米国防長官が「force of the future」に追加策 [カーター国防長官]

これまでの「force of the future」検討では、産業界や大学との人材交流、長期休暇制度等による一般大学での勉学支支援、インターン制度の拡充による有能人材確保等々の施策や、2016年から開始の「女性兵士への例外なき全職種開放」が発表されていました
今回の発表は、「家族への支援」や「家族の生活の質」の改善を目指したもので、精子や卵子の保存や、体外受精(IVF)支援まで含んでおり、かなり突っ込んだ内容となっています。
諸外国軍の体制にも、影響が及ぶかも知れません
米国防省「force of the future」特設webページ
→http://www.defense.gov/News/Special-Reports/0315_Force-of-the-Future
28日付米国防省web記事によれば

●一連の施策に関しカーター長官は、有能な人材を引き寄せて継続勤務してもらうと同時に、国のために、我が身を捧げ勇敢に戦いに臨む米軍兵士達に相応しい雇用主となるため、国防省や米軍を「family-friendly」にするための取り組みの一環でだと説明した
●そして「我々の考えはシンプルであり、米軍兵士たちが、国のための任務に精励することと、家族を持ち支えていくことの2つのバランスを取ることを可能にしたいのである」と語った
産休期間を2倍に
●有給の産休期間をこれまでの2倍の12週間とし、「米国防省を本分野でのトップレベルの機関にし、軍人家族の意思決定に大きな影響を与える」とも長官は表現した
●ただし、米海軍が昨年産休をより長い18週間としていることに関しては、30日間以内に妊娠が明らかになった場合は、引き続き18週間を認めると説明した
●また、50人以上の女性が勤務する国防省施設には必ず「mothers’ room」を設けることを指示し、更に父親が取得できる育休を現在の10日間から14日間に延ばす法整備進めることを表明した
軍施設内の保育施設充実
●軍施設内の保育施設に補助金を出して運営を支援する。「保育サービスの提供を通じ、兵士たちが任務を継続できるよう支援し、家族を支えることと任務の両立を支える」と長官は語った
●軍施設内の保育時間と、両親の勤務時間の整合が取れず、基地外の保育施設を利用する軍人家族も多いことから、米軍全体で保育施設の開設時間を14時間に拡大する
同基地での延長勤務を柔軟に

●このような場合、所属部隊が許容できるならば、「(当該兵士が)負荷的な義務を負うことを条件に:in exchange for an additional service obligation」、部隊指揮官は当該兵士が当該勤務地に継続勤務することに関し、適切な措置を取る権限を与えられる、と長官は述べた
家族計画に柔軟性を付与するため
●米軍は、将来子供を持てなくなるような犠牲を強いられる可能性のある厳しい任務遂行を、兵士に要求している。これらを考慮に入れ、国防省は現役の操縦者が精子や卵子を冷凍保存する費用を負担する
●また国防省は、現在6か所で行っている体外受精(IVF)のような技術の利用経費補助を、多くの兵士が利用できるようにする方法を検討する。
●これらの施策は、家族を編成するに際してのより高い柔軟性を与え、兵士たちの将来に自信を持たせるためのものであると長官は説明した
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数日前、James空軍長官が、国防省がそうしなくても空軍は3倍増の18週間にしたいと語っていましたが、どうなるのでしょうか?
それにしても、「精子や卵子を冷凍保存」とは、さすがと言えばさすがですねぇ・・・
本年元旦から効力発揮の「全職域を女性に開放」や、今回の「産休期間の2倍増」や「同一基地継続勤務に柔軟性」などは、前線部隊指揮官が単純に受け入れることが難しい話であり、いろいろなこぼれ話があるかもしれません
カーター国防長官の会見トランスクリプト
→http://www.defense.gov/News/News-Transcripts/Transcript-View/Article/645952/department-of-defense-press-briefing-by-secretary-carter-on-force-of-the-future
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「施策への思いを長官が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-04-25
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