露軍機がイスラエル領空侵犯:でも冷静に [安全保障全般]
最近、イスラエルの領空をシリアで活動するロシア軍機が領空侵犯した模様ですが、イスラエル国防相は「明らかに操縦者のエラーだ」「すぐ問題は解決した」とラジオ放送で公にコメントし、ロシアとの事前協議や情報共有で事態のエスカレーションを防止していると「大人の対応」を見せています
ただし、同国防相が領空侵犯されたと言及したのは、国際的にはイスラエルが不法占拠していると解釈されているゴラン高原の領空らしく、米国等が反応することは無いと思いますが・・・
トルコによるロシア軍機撃墜により、トルコとロシア間に緊張状態が生起していることを教訓にしたとも言えますが、9月末にロシアがシリアで空幕を開始した時点でイスラエル首相がロシアを訪問し、偶発的事案防止の協議を行っており、「先を読んだ動きが功を奏した」とも言えましょう
裏を返せば、イスラエルの隣国で発生している「ISISとの戦い」「中東の流動化」「新30年戦争」に拘わりたくないイスラエルによる、必死の防衛施策が遂行されているとも言えましょう
11月29日付Defense-News記事によれば
●29日、イスラエルのヤーロン国防相はラジオ放送で、「ロシア軍機はシリア側から僅か1nmだけ領空侵犯した。しかし直ちに過ちはただされ、同露軍機はシリアに戻っていった」と明らかにした
●更に同国防相は「同事態は明らかに露軍機操縦者のミスで、ゴラン高原近くを飛行していた航空機が起こしたものだ」とも表現した
●また同国防相は、イスラエルとロシア間には露軍機のシリアでの活動を巡る衝突を回避する合意が有り、「ホットライン」や「情報共有枠組み」が設けられている事に言及した
●そして「ロシア軍機にイスラエルを攻撃する意図はなかったので、露軍機の操縦者が過ちを犯しても、イスラエルが自動的に反応して撃墜するには至らなかった」と説明した
●報道等によれば、2013年以降、イスラエルはシリア内のヒズボラへの武器輸送や拠点を十数回攻撃しており、イスラエル高官は、ロシアによるシリア内での活動がイスラエルの行動を縛ることを恐れていると考えられている
●イスラエルは、シリアのアサド政権と対立しているが、またシリアの混乱に巻き込まれることを懸命に避けようとしている。またイランと欧米との核合意でイランに対する制裁が解除され、ヒズボラ等への支援が増えることも恐れている
●2014年9月、イスラエルは30年ぶりにシリア軍機をゴラン高原で撃墜し、危機には力で対処すると警告していた
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複雑で絡み合っている中東情勢ですが、誰を応援して良いのか分からない不安感がイスラエルにあるのかもしれません。
イスラエル軍とシリア展開ロシア軍の間の「ホットライン」や「情報共有」が、どれほど有効なのか不明ですが、有効であることを祈念いたします
「現在イスラエルは・・・その紛争の当事者のどちらも決定的な勝利を得ずに、弱体化させまで紛争を続けるという戦略を執っている」、「両者に負けてもらって、最後には誰にも勝ってほしくないというものだ。この状況における戦略的な考え方としては、両者共に傷ついてもらって出血多量死を狙うのだ。これさえ続けばシリアからの深刻な脅威は無い」との見方もあります。下記の奥山さんのブログを参照下さい
しかし・・・ロシア軍操縦者のお粗末な操縦には困ったものです。いや、何の事前訓練もなく、プーチンの気まぐれや思いつきでシリア展開を命ぜられ、いきなり作戦行動をやらされているロシア空軍操縦者は犠牲者かもしれません
中東混迷とイスラエル
「露がイランに高性能SAM輸出へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-10-1
「史上最大の多国間空軍演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-03
「新統参議長:初海外はイスラエル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-20
「中東でイスラエルはF-35独占?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-13
奥山真司氏のブログより
シリア危機:イスラエルも「両者弱体」を狙っている?→http://geopoli.exblog.jp/20983059/
ただし、同国防相が領空侵犯されたと言及したのは、国際的にはイスラエルが不法占拠していると解釈されているゴラン高原の領空らしく、米国等が反応することは無いと思いますが・・・
トルコによるロシア軍機撃墜により、トルコとロシア間に緊張状態が生起していることを教訓にしたとも言えますが、9月末にロシアがシリアで空幕を開始した時点でイスラエル首相がロシアを訪問し、偶発的事案防止の協議を行っており、「先を読んだ動きが功を奏した」とも言えましょう
裏を返せば、イスラエルの隣国で発生している「ISISとの戦い」「中東の流動化」「新30年戦争」に拘わりたくないイスラエルによる、必死の防衛施策が遂行されているとも言えましょう
11月29日付Defense-News記事によれば
●29日、イスラエルのヤーロン国防相はラジオ放送で、「ロシア軍機はシリア側から僅か1nmだけ領空侵犯した。しかし直ちに過ちはただされ、同露軍機はシリアに戻っていった」と明らかにした
●更に同国防相は「同事態は明らかに露軍機操縦者のミスで、ゴラン高原近くを飛行していた航空機が起こしたものだ」とも表現した
●また同国防相は、イスラエルとロシア間には露軍機のシリアでの活動を巡る衝突を回避する合意が有り、「ホットライン」や「情報共有枠組み」が設けられている事に言及した
●そして「ロシア軍機にイスラエルを攻撃する意図はなかったので、露軍機の操縦者が過ちを犯しても、イスラエルが自動的に反応して撃墜するには至らなかった」と説明した
●報道等によれば、2013年以降、イスラエルはシリア内のヒズボラへの武器輸送や拠点を十数回攻撃しており、イスラエル高官は、ロシアによるシリア内での活動がイスラエルの行動を縛ることを恐れていると考えられている
●イスラエルは、シリアのアサド政権と対立しているが、またシリアの混乱に巻き込まれることを懸命に避けようとしている。またイランと欧米との核合意でイランに対する制裁が解除され、ヒズボラ等への支援が増えることも恐れている
●2014年9月、イスラエルは30年ぶりにシリア軍機をゴラン高原で撃墜し、危機には力で対処すると警告していた
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複雑で絡み合っている中東情勢ですが、誰を応援して良いのか分からない不安感がイスラエルにあるのかもしれません。
イスラエル軍とシリア展開ロシア軍の間の「ホットライン」や「情報共有」が、どれほど有効なのか不明ですが、有効であることを祈念いたします
「現在イスラエルは・・・その紛争の当事者のどちらも決定的な勝利を得ずに、弱体化させまで紛争を続けるという戦略を執っている」、「両者に負けてもらって、最後には誰にも勝ってほしくないというものだ。この状況における戦略的な考え方としては、両者共に傷ついてもらって出血多量死を狙うのだ。これさえ続けばシリアからの深刻な脅威は無い」との見方もあります。下記の奥山さんのブログを参照下さい
しかし・・・ロシア軍操縦者のお粗末な操縦には困ったものです。いや、何の事前訓練もなく、プーチンの気まぐれや思いつきでシリア展開を命ぜられ、いきなり作戦行動をやらされているロシア空軍操縦者は犠牲者かもしれません
中東混迷とイスラエル
「露がイランに高性能SAM輸出へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-10-1
「史上最大の多国間空軍演習」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-11-03
「新統参議長:初海外はイスラエル」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-20
「中東でイスラエルはF-35独占?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-13
奥山真司氏のブログより
シリア危機:イスラエルも「両者弱体」を狙っている?→http://geopoli.exblog.jp/20983059/
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