改良トマホークや改良対艦SM-6等に投資へ [カーター国防長官]

カーター国防長官は2日のワシントンDCでの講演で、対ISIL作戦で急速に消費している誘導兵器を補充するため、2017年度予算に$1.8 billionで4.5万発の精密誘導兵器を獲得すると説明していましたが、将来への投資部分も含めた中身の一部が報道されているようです
そのほかにも、長距離対艦巡航ミサイルLRASMや、射程延伸型の先進対レーダー誘導ミサイルAARGM-ERにも、従来計画より追加投資がなされるようです
3日付Defense-News記事によれば

●また3日には、艦艇防空用のSM-6ミサイルを今後5年間で650発購入し、更にそれを対艦用にも活用できるよう改修するため$2.9 billionを投資すると述べました
●昨年、トマホークを製造するレイセオン社は、同弾頭のシーカー等を改良して移動目標対処を可能にしたと発表し、移動目標艦艇目標の攻撃テストに成功していた
●カーター長官は、「攻撃可能目標を拡大し、陸上の固定目標だけから、移動する対艦用にも使用可能にして対艦オプションを多様化を追求し続ける」と語った。なお、移動目標用への改修には、1発約1.3億円のトマホークに、1発約3000億円が必要と見積もられている

●更に国防省幹部は、国防長官が強調していた誘導兵器についてDefense Newsに対し、防空ミサイルであったSM-6を、その速度や機動性を生かして対艦ミサイルに活用する改修に成功したと語った
●同幹部は「わがイージス艦が搭載している防空ミサイルを、対艦任務にも活用するアイディアは、まさに長官が訴えていた発想の転換であり、革新的発想で比類なき能力を海軍に提供する取り組みである」と表現した
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我々は改めて、この発想の背景にある「脅威の変化の見積もり」を正直に見つめる必要があります。そこでは、戦闘機の空中戦で始まる航空優勢獲得の争いは本流ではありません。
数少ない作戦基盤に対する弾道ミサイルや巡航ミサイルの大量同時発射、サイバーや宇宙戦での奇襲が中心になることが、膨大な中国軍事戦略研究を踏まえて想定されています

これら根本にある「脅威の変化」に対する真摯な姿勢無くして、正しい状況判断はできません。
トマホーク関連の記事
「移動目標テスト成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-12
「高密度情報をミサイルへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-04-2
「貫通力と識別力向上へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-15
SM-6関連の記事
「弾道ミサイル迎撃に成功」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-08-05
「NIFC-CAとSM-6連携」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27
Third Offset Strategy解説
「神保氏の解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-26
「CNASでの講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-12-15
「11月のレーガン財団講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-15
「9月のRUSI講演」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-12
「Three-Play Combatを前線で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-09
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