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次期爆撃機LRS-B選定結果に敗者が「不服申し立て」 [米空軍]

LRS-B NG.jpg6日、米空軍の次期爆撃機LRS-B選定で「敗者」となったボーイング社が、米会計検査院GAOに対し、「機種選定要領に根本的な不備がある」として不服申し立てを行いました
米会計検査院GAOは、100日以内に申し立てを精査し、裁定を下すことになる模様です

10月27日に「Northrop Grumman」の勝利が発表されたLRS-Bの選定は、どちらが勝利しても「不服申し立て」が予想されていましたが米国防省と米空軍は3回も選定作業をやり直した空中給油機選定(10年近くも費やしKC-46Aに決着)の悪夢を避けるため、「慎重に厳正に」選定作業を行ったと発表時James空軍長官が語っていました

「LRS-Bの選定結果発表と各種憶測」
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-28

専門家の一人は「申し立てが認められる可能性は15%」とコメントしていますが、「悪しき慣例」となりつつある選定作業を巡る「泥仕合」だけは避けて頂きたいものです

6日付Defense-News記事によれば
LRS-B5.jpg6日、BoeingとLockheed Martinは共同声明を発表し、「LRS-B機種選定要領に根本的な不備がある」として不服申し立てを行った。特に、コストに関する国防省の評価では、両社チームの画期的な提案が正当に評価されていないと主張している。
●また、(唯一のステルス爆撃機B-2製造企業ながら、既に同機開発は昔の話であり、現在の)勝者Northrop Grummanの開発製造能力に関するリスクが正しく評価されていないと訴えている

●敗者に近い軍需産業コンサルタントのLoren Thompson氏は、米空軍は価格抑制対策に革新性を求めているにもかかわらず、ボーイングチームのコスト削減提案を正当に評価していないと主張している
Thompson LRS-B.jpg●また同氏は「米空軍は2つのチーム間に存在する巨大な能力格差を考慮していない。コストの数字だけを振りかざし、ボーイングチームが提案している種々の優れた能力が、全く評価に反映されていない」と厳しく選定過程を非難した

●更に同氏は「勝者がよりどころにしている15年も前に終了したB-2生産の歴史的データだけを検討の遡上に載せ、2000年以降に生み出されたコスト削減技術を検討から排除している」と指摘している
●細部にも言及した同氏は、開発製造経費EMDを敗者チームが「$11 billion」で提案したのに、米空軍は結果発表でEMDを「$21.4 billion」と見積もっており、リスクを国防省側が引き受ける形になっている(これは勝者に有利になるよう誘導されたものだ

勝者や米空軍のコメント
Northrop GrummanのRandy Belote副社長は声明で、「不服申し立てにがっかりしている」「米空軍による包括的で厳正な選定過程で、我が社のLRS-B計画遂行能力は完全に確認されている」とコメントした
Northrop LRS-B.jpg●また同副社長は「我が社の提案は確立実証された能力に基づいており、大型機製造分野での実績で他社とは対照的な位置にある。唯一ステルス爆撃機製造実績がある我が社は、米国に最前の提案をしたのだ」と述べている

米空軍報道官のRobert Leese少佐は声明の中で、不服申し立てが決着した後に、LRS-B開発と配備が進むことを期待していると述べ、「不服申し立ての権利が存在することは承知しているが、米空軍は、選定が慎重に厳正に公平に実施され、納税者や前線兵士に最高の価値を提供するものだと信じている」とコメントしている

●投資顧問会社のByron Callan氏は、「申し立てが認められる可能性は15%」とコメントしている
●Callan氏は「ボーイングには空中給油機選定で、不服申し立ての結果、当初の選定結果を覆し欧州EADSから契約を奪い取った成功体験があるが、今回は米空軍も反論を予期して選定作業を慎重に行っており、前回とは状況が異なる」と述べている
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上記Defense-News記事はボーイング側がミズーリ州選出議員を動員し、ロッキードがテキサスの議員を動かしてワシントンDCでのロビー活動を強化すると報じています。
具体的な議員の名前まで挙げられており、「お約束の族議員」が動き出すようです

Sikorsky Aircraft.jpg6日、ボーイングがヘリコプター製造で有名な「Sikorsky Aircraft」を、約1.1兆円で買収完了したと報じられました。この業界は常に動いています
以前ご紹介したように、ボーイングがLRS-Bを獲得できなかったことで、ミズーリ州の「St. Louis」にあるボーイングの軍用機工場が存亡の危機にさらされます。

そこでミズーリ州選出議員の出番となるのですが、ボーイングは同時に勝者Northrop Grummanを買収するのではないかとの「噂」にもつながっていきます

米空軍の次期爆撃機LRS-B選定結果発表!
カーター国防長官等による発表会見の概要や、業界の動き、早くも敗者から予想される不服申し立ての動向等々について軍事メディアの情報をご紹介
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-10-28

LRS-B発表までの経緯
「リーク? LRS-Bの概要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-09-07
「全爆撃機をLRS-Bに」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-06-29
「次期爆撃機cost-plus契約?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-03-06

「選定結果で業界大再編か」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2015-01-20
「次期爆撃機の進捗は?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-04-08-1
「LRS-Bの提案対決は」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-26-1

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