訴えの多くには発生しないケースだが、ボーイングが裁判所に訴えることはできる
例えば、2012年にアフガンに提供する軽攻撃機選定(勝者はブラジル企業)で、敗れたBeech Aircraft社が2回訴えを(裁判所に)起こしたが、2回とも敗訴に終わっているケースである

裁判所に訴えて敗訴しても、ボーイング社にペナルティーは無いが、GAO幹部は「仮に確固たる根拠が無いまま訴えを続ければ、政府系の顧客から疎遠になる潜在的可能性はある」と語った
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引き続き、どろ沼にならないよう願っておきますが、訴訟社会の米国ですから、言葉尻を捉えたり、詳細な手続き論の寝技に持ち込んだり、様々な手段を用いて「お抱え弁護士」が暗躍するのかも知れません。

また、そんな非公開情報のやりとりの中で、潜在的敵国に情報を盗まれないように祈るばかりです

LRS-B関連の記事
「敗者がGAOに不服申し立て」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-07
「結果発表と分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-28
「意図的リーク?LRS-B概要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-07

「選定結果で業界大再編か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-20
「LRS-Bは議会対策困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-12

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