欧州を主戦場に宇宙&サイバー演習開始 [サイバーと宇宙]

複数の米軍主要コマンドや情報機関のほか、国務省や運輸省や商務省や国土安全保障省等が参加し、何が起こっているのか、誰がやっているのか不透明な宇宙&サイバー世界の「頭の体操」を行います
なお、今回は血の同盟関係にあるアングロサクソン系のカナダ、豪州、NZ、英国も同演習に参加します。日本も入れたら同盟国として一人前でしょうが・・・
プレス発表によれば、今年の演習の焦点は「米欧州軍の担当エリア」だそうで、想像ですが、ロシアが宇宙&サイバー空間で様々に引き起こす事態に、関係機関が協力して対処する訓練となるのでしょう。

なにせ、サイバー&宇宙分野では、影響が広範に及ぶ割には、「誰が何処まで仕切るのか」や「誰にどれだけ権限があるか」等々について、あまりにも米国として(当然日本もですが)不明確な部分が多く、国防省や軍事専門家や議会からは政府に対し、早く何示せと催促が続いている状態だと認識しています
9日付プレス発表によれば
●「Schriever Wargame」の目的は

---どうしたら理想的な効果を多国籍作戦を支援する前線兵士に提供出来るかを探り、
---どのようにしたら複数ドメインに渡る紛争で、将来技術を活用して宇宙アセットを防御するかを吟味する
●同演習で使用される15のシナリオは、宇宙とサイバードメインを活用し、敵対者が戦略目標を達成しようとする事を想定している。演習はグローバルな広がりを設定しているが、焦点は欧州コマンド担当エリアである。
●シナリオには、多様な運用エリアを想定しており、軍民両方の多様な分野の指導者、計画担当者、宇宙アセット運用者とその能力に負荷を与える
●同演習には、27以上の米軍コマンドや政府機関等から約200名の文民と軍人の専門家が参加する

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ご参考1:2012年の同演習概要
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
●2012年5月のNATO首脳会議で打ち出された「Smart Defense構想」を推進すべく、英豪加に加え、NATOの仏・伊・独・蘭・デンマーク・トルコ・ギリシャから軍民両方の関係者が数百人参加
ご参考2:2010年の同演習の教訓
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02
●米軍を中心に政府機関や民間企業関係者からの600名参加者(英、豪、カナダを含む)は、米軍、民間の宇宙やサイバー企業関係者、同盟国、米国政府及び他省庁、米国情報機関を演じて参加。
大まかな演習の進捗は・・・

●以後双方が大規模攻撃に繰り出す。ただし相手側の作戦は事前によく練られており、意志決定も我が方に比較し格段に素早い
●宇宙やサイバー空間での作戦の推移は極めて早く、瞬く間に地球規模に拡大し、ドメイン内に封じ込めることは出来ない。冷戦時代の抑止理論は、本分野の紛争には適応できない。
特徴的な事象を列挙すると・・・
●サイバーや宇宙ドメインでの攻撃は、誰が行っているのか、何の目的で行っているのかを明確に出来ない。この種の攻撃は、破壊よりも混乱を引き起こすモノととらえるべき。「戦場の霧」の濃さや厚みを増すモノと考えるべき。
●この種の紛争は極めて複雑。宇宙でもサイバー空間でも多種多様な関係者が関与している。敵対的競争者(peer)のだけでなく、ならず者国家も関与し、民間社会や商業金融社会の利害に影響を及ぼす。

●このドメインでは「禁じ手」や「レッドライン」に関する共通認識が無く、紛争拡大の抑止が極めて困難。危機や紛争は短時間にエスカレートして同盟国を巻き込む。
●また地域の紛争を、その地域にとどめておくことも極めて困難。いったん火を付けたら、瞬く間に世界中に拡散する。
●宇宙では宇宙アセットの被害は簡単に回復できず、紛争終了後も長く影響を与える。
演習の教訓的事項を列挙すると・・
●米国等への攻撃が波及的影響を広範囲に与え、最終的に敵にも降りかかることを敵に認知させる必要がある
●宇宙やサイバー分野の戦力組成を事前に同盟国や民間・産業界を含めて把握する必要がある。
●民間や同盟国関係者が一堂に会する指揮所の設立が非常に重要であり、演習で有効性が確認できた

●宇宙の規範のようなモノ、つまりそれに従う者が何らかの利益を享受でき、同時にそれを犯すと摩擦や紛争の種になるとの共通認識を確立し、同時に潜在的敵対者に我の「敷居」を理解させる。
●我の宇宙やサイバー分野での政策を明確に宣言し、排他的エリア、レッドライン、最後の一線、敷居と言った概念やレベルを明らかにして相手を抑止する事も考えるべき。
●これまでの戦いのような「DEFCON」を本ドメインにも設定し、対処が自動的に行われるような態勢にすべき。
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基本的には、2010年演習の状況や教訓は、今でも変わらずそのままだと思います・・・
2012年の同演習概要
「2012年の同演習概要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-19
2010年の同演習の教訓
「サイバーと宇宙演習の教訓1」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「サイバーと宇宙演習の教訓2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02
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