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「無人機の群れ:Swarm」で艦艇の攻撃や防御 [Joint・統合参謀本部]

Coyote UAV.jpg4日付Defense-Techによれば、米海軍が、安価な無人機の「群れ」をグループとしてコントロールする試験を今年の夏に予定し、将来の攻撃兵器や防御手段として検討しているようです。
「無人機の群れ」を最も精力的に研究しているのが、「群れ」を艦艇への脅威と切実に感じている米海軍で、「群れVS群れ」の空中戦(Aerial Combat Swarms)まで研究している科学者が存在しているそうです

先日、米海軍研究所が開発の大量同時使用を想定した滑空無人機(CICADA)が、著名科学雑誌の「2015年新たなアイディア賞」に選定されたとご紹介しましたが、米海軍のこの分野への力の入れようが感じられる出来事でした

軍事分野の研究に関し、米国の裾野の広さを改めて感じさせる米海軍の取り組みですので、これを機会にご紹介します

4日付Defense-Techによれば
Coyote UAV2.jpg●超音速の巡航ミサイルや最新の戦闘機を迎撃する最新の海軍艦艇にとって、「群れ」であってもありふれた性能で低速の無人機は片手間で対処可能な脅威のような気がするが、現実は違
米海軍はこの分野の研究のリーダー的存在で、公開非公開をあわせ多数の研究ペーパーが存在しているが、2012年の「UAV Swarm Attack」は読む者を不安にさせる論文である

●同論文の想定は単純で、市販の速度150km程度の小型でレーダーに映りにくい無人機10機程度が、イージス艦に全方向から侵攻することを多様な700以上のパターンでシミュレーションしたものである。
●イージス艦は対空ミサイルやCIWSシステムのほか、5インチ機関砲を備えているが、研究では追加で6つの重機関銃が装備された場合も想定されている

発見が難しい小型無人機に対しては、発見から艦艇到達まで約15秒間しか対処時間がなく8機が侵攻した場合、平均2.8機が防空網を突破する。仮に捜索センサーや防空網を強化した場合でも、8機の内で少なくとも1機には突破される結果となった
●侵攻無人機数を増やした場合、防御側が対処可能なのは最初の7機前後であることも明らかになった

●このような結果を元に、米海軍は低コスト無人機群技術(LOCUST:Low-Cost UAV Swarming Technology)に取り組んでおり、今は30機の無人機を個々に操作するのではなく、「鳥の群れ」を互いが衝突することなく操ることを狙っている。
●研究責任者のLee Mastroianni博士は、1機180万円程度の無人機の群れを「LOCUST計画」で使用しており、1発1億5000万円する対艦ミサイルより安価だと考えている。同博士は30機の「無人機の群れ」で、今年の夏試験を計画している

「無人機の群れ」対処に「無人機の群れ」
●無論、無人機1機の破壊力は対艦ミサイルより小さいが艦艇のレーダーを無効化するには十分であり、盲目化された艦艇は他のどんな兵器でも攻撃可能になる

Aerial Combat Swarms.jpg●海軍の研究者であるTimothy Chung氏は、「無人機の群れ」攻撃を「無人機の群れ」で対処する方策を検討している。正式研究名は「Unmanned Systems Swarm versus Swarm Development and Research」との名称だが、Chung氏は「群れによる空中戦:Aerial Combat Swarms」と呼んでいる
●Chung氏は無人機による攻撃と防御に分かれた「50対50」のシナリオを検討しており、どの程度の自立性が無人機に必要か、群れの管制者は迅速な戦いにどの程度対応可能か、無人機の質と量の関係は、等々の疑問に取り組んでいる

●有人機とは異なり、安価な無人機では「犠牲者」の懸念がなく、全く異なった空中戦の世界が存在するだろうし、研究で明らかになる戦術は新たな戦いの様相を形成するかもしれない
●「無人機の群れ」が空母を襲う将来、「無人機の群れ」がその迎撃に使用されるだろう。どちらが勝利するだろうか? それはどちらが新たな戦いの様相を把握しているかによって決まるだろう
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Coyote UAV3.jpgハード的にそれほど難しいとは考えられないので、ソフトの勝負になるのでしょうか?
ソフトとなれば、サーバー戦で盗まれたりしたら・・・と考えてしまいます。

「目の上のたんこぶ」である米空母やその取り巻き艦艇を制圧するため、中国も同様のことを考えているのでしょう・・・
有人機の戦闘機操縦者は、恐らく「Aerial Combat Swarms」から目を背け、自身のアセットが依存する脆弱な地上システムの存在も忘れ、今日もF-35導入と戦闘機部隊の引越しだけに・・・

2015年の「Best of What’s New」に選ばれた
「NRLの滑空無人機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2016-01-04

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kent5mg

すいません。ブログなどもっておりません。
大変興味深く読ませていただいています。特に無人機の群れ関係の記事が個々人的に引きつけられます。
本記事も大変興味深いのですが、1点だけ。
「市販の速度150km程度の小型でレーダーに映りにくい無人機」というのが少々遅すぎるのではないかと思い、原文を読むと155mph≓250km/hだと思うのですがいかがでしょうか?
by kent5mg (2016-11-24 20:19) 

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