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米議会で「水中戦」投資の方向を提言 [Joint・統合参謀本部]

House Seapower.jpg27日、米下院のシーパワー軍事小委員会で元米潜水艦隊司令官とCSBA研究員が証言し、今後の「水中戦」投資のあるべき方向について提言し、単に潜水艦の増産を考えるのではなく、潜水艦の搭載兵器や水中無人艇等々の研究開発に投資し、米海軍の水中戦力を強化すべきだと語っています

2名の証言を取り上げた27日付Defense-News記事は、水中の戦いの基礎知識不足のまんぐーすには消化不良なのですが、ご両人の問題認識の一端をご参考に紹介します

元米潜水艦隊司令官Michael Connor退役中将は
水中で巨大な攻撃力を持つ大型潜水艦を見つけることより、地球周辺の宇宙で小さな物体を見つけることの方が容易である。このように水中の戦いは、依然として状況把握が困難な難しい戦いである
ロシアや中国を始め、世界中で潜水艦の建造や購入計画が進んでおり、特に中露は大きな脅威となりつつある。米国も世界最高の潜水艦を追求しているが、潜水艦の建造だけでは作戦上の要求は決して満たされない。搭載兵器やセンサーの継続的な開発と能力向上が必要である

Connor-sub4.jpg●その中でも、潜水艦発射兵器の射程延長が最優先で、魚雷の射程を100nm以上に延伸し、これにより敵への威圧を増し、個々の潜水艦の威力を増強できる。このレベルの魚雷は、蓄電池と化学反応推進装置で近い将来に実現可能であり、これを使用可能にする航空機や衛星経由の通信と指揮統制システムの改良改善が必要となろう
魚雷は探知が困難なスローミサイルであり、大きな破壊力を艦艇等の水中部に向けることが可能な兵器である

●また、潜水艦発射の対艦ミサイルに再び注目すべきで、1000nm射程のものを精力的に追求すべき
●更に水中艇については、航続性能やペイロードを向上させ、母艦となる潜水艦が回収できれば良いし、水中艇の単価を下げれば、回収出来なくても必要なデータの回収が出来れば良いだろう

CSBAのBryan Clark研究員は
Clark-CSBA.jpg潜水艦や水中無人艇に搭載の水中センサーや、水中で活動したり海底に固定するセンサー開発の重要性を提言した
●また引き続き多様な無人水中艇開発を進め、その武装も追求すべきと語った。そして、開発中の超軽量魚雷は魚雷防御用だけでなく、無人水中艇に装備も考えられると述べた

●更に、米海軍が開発された水中システムの事業統括をして調達を行う責任ある「部署や組織」を設けるべきだと提言した
●予算面では、シリコンバレーでの開発の失敗率が9割に昇ることを指摘しつつ、予算査定を特定の開発に絞るのではなく、用途に幅を持たせた開発予算の確保を求めた

●失敗も含めたイノベーションのプロセスを成立させる人材や意欲が、ペンタゴンや関連企業や政策担当者官には存在すると述べ、予算運用の改革を訴えた
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潜水艦の価格高騰傾向の中、潜水艦への投資を抑制し、上記で取り上げられた装備やシステムへの投資に切り替えるべきとの主張なのか、潜水艦とは別枠でも追求すべきとの主張なのかが記事からは不明でした。

UUV.jpgしかし、「水中で巨大な攻撃力を持つ大型潜水艦を見つけることより、地球周辺の宇宙で小さな物体を見つけることの方が容易」と厳然たる真実であり、地道な海洋調査が薬に達文屋でもありますので、日本はホームゲームアドバンテージを追求すべき分野でしょう

冒頭でも申し上げたように、この分野を理解するにはより専門的な知識が必要で、今日のところはこの辺で退散します・・・

水中戦に関する記事
「米軍の潜水艦優位が危機に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-02-13
「UUVの発進格納技術」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-29
「潜水艦射出の無人偵察機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-12-07-1

「機雷対処の水中無人機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-30-1
「米露がイルカ兵器対決?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-23
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